珍名馬列伝

 キンタマーニ 

(2019.2.6)


 このコーナーは珍名馬つまり珍らしい名前の馬のコーナーであるが、馬の世界だけではなく地名にも「珍地名」というものが存在する。海外の珍地名と言われる地名には現地では何ともない名前なのに、日本人が聞くと珍地名に分類されてしまう地名もある。たとえばエロマンガ島やスケベニンゲンの様に。インドネシアのバリ島にあるキンタマーニという地名もその一つだ。バリ島にはキンタマーニ村という村があり、キンタマーニ高原という有名な観光地がある。

 そのバリ島の地名からとった名前からとった「日本の」競走馬がいた。「よく審査を通ったな」と思ってしまう名前だが、地名なのだからしょうがない。

 2005年11月15日ジャパンカップ前日の東京競馬場に、船橋競馬所属のキンタマーニ号が遠征してきた。キンタマーニの中央デビューである。高崎武大さんの著書「2ちゃる騎手―天然ジョッキーたちのウワサの真相」によると、その馬に騎乗する張田京騎手が調整ルームに入る時に「キンタマーニの張田で〜す!」といいながら登場し、ジャパンカップ週の妙な緊張感のあった調整ルームの雰囲気が解れていったらしい。

 そのキンタマーニは2年後のレディースジョッキーズシリーズ2007の最終戦である楽天競馬杯に出走した。レディースジョッキーズシリーズとは女性騎手、つまりキン○マの付いていない騎手ばかりが騎乗するレースである。そのレースへの出走は馬主の意向なのか調教師が決めたのかは分からないが、わざわざそのレースにこの名前の馬を出すなんて狙ってやってるのか??その時に騎乗したのは高知競馬所属のまいーごこと別府麻衣騎手だった。馬名が馬名なだけにさぞ乗りにくかったことだろう(笑)。結果は3着だった。なお、このLJSで別府騎手は楽天競馬杯を勝った宮下瞳騎手と同点で1位タイのポイントを獲得しているが、「最終戦での着順上位者」を上位とする規定により惜しくも2年連続の2位となっている。キンタマーニがもうちょっとだけ頑張ってくれれば優勝だったが、キ○タマは女性には味方しないらしい。

 そのキンタマーニに2代目が登場した。初代は牡馬だったが、2代目は牝馬である。キンタ○がついていないのにキンタマーニ。馬主(つまり名付け親)は初代とは別人である。

 2代目キンタマーニが預けられたのは高知の別府真司厩舎。どっかで聞いたことがある苗字だ。そう、別府麻衣騎手の父親である。そして、別府調教師はそのキンタマーニ号の主戦騎手として娘の麻衣騎手を起用した。まいーごは牡牝両キンタマーニに騎乗経験のある日本唯一の騎手である(2019年2月現在)。本人も公式ブログで「金の鞍賞はキンタマーニに騎乗します」という記事を書いている。その後、2代目キンタマーニは佐賀に移籍するが、高知競馬所属時の高知競馬場でのレースはずっとまいーごだった。


(おまけ)
 競馬と関係ないが、「キンタマーニ」というカレーがある。ロケットニュース24の「【ド迫力】男ならめっちゃ立ってるキンタマーニを体感すべきだ! 屹立するその姿を刮目せよッ!!」という記事に詳しい。スープカレーで有名なラマイという店で札幌を中心に展開している店だが、横浜と大阪にも店舗があるようだ。カレーに南アジアのそれっぽい地名を付けている店はカレーマニアにとってはありふれたことだが、記事をよく読んだところカレーそのものではなくライスの量の呼び方がキンタマーニの様である。Lサイズを遥かに超える超大盛り。大食いに自身のある方はぜひどうぞ。(女性には無理っぽい飯の量でほぼ男性専用なのでキンタマーニと呼ぶのかw?)

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