香港&マカオ博打旅程


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プロローグ
12/20
愛馬出走そして出発
香港へ
12/21
ネイザンロード
沙田競馬場
神のお告げもしくは悪魔のささやき
香港島
いざマカオへ
ハイアライのカジノ
ラーメン食って帰港
12/22
尖沙咀をお散歩
帰国




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プロローグ

 今年は夏休みを取っていなかったので年内に(土日を含めてだが)4連休を取得できることになった。折角だから、香港あたりに遠征に行こうと思い、競馬の香港国際カップ(国際GI)のあたりに休みを入れておいた。まあ、とりあえず休みをその時期にいれておいたということで、実際に遠征を正式決定したのは1週間前だったのだが。

 実は海外旅行に一人で出かけるのはこれが初めてである。以前、会社の仕事の関係で上海には行ったことはあるのだが、その時は海外留学経験のある上司に付いていったという感じだったし。

 とりあえず往復の飛行機と宿を手配しようとJTBにいったら、格安航空券で行くよりツアーで行ったほうが安いといわれた。最近は香港国際カップの時期には競馬関係の香港行きパックツアー等も多いのだが、今回申し込んだのは往復の飛行機と宿は付いているが後は完全フリーの2泊3日の旅。香港のホテルはツインルームかダブルルームばかりでシングルという概念は無いらしい。だから一人でもそういう部屋への宿泊となってしまうため、一人の場合の追加料金が高い。1万6千円ほど余計にかかった。2泊でこの値段なら日本だとビジネスホテルにまともに泊まれてしまうことのできる値段だ。ツアーで一番安いカオルーンホテル(九龍酒店)宿泊のコースだが合計金額7万円弱。ちなみに「細江純子と行く競馬ツアー」は13万近くするらしい(一人だともっとかかるかも)。まあ、高いとかそういうこと以前にこの手のツアーは大抵金曜日発の3泊4日なので日程的に2泊3日が限度の私にとっては参加不可能だったが(金曜に休みを取ろうと思ったら取れなかったので)。

 というわけで香港遠征が決まった。私の国際派ギャンブラーへの道の序章である(笑)。ついでにマカオのカジノにでも寄ってこようと思っているし。

12/20(土)

■愛馬出走そして出発

 この日、日本の競馬では我が一口出資馬シルキーシャワーが阪神の1Rに登場。朝から自宅でIPATを使って馬券投票。阪神1Rの馬券をシルキーシャワーから馬連&ワイドを流して買ったら人気薄ながら3着に突っ込んできた。ワイドを2点的中。しかも1点は万馬券。なかなか幸先のいいスタートである。

 その後、その他のレースの投票をしてから成田へ向かう。新川崎駅で横須賀線に乗り換え品川から成田エクスプレスに乗る。成田空港に付いたら集合時間ぎりぎりだった。

 JTBのパックツアーを利用していたので空港のJTB窓口で飛行機のチケットを受け取る。ホテルのチケット等は無いのか聞いてみたが、後は現地に係員がいるのでその人に聞いてくれということだった。

 ちなみに飛行機は往復両方ともJALだということが判明。(旅行会社には事前に時間だけは聞いていたが航空会社名は聞いていなかった。そもそも中国系の会社で良いという風に頼んでいたのだった。)JALだったらメンバーズカードを持っているのでマイルを貯める事ができたのだが、カードを持ってきていなかったためマイルを加算することはできなかった。JALと分かっていたら初めからカードを持っていったのに残念。

 成田空港では喫煙所を探したが見あたらないので先に搭乗手続きと出国手続きを済ませることにする。出国手続きの場所には長蛇の行列ができており、並び初めてから手続きが済むまで30分以上かかった。「煙草でも吸うか」と思って喫煙所が見あたらない。構内地図を見つけたので喫煙所を探すと、最寄りの喫煙所でもかなり遠いようだ。しかもその喫煙所には長い通路を通っていかなければならない。喫煙所に向かって通路をずっと直進すると、何故か途中で扉が閉まっていて通行止め。戻るしかなさそうだ。行きは自動歩道(エスカレーターの平らなヤツ)でいけたのだが、片道しか動いていないため帰りは歩かなければならない。その後散々喫煙所を探しまくった後、ようやくと見つかる。成田空港というところは全く持って喫煙者のことを考えていないアホな設計の建物だとしか言い様が無い。喫煙所が異常に少ない上にわかり易いような案内板があるわけでもない。ただでさえこれから国際線の飛行機に乗る、数時間煙草を吸えなくなるという状況の人間が五万といるところなので、それぐらいの気を使った設計をしても良さそうなものなのに。東京近辺には国際空港はここしかなく(中華民国行きしかない羽田を除く)、ライバルがいない独占企業であるので自由競争の原理が働かず、顧客満足度最悪の空港となっているのだろう。

 空港内の免税店で煙草(マールボロライトメンソール)を1カートン購入。飛行機を待つ時間に携帯サイトで競馬の結果を確認したら、阪神1R以外はすべて外れていることが判明。しかも1Rを当てたのでその後のレースは多めに賭けており、「万馬券が的中したにもかかわらず(当然日本円で)5桁のマイナス」。

