’２３ 中山大障害観戦記

2023年12月23日

　今年は12/23（土）に中山大障害が行われたが、この日は私の出資している２歳馬のニュージーズが新馬戦に出るはずだったので、口取りに備えて指定席は総合インフォメーションに近い場所に取っていた。いつもは中山大障害は大竹柵の正面か内馬場で観戦することが多いのだが、今回はゴール手前のターフビジョンの正面あたりでの観戦である。名物である大障害の飛越を見るのにはそこまで適していない。ゴール前の攻防を見るのに適している場所だ。'17年のオジュウチョウサンとアップトゥデイトの歴史に残る壮絶な直線での叩き合いなら、スタンドのこのような位置で見たかったと思ったのだが（そのレースは内馬場で見ていた）。

　私の馬券の買い目は予想のページに書いた通り、昨年の覇者ニシノデイジーと３連勝中の新星マイネルグロンの馬連一点勝負である。

　年に２回しか使われないＪ・ＧＩ用のファンファーレが厳かに鳴り響き、いよいよレースがスタートだ。

　ビレッジイーグルが出遅れたが馬群を縫うように上がっていき、１周目の正面ではハナを奪った。そのままコースを回って向正面から襷コースに入り、１つ目の大障害大竹柵である。襷コースにある谷を下ってまた上がり、最初の難関大竹柵を飛び越える。ここで、２番手だったニシノデイジーがビレッジイーグルに並んで大竹柵を飛び越えた。そして、着地するとニシノデイジーがハナに立った。離れた３番手以下の残りの馬も全馬無事に飛越。場内からは拍手が起こった。

　逆回りの正面に入ると、人気のマイネルグロンが３番手に上がった。４分の３周すると今度は大生垣である。ニシノデイジー、ビレッジイーグル、マイネルグロンの順番で大生垣を飛び越える。４番手以下は大きく離れていた。それらの馬も全馬無事に飛越し、場内は拍手に包まれた。

　その隊列のまま順周りでレースは続いたが、向正面でマイネルグロンが徐々に仕掛けてきた。３コーナーの平地コースを横切る直前にあるバンケットで、マイネルグロンが先頭に立った。そして直線ではバテるどころかさらに後続を突き離し、10馬身差の圧勝劇を演じた。初めての大障害コースも初めてのＪ・ＧＩも何の問題もなく、むしろ障害入り以降最も強い内容での勝利だった。

　２着はニシノデイジーが粘った。私の馬連一点買いの馬券が的中した。ニシノデイジーはマイネルグロンに10馬身差つけられたものの、３着のエコロデュエルには６馬身差をつけていた。今年は１頭めちゃくちゃ強い馬がいただけで、昨年の勝利はフロックではなく実力であるということが示された。その「めちゃくちゃ強い馬」であるマイネルグロンは、障害馬としてはまだ若い５歳なので、今後の障害界を牽引していく存在になるだろう。

　マイネルグロンがゴールした瞬間、場内から大きな拍手が上がったが、その拍手は徐々に小さくなったものの、最後の馬がゴールするまで鳴り止まなかった。私は最後の馬がゴールした瞬間、拍手を強めた。中山大障害は完走することに意義がある。これが普通のレースとは違うところだ。完走した全ての馬が讃えられるべきである。そして、今年は全馬が無事に完走した。

　ところで、マイネルグロンの鞍上の石神深一騎手はオジュウチョウサンで８年連続Ｊ・ＧＩを勝っていたが、これで９年連続Ｊ・ＧＩ勝利である。年に最大２回しかチャンスがない障害でこの記録は凄いことだ。オジュウチョウサンというもの凄い馬の主戦だったということが大きいが、マイネルグロンもそれに続く存在となれば、この記録はかなりの期間続いていくだろう。