 飛行機内では新聞がタダで読めるが、日本の新聞ではなく香港の新聞を読むこととした。香港の新聞(一般紙)はとにかく分厚い。日本だと元日は分厚い新聞が配られるが、それが毎日配られているといった感じ。座席は当然の様にエコノミーだったが、エコノミーでも飲み物と機内食ぐらいは配られる。香港の新聞を読んでいるぐらいだから香港人だと思われてたらしく、スチュワーデスは英語で話し掛けてくる。何回目かでようやく「日本人ですか?」と言われた。香港人に見えるのだろうか。わざわざ香港の新聞を読んでいたんだもんな。

■香港へ

 というわけで香港のチェクラコプ空港に到着。入国手続きを済ませ、到着口を出ようとすると出口の手前に両替所を発見。まさか香港ではそういうことはあり得ないとは思うが、到着口の外には両替所が無いかもしれないので早めに両替を済ましておいたほうがよいと思い、その両替所で2万数千円を香港ドルに換えた。両替所では空港から街中にいく鉄道の切符も売られていたので九龍駅行きの切符を買う。そして到着口を出て、JTBの現地係員を探す。

 ロビーを探し回り、JTBの現地係員らしき人物を発見する。現地係員が九龍までの切符を用意しているので詳しいことは電車の中でお話しますと言ってきた。えっ。こっちは既に九龍までの切符を買ったというのに、旅行会社側で用意してくれるのか?それなら先に言ってくれ。しかも、両替もこの係員が承っているというそうである。空港の両替屋よりもいいレートで換金してくれるそうである。こっちは空港の到着口を出る前に両替と九龍までの切符の購入を済ましたというのに…。とりあえず両替はしかたないが、電車の切符を買い戻してもらうことにする。その両替所に行くには一度到着口を抜けなければいけないのがやっかいだ。JTBの係員と到着口の守衛さんが何か広東語で交渉していたが、無事ゲート内に入ることができた。あとは両替屋のおばちゃんと交渉するのみ。ゲート内には私しか入れなかったので、広東語が全く話せず英語も片言ぐらいしか話せない私が通訳無しで交渉しなければならない。日本語が通じないので交渉には自信なかった。"I want to return this ticket!" とか言っても、"No!" という返事が返ってきたが、何とか最終的に交渉が成立し、切符代は返ってきた。

 さて鉄道で九龍へ。空港から香港(島)行きの電車に乗る。電車内でJTBの係員から香港における注意事項と今回のツアーの説明を受ける。道端に煙草の吸殻を捨てると5000HK$の罰金が科されるようになったのね。ここはシンガポールかよ。
 香港の鉄道では(どこの鉄道でもそうだが)駅に到着する際に車内放送でアナウンスが流れる。この空港用の鉄道は当然のように外国人乗客が多く、また、もともとはイギリス領だったこともあって、現地語(広東語)の後で英語でのアナウンスも流れる。この時駅名という固有名詞が広東語と英語では異なっているようだ。日本では例えば「品川」は日本語でも英語でも(イントネーションが微妙に異なるものの)「シナガワ」だが、香港では同じ駅でも広東語では広東風の発音となり、英語では北京語風の発音となるらしい。例えば「九龍」は広東語では「ガウロン」と読まれ、英語では「カォルーン」と発音される。香港が中国に「返還」されたから中華人民共和国の標準語である北京語読みにしたのか、イギリス領時代から英語による地名の表し方に北京語を用いていたのかは不明だが。

 そうこうしているうちに九龍駅に着く。日本のJTBで地図を見たときは宿泊予定の九龍酒店は九龍駅から近いように思えたのだが、実は駅からかなり遠いということが判明。九龍駅ではなく地下鉄の尖沙咀駅から近いのである。九龍酒店といってもこの「九龍」は「九龍半島」の九龍らしく、九龍駅の近くにあるわけでは無いようである。東京ドームや東京タワーが東京駅の近くには無いのと一緒か。というわけでタクシーでホテルへ。ホテルまでのタクシー代はツアーの代金の中に含まれるようである。

 ホテルに荷物を置き、食事でもしようと尖沙咀近辺をブラブラお散歩。香港を象徴するような大通りネイザンロードはだだっ広いがちょっと脇道にそれると普通の大都市といった感じ。観光客向けに存在するような料理屋などには向かわずに、適当な大衆食堂でビーフンを食べる。そして、競馬新聞はどこで売ってるのかと思って探していたのだが、雑誌などを売っている露天商をあちこちで見かけたので、見てみるとやはり置いてあった。「産経太陽」という新聞を買う。日本で「太陽」といえば、水道橋駅からWINS後楽園に向かう途中などの限られた場所でしか売られていない怪しげな(?)新聞なのだが、香港の産経太陽は普通の競馬新聞らしい。普通といっても日本の競馬新聞のように近走成績が詳細に掲載された馬柱があるわけでもなく、出走馬の血統(父母)もわからないようなものである。香港といえば旧イギリス植民地であり、英語が公用語ということになっているらしいが、露天商のおばちゃんにまで英語が通じるかどうかがわからなかった。"How Much" と問いかけたら、指で親指と小指だけを立てる(セリ市とかで「6」を表す)ジェスチャーをしたので6香港ドルだということは分かったが。6香港ドルだと日本円で90円弱なので、日本のスポーツ紙よりも安いということになる。日本だと400円以上するのだが。もちろん日本の競馬新聞とは情報量が違うので安くなければ納得はいかないのだが。

 ホテルに戻り、部屋にあったパソコンを使ってみることにする。そのパソコンのWebブラウザがNetscape4.0。せめて Netscape4.7 にしてくれ。しかも日本語はもちろん繁体中国語(香港の文字は中国本土とは異なり繁体中国語(台湾とかで使われている日本でいうところの「旧字体」))も出てこない。とりあえず自分のページの掲示板に英語で書き込みをしてみた。その後、部屋のPCはあまり使えないので自分で持参したPCをつなぎたいなと思っていたら、部屋にLANポートがあるのを発見。これでケーブルがあればインターネットにつなぐことができるかも。試しにフロントに電話して「私の持参したノートPCをネットワークに繋ぎたいのでネットワークケーブルを持ってきて欲しい」と伝えたら、ちゃんと持ってきてくれた。観光ガイドには「香港はイギリスの植民地だった関係でホテルではチップを渡す文化がある」と書かれていたのだが、ボーイさんは私が"Thank You"と言うとそのまま立ち去ってしまった。

 ノートPCを部屋のLANポートに繋ぐと、めでたく日本語インターネット環境に繋ぐことができた。これでI−PAT(Web上で馬券を買うことのできるJRAのシステム)を利用すると明日の(日本の)レースの投票も可能だ。それも考えたのだが、結局馬券は買わなかった。とりあえずあちこちのページを見て回る。

 ところで、食事で外に出たときにコンビニで飲み物を買って来たのだが、この飲み物は日本でいうところの「おーい、お茶」に似たようなデザインのペットボトルであった。しかし、お茶だと思って飲んでみると独特の味が…。高麗人参茶に砂糖と蜂蜜を足したような味。これが香港人がのどを潤すのに最適な味なのか??

12/21(日)

■ネイザンロード

 この日は香港国際カップ。沙田競馬場に行く日だ。このためにわざわざ香港まで来たのだ。しかし、香港の競馬では第1Rは午後から始まる。そのままホテルの最寄り駅の尖沙咀駅から地下鉄に乗ってもいいのだが、せっかくだから観光らしいことをしよう。というわけで九龍のメインストリートであるネイザンロードを散歩することにする。

 ネイザンロードはとにかくだだっ広い。香港のメインストリートらしくいろいろな店がある。やたらと「免税店」という店が目に付いたが、そこで売られているものはカメラや家電製品などわざわざ香港に来てまで買う必要もないようなものではないような品物ばかり。香港版ディスカウントショップというようなものか。広東語ではディスカウントショップのことを「免税店」というのかもしれないが。ときどき2階建てバスが走っているのが、旧イギリス領らしさを醸し出している。子供の頃からの固定観念で2階建てバスといえばイギリスというのがあるせいもあるので、それが「イギリスらしい」という風に感じられる。

 いろいろ漢字で書かれた看板が目に付くが日本語の平仮名の「の」の文字は香港でも使用されているらしい。「優の良品」という店の大きな看板が目に付いた。この店は港や空港でも見かけたのだが、お菓子メーカーらしい。この「の」の字は現地ではどう発音するのだろう?日本読みで"NO"と発音するのか、それとも漢字の「之」の広東語読みなのだろうか?広東語をほとんど知らない私にとっては「ゆうのりょうひん」なのだが(笑)。

 しばらくすると左手には九龍公園。のんびりくつろぐにはこういうところがベストなのだが、あまりくつろいでいる暇もない。九龍公園を抜けるとイスラム教の寺院がある。香港にもイスラム教徒がいるのか。

 朝食は散歩してて適当に見つけた大衆食堂で。メニューを見ても正確にどんな料理なのかはわからないが、漢字で書いてあると何となくはわかる。メニューを指さし「河魚」という文字が含まれているものを注文。40香港ドル弱ぐらいだったかな。ちょっと立つと梅干しの入ったスープが出てきた。スープを飲み干してもなかなかそれ以外のものが出てこない?もしかして、私の注文したのは単なるスープだったのか?これで40香港ドル弱(約500〜600円)は高いよな。店員に聞いてみようと思ったのだが何と聞けばいいのかわからない。店員には英語も通じるらしいので"Is this All of My Order?"とでも聞けばいいのだろうか?でも、「魚」の文字が含まれるものを注文したのに、そのスープには魚が入っていなかったよな。煙草を3本ぐらい吸ってたら、ようやくスープ以外のものが登場。よかったよかった。かなりボリュームのある魚料理の登場である。これで40香港ドルもかからないのは非常に安い。

 さらに北上し、結局尖沙咀から2つほど競馬場に近い駅についた。(駅名は忘れた。)そこから地下鉄に乗り、更に九龍塘駅で九廣鉄道に乗り換える。競馬場の最寄り駅は開催日のみの臨時駅だ。広東語表記で「馬場」という名前の駅だが、英語名は"RACE COURSE"だ。日本だと駅名の日本語表記と英語表記の関連が「品川」だと「SHINAGAWA」だし、「府中競馬正門前」だと「FUCHU KEIBA SEIMON MAE」なのだが、香港の場合は固有名詞である地名以外は意味名が英語名として付けられているらしい。数年前までイギリス領だったこともあって英語しか知らない人でも普通に暮らせるような配慮がなされているのか?私のような漢字文化圏で育った人間の場合は広東語を聞いたり話したりはほとんどできないものの多少は読むことはできるのだが(むしろ香港では中国本土のような略字体ではなく日本で言うところの旧字体で書かれているので香港の文字は読みやすい)イギリス人はそうわけにもいかないだろう。そのかわり私は英会話の力がイギリス人と比べて格段と落ちるわけだが(片言を話せる程度)。

■沙田競馬場

 いよいよ競馬場。馬場(英語名:RACE COURCE)駅で降りた。歩道橋を渡っていくとそこは競馬場入り口。ここをくぐると私も国際派馬券師としてのデビューである(笑)沙田競馬場では外国人の場合パスポートを見せると「会員席」というところに入れるらしい。そこで入り口でパスポートを見せる。パスポートを見せて50香港ドルを払うと、「会員席」の入場券と、記念品をくれた。記念品は、ゴムの腕輪に安っぽいデジタル時計を付けた様な腕時計(?)だったが、これは結構役にたった。というのは、日本と香港は1時間の時差があるのだが、日本で付けてきた腕時計は日本時間のまま時刻を直していなかったからだ。この景品時計を手に入れたことで、香港時間も分かる。それに帰国後に捨ててしまってももったいなく無い程度の安っぽい時計だったので、香港滞在中に現地時間を知るための時計としては最適だった。私の左手には日本時間を示す時計、右手には香港時間を示す時計がはめられていた。

 この「会員席」というものだが、指定席のように座席が用意されているわけではなく、単に指定エリアへ入れるというだけのものだった。日本でいうと府中のE指定席のようなものか。府中のE指定席よりは若干高目だが、府中と違うのはその席はゴール板のまん前ということである。あと、エリア内では売店とか案内所で普通に英語が通じるから、外国人にとっては一般席よりは居心地がいいかも。

 香港競馬の特徴としてはとにかく馬券の種類が多く、ギャンブルとしての醍醐味十分ということである。全てを試したわけではないが、日本では買えないような券種にもトライしてみた。大体はいずれ日本でも導入される3連単だったりするが(笑)。日本人観光客が多いのか、会員席には日本語で書かれた馬券の買い方の説明書みたいなものが配られていた。

 私の勝負の中心は、日本の中央競馬でも導入されている馬連や単勝、もしくは日本だと大井競馬場で買ったことのある三連単が中心だった。

 以前、日本で3連複が発売された時に競馬ブックに石川ワタル氏等が「日本の新マークカードは流しで買う時に融通が利かないので使いづらい。香港競馬のように1枚のマークカードで色々な買い方が出来るようにすべきだ」とコラムを書いていたが、なるほど香港のマークカードは他点買いの時に融通が利く。融通が利きすぎてどう書いていいか分からないので、係員のお姉さんに英語で聞いたりしていたが。私の英語力でもこのような場所では十分通用するということが分かった。英会話にはあまり自信がないのだが、賭場における日常生活では十分通じる。「何番を軸にして1着2着3着を順番どおりに当てる馬券を買いたいんだけどどうマークすればいいの?」なんてことがすらすら出てくるし、相手の言うことも理解できる。ビジネス英会話はからきしダメな私であるが、ギャンブル英会話はそれなりに通用するってことか?

 沙田競馬場では国際レースについては特別版と思わしきレーシングプログラムが配られていた。その中国語で書かれた出走馬の紹介を見て「この馬はジャパンカップに出走していよなとか、デザーモって中国語だとこう書くのか」と思っていた。ところが、そのレープロを紛失した為、もう1つもらおうとしたら"Sold Out"という答えが返ってきた。英語版は大量に余っているのにもかかわらず。やはり物珍しさからか中国語版が人気があるのか。仕方なく、英語版をもらう。

 香港にはホワイトという騎手がいるが、場内に貼られた出馬表を見ると「白徳民」という騎手がいる。これがホワイト騎手のフルネームだと思っていたが、実は違うらしい。ホワイトは韋達と書くそうだ。白は別の騎手の名前。そうとは知らずに白徳民騎手の馬の名前を聞いて「White!」と叫んでいたな(苦笑)。

 この日は香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップと4つのGIが行なわれるが、日本の馬が出走するのは後半2つのみ。香港ヴァーズが第3レースで、その後1レース置きにGIが行なわれる。日本でも一日にGIをいくつも行なう日があってもよいものなのだがな。

 香港スプリントは1000mのレースだが、これは直線のみのコースで行なわれる。日本で言うと新潟競馬場の芝1000mのレースのようなものだ。新潟直線1000mといえば、馬場の内側が荒れていることが多いので外枠の馬が有利である。「外4頭ボックス」という馬券戦術が有効なコースである。この馬券戦術が海外でも通用するのだろうか?通用するものだと信じて外4頭のボックスを購入した。馬券購入後、重大な事実に気づいた。香港競馬では新聞に掲載されている馬番号は馬券を買う時に選ぶ番号であるに過ぎず、実際の枠順(スタートゲートに並ぶ順番)は、馬番号とは関係が無いということだ。そして私の手元にある馬券は馬番号の大きい順に4頭のボックスだ。しかも、この馬番号とはレーティングの高い順番に1から割り当てられるようだ。つまり私が買った馬券は「レーティングの低い(つまり評価の低い)馬から4頭ボックスを買った」ということだ。こんな馬券なんかまず当たらない。レースがスタートした。当然のように私の馬券はカスリもしなかった。ちなみに枠順が外の4頭のうち2頭で決まったわけでもなかった。

 日本の馬が出る最初のレースは香港マイル。日本馬はローエングリン(広東語名:天鵝騎士)、テレグノシス(同:千里通)、アドマイヤマックス(同:大賞識)が出走する。出走馬中レーティングナンバーワンのローエングリンから勝負。日本で言うと馬連流し&単勝勝負だ。しかし、ローエングリンは惜しい3着。勝ったのは地元香港の幸運馬主(LUCKY OWNERS)。そのまんまな命名の馬だ。鉄板だと思ったんだけどな。

 そしてアジア最高峰の国際レース香港カップ。こちらはすでに香港の国際GIで2勝しているエイシンプレストンが出走。日本ではGIを勝てない馬だが、香港ではすでに2勝。よっぽど香港の馬場が合ってるらしいし、鞍上の福永祐一も遠征慣れしているだろう。引退レースだけにここは総仕上げとして万全の状態で出走しているに違いない。これこそ鉄板だと思い、プレストンを軸に流す。もう1頭日本馬でマグナーテンが出走していたが、こちらは無印だった。しかし、レースが始まってみるとエイシンプレストンはいいとこ無しの7着。ちなみにマグナーテンはさらに下の着順。02年ジャパンカップの覇者としておなじみのファルブラヴが見事に勝利だった。鞍上はあの時と同じデットーリ。この馬はよっぽどアジアの国際GIに強いのだろうか。とにかく私の馬券は見事にハズレだった。

 香港の馬券には"Double"という賭式がある。2つのレースを連続して当てるレースである。最終から2つ目のレースと最終レースでこの馬券を試してみる。最終から2つ目のレースでは2頭、最終レースでは4頭指名した(計8通りの組み合わせに賭けた)。最終から2つ目のレースでは指名した2頭が2着同着。この馬券は連続する2つのレースで2着以内だったらいいんだったっけか?それとも両方1着じゃなければいけないんだったっけ?どちらか忘れたが、最終レースでもその馬券を捨てずに観戦。最終レースでは指名馬のうちの1頭が2着となった。ひょっとしたら私の馬券は当たりか?

 初めて香港の払い戻し機に馬券を突っ込んでみる。しかし、日本語で言うところの「この投票券は的中していません」のようなアナウンスがされる。後で調べて見たのだが、この Double という賭式は1つ目のレースが1着で、2つ目のレースが2着以内なら的中だそうである。かなり惜しいニアピンではあるのだが、ハズレはハズレ。結局1つ目のレースが確定した時点で我が馬券のハズレも確定していたのだった。ノーホーラのまま競馬場を後にする。初めての海外遠征でノーホーラか・・・。払い戻し機から香港ドルが出てくるところを見てみたいものだ。

■神のお告げもしくは悪魔のささやき

 競馬は見事なまでの完敗だった。ノーホーラだった。これからどこへ行こうか?せっかくだからマカオのカジノにでも行こうかと思っていたのだが、競馬が散々たる結果だったのでどうしようか迷うところだ。ツキが私に味方していないのかもしれないし、何しろカネが無い。財布の中には若干の香港ドルが入ってはいるのだが、マカオまでの往復交通費を考えるとカジノにおける軍資金はあまり残っていない。地下鉄への乗り換え駅である九龍塘駅で電車を降りた時、私の心の中では「競馬も惨敗だったしこれ以上傷口を広げることはないだろう。今日は大人しく飯でも食って夜景でも見に行くなど観光客らしいことをした方がいいのでは。」「せっかくここまで来たのだから、マカオまで足を延ばして勝負するのが真の勝負師だろう。競馬で負けて日本に帰るだけならわざわざ異国の地まで来た甲斐がないのではないか。目の前にある敗者復活のチャンスを放棄する気か?」という悪魔と天使がささやいており、葛藤に揺れていた。どちらが悪魔でどちらが天使かは読者のご想像にお任せする。

 心の中では悪魔と天使が共に好き勝手なことを言っていたのだが、駅を出るとそこには両替屋が建っていた。「お客さん、軍資金がないの?」と話し掛ける様にして、その両替屋は突っ立っていた。ここに両替屋があるということは、ここで軍資金を準備して勝負せいという神のお告げなのだろう。その神は勝利の女神なのか貧乏神なのかはよくわからないが、とりあえず手招きするように突っ立っているその両替屋で、予備で持っていた日本円を香港ドルに替えた。そして、マカオ行きの船に乗るために香港島(中環-CENTRAL-駅)まで地下鉄に揺られて行く。

■香港島

 港に向かう道にはホームレスが。家族で楽しそうに暮らしている。九龍ではあまりお目にかかれない。港に多いということはホームレスというよりは外国からやって来た宿無しなのかも知れないけど。中環から港に向かう途中には吉野家等日本でもおなじみの店がある。その吉野家ではカツ丼らしきものもメニューにあった。いや、店に入ったわけではないので正確なことはわからないが、それらしきものがあるように見えた。飯を食っている暇があったら早くマカオで打ちたいので飯も食わずにフェリー乗り場へ向かう。

 さて、片道一時間のフェリーなのだが、それに乗るために入出国手続きが必要なようだ。出国窓口に並び、パスポートを見せて、船の中では入国カードに記入する必要がある。政治的には同じ中華人民共和国の領土じゃないかよ。いくら自治政府が治める経済特区とはいえこれは面倒だ。例えば州ごとの自治が認められているが1つの国であるアメリカで州界を超えるたびにこんなことはしないだろうな。やはり本土と香港・マカオは「別の国」のような扱いを受けていて人の行き来も管理されている中国ならではだろう。

 そのフェリーはまるで水上バスに毛の生えた程度のものだった。庶民的な雰囲気が漂っているが、これでも「国境を越える」船なのである。出航後、場内アナウンスが流れる。まず最初に、現地の広東語でのアナウンスが流れた後、中国の共通語である北京語、香港の旧宗主国の言葉である英語、マカオの旧宗主国の言葉であるポルトガル語と合計4言語のアナウンスが流れるのが国際船であることを物語っている(実際は「中国」領内を移動しているだけなのだが)。最後のポルトガル語は「セニョール・エン・セニョリータ」で始まったのでポルトガル語だということが判別できただけで、それが無かったらどこの言葉なのかすらわからなかったな。

■いざマカオへ

 マカオといえば、日本ではつぼいノリオの名曲金太の大冒険で必要以上に有名な都市である。「♪金太マカオに着く、金太マカオに着く」というフレーズでおなじみの場所だ。まあ、日本人の中にはマカオといえばこれしか思いつかない人もいるかもしれないが。何はともあれマカオ政府観光局はつぼいノリオに感謝状を贈るべきだ。1時間ぐらい船に揺られた後、マカオに着いた。金太じゃないけどマカオに着いた。

 マカオの港は香港の港と比べると月とスッポンぐらいの寂れた港。これが東南アジアの貿易・経済の中心都市とポルトガルに忘れ去られた植民地の違いだろう。港からは海上に作られた遊歩道を通って陸へと向かう。大地震が起きればそのまま海にポシャンと行きそうな遊歩道だ。寂れた中堅港町といった感じの趣のある景色。景色といっても時刻はすでに夜なのであまり周りの様子は見れなかった。その闇の中で海上に燦燦と輝く楼閣が目に入ってきた。水上カジノである。昔はもっと港から離れた場所にあったのだが、現在地に移動してからは昔ほど流行っていないらしい。その水上カジノにも惹かれるものがあった。それよりもかの有名なリスボア(ホテルカジノ)あたりにでも行ってみたいと思った。しかし、すでにこの時間はバスが出ていないようでタクシーで行くのも面倒だったのでリスボアはまたの機会とすることにする。結局行き着いた場所は港の近くにある「回力」というカジノ。「ハイアライ」と読むのであるということを後で知った。割とマシなビルだ。♪金太マシなビル・・・<だからもういいって!

■ハイアライのカジノ

 ハイアライのカジノに入り、荷物をクロークに預けると、いきなりパスポートの提示を求められた。ここは国境なのか?カジノの中はマカオの法律の及ばない治外法権地帯なのか?謎である。マカオ現地の人はどうやってカジノに入るのだろう?

 まず、カジノで使用するチップを買う。マカオにはパタカという通貨があるのだが、これは香港ドルとほぼ等価であり、また、カジノに限らずマカオでは香港ドルがそのまま通用する。だから両替の必要はなく、そのまま香港ドルで200香港ドル支払い、200ドルのチップを買った。それにしてもほぼ等価の通貨で、街でもそのまま通用するのなら通貨は香港ドルに統一すればいいのに。ヨーロッパのユーロみたいな感じで。

 チップを200ドル持って場内を見学してみたが、ほとんどの種目でベットの最小単位が100ドルのようだ(50ドルのものも若干有り)。バカラに至っては200ドルが最小ベットだ。最小単位が10香港ドルである競馬とは桁が違う。ゲーセンのメダル1枚が1300円ぐらいするようなものだ。もっとも、ゲーセンで遊ぶような感覚で、このような本格的なカジノに来てはいけないというのは百も承知だ。しっかし、やはりカジノといえば金持ちの道楽のようなものなのかな。日本ではバクチ打ちというと汚ねぇオッサンのような庶民的かつ貧しい人間も多いのだが、西洋ではそうでもないのか。 200ドルでは種銭がもたないので、更に200ドルのチップを買う。全部で400ドル。決して多いとは言えない額だが、この元手で勝負だ。

 マカオのカジノといえばリスボアが有名だ。リスボアのカジノといえば、ルーレット場で娼婦が客に体をすり寄せてきて「営業活動」をするということで有名であり、買う買わないは別にして一見の価値有りと聞いているが、ハイアライではそんなことは無いらしい。それらしき店が同じビルに併設されていたが、入っていないのでよく分からない。少なくともカジノにおける「営業活動」は大っぴらには行なわれていないようだ。その方が集中してゲームに挑めるのかもしれないが、「マカオ名物」を見れないのは残念である。それ以上に残念なのはハイアライにはルーレットが無いこと。カジノといえばルーレットというイメージがあったのだが、これはハイアライには存在しなかった。

 場内をぶらついた後、「大小」というゲームをやる。3つのサイコロを振り、合計の目が10以下なら小、11以上なら大というのが基本ルールだ(3つのゾロ目はディーラーの総取り)。その他にも合計値に賭けたりと賭け方がある。マカオといえば大小というぐらいマカオでは有名な種目だ。
 しばらくの間、取ったり取られたりが続いたのだが、あることがきっかけで流れが変わる。大小では3つのサイコロの合計値に賭ける賭け方がある。当然出る確率の低い値ほど配当は高い。私は「12」の升目にチップを置いたつもりだった。しかし、誰かが投げたチップが私のチップにぶつかり、「13」の升目にずれてしまった
 そして、ディーラーがサイコロを振る。サイコロを振るといっても機械仕掛けのガラス張りのダイスケースのスイッチを押すだけであるが。そして出た目の合計は何と"13"だった。50香港ドルチップを賭けていたのだが、600香港ドル近くの払い戻しがあった。「本当にもらっていいの?」ってな感じだが的中は的中。そしてこの的中によって流れが私に向いてきた。その後は大か小かどちらかに賭ける配当が2倍のものを中心に賭けていたのだが、それが連戦連勝。4連続的中というのもあった。私が座っているテーブルの客が私に注目し始めている。「あの調子のいい男は次に何に賭けるのだろう」ってな感じで私がどういう賭け方をするかを見つめている。幾人かは私と反対方向に賭ける人もいるのだが、多くの人間が私が賭けるとそれに乗るように賭けてくる。となりに座っているおばちゃんが「お兄さん、やるねぇ」といった感じで何度も笑顔で話しかけてくる。言葉は通じないのだが、おそらくそのような内容のことを言っていたのだろう。私が考え込んで賭けないでいると、ディーラーが私を睨み付け「お前が賭けないと他の客が賭けてくれないだろう!」という感じで話しかける。どうやらこの大小のテーブルは私を中心にして回っているみたいだ。これぞバクチ打ち冥利に尽きるというもの。パリ・ミチュエル方式の競馬とは違って、大小の場合配当は一定なので、私の賭けた目に他の多くの客が賭けたからといって配当が下がるわけではない。みなさんどうぞ私に乗って賭けてくださいませ。ちなみに「大」は広東語でも日本語と同じ「ダイ」と発音するらしいことが他の客のやりとりを見ていてわかった。ここへ来て1つ広東語を覚えた。さっそく使ってみる。「小」は何と発音するのか分からなかったので私は "small" と英語で言ってはいたが。

 大小の成績がちょっと頭打ちになって来たので、引き際と思ってテーブルを離れる。このまま帰れば競馬の負けは十分取り戻したことになる。しかし、せっかく来たのだから他の種目にもチャレンジしてみたい。そう思ってブラックジャックに挑戦することにする。生まれて初めてやった大小でこれだけ勝ちまくるのだから、ゲーセン等で経験のあるBJだともっと稼げるだろう。意味のない自信が体をみなぎってゆく。
 ここのBJはディーラーが手でシャッフルするのではなく、機械で自動でシャッフルするものである。しかも山が無くなるまでその山を使い続けるのではなく、ターン毎に使用した札を山の中に入れて、52枚すべてのカードで毎ターンゲームが行われる。BJは場に出てきたカードから山に残っているカードを割り出して出目を類推するカードカウンティングというテクニックを使うと期待値が1をちょっとだけ上回るらしいのだが、毎回出されたカードを山に戻すようだとおそらくカードカウンティングは使えない。もともと、私はカードカウンティングのやり方を知らないし、この技は使っていることがバレるとカジノを追い出されるので、相当の記憶力と演技力に長けていないと使い物にならない代物であるのだが。
 しかし、BJでは負けっ放し。途中ディーラーが私を睨み付けて広東語で何かを話しかけてくる。何を言っているのかさっぱりわからない。困惑した表情で"What?"とか言っていると、2つ隣にいた客がいきなり日本語で「後ろから覗かないで」と通訳してきた。他の客はすべて中国系の人だと思っていたのだが、日本人がいたのか。ディーラーの言葉が分かり、なおかつ私が日本人だということを見抜くとは相当マカオ慣れしているらしい。年齢的には私とそう変わらないような人だったが、私もそこまで「ベテランの域」に達したいものである。
 BJでは負け続け、結局1000香港ドルばかり浮いたところでカジノを引き上げることにする。勝つには勝ったが、競馬の負けが1500香港ドルなので、競馬の負け分は取り戻していないんだよな。

■ラーメン食って帰港

 思えば食事を取らずにカジノでバクチを打っていた。ギャンブルとは食べるのも忘れて夢中になるもんなんだよな。サンドイッチ伯爵の気持ちがよく分かる。カジノを引き上げた後はカジノの近くのラーメン屋に行く。香港よりも若干安いようである。広東麺のようなラーメンを食べていると、後ろから聞き覚えのある馬の名前が聞こえてきた。「マイターン!」。何故ここでマイターンが出てくるのだろうか?後で知ったのだが、これは「埋單」と言って、日本語で言うと「お勘定!」という意味だそうである。ちなみに正しい発音は「マイタン」。そんな事はこの時点では知らなかったので、私が食べ終わった後は伝票を振りかざしながら"Check!"と叫んでいたのだが。

 時刻は現地時間の24時ぐらい。船で香港へ帰る。またしても入出国の手続きが必要だ。この4日間で4回の入出国手続きをしたことになる。香港へ着くと夜1時ぐらいで電車が出ているのかどうかが怪しい。駅前で片言の日本語の話せるタクシー運転手に声をかけられたのでタクシーでホテルまで帰る。香港島から九龍半島までの行程だったが、タクシーだけで行けるらしい。地下道を通り抜けるとそこは大陸だ。ホテルへ帰ってノートPCでJRAのホームページのレース結果を見ていると、朝日杯FSが的中していた。私が沙田競馬場で惨敗を喫している時に、日本では私が前日発売で買っていた馬券が的中していたのか。香港まで来て唯一の馬券的中が日本のレースであるというのは何とも・・・。

12/22(月)

■尖沙咀をお散歩

 ホテルをチェックアウトしたのだが、JTBの係員とホテルのロビーで待ち合わせている時間までかなり余裕があったので、荷物をフロントに預かってもらい、尖沙咀周辺をぶらぶらお散歩。
 ネイザンロードを歩いていると「セビロ、ニセモノ」と話し掛けられる。香港といえば「ロレックス、ニセモノ」と話し掛けられるので有名だが、ニセロレックス売りには残念ながら出くわさなかった。
 しかし、とある店の店先で時計を売っているお姉ちゃんがいた。1個50香港ドル、2個75香港ドル、3個で100ドルだそうである。ブランドもののような時計だが、この値段だと間違いなく偽物だ。そのお姉ちゃんに「Are these the ニセモノ?」と話しかけたが、そのお姉ちゃんは「ニセモノ」の意味が分からないらしい。もうちょっと勉強しろよ(笑)。香港名物とえば私の友人の間では偽ブランド時計なので、おみやげに2つほど買う。残念ながら偽ロレックスは売っていなかったので 99% の確率でニセモノである Calvin Clein の時計を買う。ちなみにちゃんとした時計屋の店先では同じ様な時計が2桁ほど違う値段で売られていた。

 途中お土産屋に入って適当にお土産を買う。その店には何故か「毛沢東語録」(正式名称:毛主席語録)が置かれていた。香港は中国領ではあるが、経済特区で経済的には中国本体と切り離されている筈である。しかし、中国共産党政府の押しつけで土産物屋にはこの本を置かなければいけないことになっているのか?香港では先に書いたように繁体字(日本で言う旧字体)が用いられているのだが、この本は中国本土で用いられている簡体字(中国風の略字)で書かれている。北京からそのまま持って来た本のようだ。社会主義と中国語の勉強のために英訳付のこの本を買うこととした、実は単にネタのためであるが。本気で社会主義を勉強しようと思ったら、毛沢東語録なんかよりも先にマルクスの資本論とかを読まなければならないだろうし。

■帰国

 ホテルから空港まではJTBが用意したバスで向かう。一人やけにガイドさんに話しかけるおっさんがいた。香港慣れしているらしく、ガイドさんよりも香港に詳しいのではと思ってしまうような香港通だ。この現地のガイドさんとも顔見知りらしい。

 そうこうしているうちにチェクラコプ空港に着く。時間はたっぷりあるので免税店などをぶらぶら。タバコを買おうとしたが、日本に持ち込める制限が何カートンなのかがよくわからない。タバコを見ながらとまどっていると、いきなり日本語で「こんちわ〜」と話しかけてくる人がいた。誰だろう?日本人であることはほぼ間違いない。一瞬誰かと思ったが、よく見ると穴場の魔術師さんであった。トレードマークのジャージも千葉ロッテのユニフォームも着ていない。だから、彼だとわかるまでに数秒かかった。穴魔さんに聞いたらタバコは日本のものが1カートン、外国のものが1カートン、計2カートンまでOKだそうである。だから日本と外国のタバコを1カードンずつ買った。彼は私とは別の飛行機に乗るらしいので、その免税店で別れる。ちなみに彼のWeb上の日記には私のことと思わしき人物に対して(競馬の損失補填をマカオのカジノでしてきた事について)「やっぱりバクチ打ちとしてはこうでなくちゃいかんよな。」と書かれていた。ここまで言ってもらえるとは恐れ多いというか何というか。
 タバコ以外で免税店で欲しいものといえば酒である。中国の名物なのか、虞美人や三国志でおなじみの関羽(中国では神とあがめられているらしい)の形をした瓶に入ったワインが売られていた。これが置物としても使えるのですごく気に入った。関羽の形をした酒を買ったら、手に持つ刀の部分は別に取り外して紙に包んでくれた。酒というよりは置物を扱うような丁寧な扱いようである。

 さて、買い物も済んだし、両替をしようと思い空港内の両替所へ。手持ちの香港ドルを差し出し"To Japan Yen"と言うと返ってきた言葉が"Sold Out"。日本円が「売り切れ」か?日本人の誰かが昨日の競馬で両替所の日本円が枯れるほど大勝ちしたのだろうか?ここで両替しなければレートの悪い成田で換金するしかないと言うのに・・・。仕方がないから、なるべく香港でカネを使おうと思った。そして、離陸時間ぎりぎりに買ったのが塗り薬。考えてみたら薬はもともと税金がそんなにかかっていない筈なので、免税店で買うメリットがあまりないんだよな。ぎりぎりのところで成田行きの飛行機に飛び乗り、日本へ帰る。次に来るときはリスボアあたりのホテルに泊まろうかな。そんなことを考えながら。


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