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嗚呼ラガーレグルス その1

00/5/27

 共同通信杯で大出遅れをかましてゲート再審査となったラガーレグルス。何とか再審査はクリアして皐月賞には出走することができた。

 しかし、その皐月賞で今度はゲートを出ない。スタート時にゲートが開く瞬間に暴れて鞍上の佐藤哲三騎手を振り落としてその場から動かなかったのである。朝日杯3歳ステークスでは落鉄したが、皐月賞では落哲だ。何とか係員がレグルスをゲートから出してゲートを片付けたので事無きを得たが、もし、4角過ぎの直線にあるゲートを片付けられなかったら馬群がコースを1周してきてこれからが踏ん張りどころだというところでエライことになってたぞ。

 競馬のルール上スタート前に暴れて競走不能となった場合は競走除外となる。しかし、スターターがスタートボタンを押した後で暴れて競走不能となった場合は競走中止となる。スポーツの記録として考えれば「完走しなかった」ということで着順という記録もつかず競走除外だろうが競走中止だろうが同じである。しかし、競馬は多くの人のお金のかかったギャンブルなので、それは大きな違いである。競走除外だとその馬の馬券は無効となり買戻しとなるのだが、競走中止だと買戻しにはならない。これが競馬というギャンブルのルールである。

 この件についてラガーレグルス絡みの馬券を買ったファンから「金返せ!!!」の声が上がっているらしい。レース中あるいはレース直後にそう野次を飛ばすのは別にいい。気持ちはわかるし、そう叫ぶのがバクチ打ちとしての正しい姿であるからだ。しかし、整理本部まで怒鳴り込みにいった人が結構いるらしい。このように本当に金を返してもらいにいくのはちょっと大人げない。

 たとえば競艇ならスタートに失敗した選手の舟券は買い戻しとなる。しかし、それは競艇のルールである。競馬は競馬。競艇とは性質が違うものなのでルールが違っても止むを得ない。

 ラガーレグルスの件で買い戻しがあったほうが得をする人はもちろんいるが、損をする人もいるのである。それは馬券を当てた人。当たり目には変化はないが、配当が下がってしまう。もちろん、ラガーレグルスがスタート前に暴れて除外になれば配当は安くなるが、それはそれでしかたがない。ギャンブルである以上リスクは存在するわけであり、要は不慮の事故によるリスクをどれだけもたせるかである。

 競馬と競艇や競輪の違いは「乗り物」が故障した場合、代わりのものを使ってレースに出場できるかである。競馬の場合、スタート前に馬が競走不能になったからといって代わりの馬を走らせるわけにはいかない。これが競輪や競艇ならその選手が出走する限り、変わりの自転車なりボートなりで出場できる。また、馬(特にサラブレッド)はデリケートな動物であり、出馬登録したあとで突然故障をしていることが判明したりする。放馬して疲労が残っていることもある。つまり、スタート前におわってしまう可能性が他の公営競技に比べて高いのである。

 しかし、馬券を買うほうは配当との兼ね合いを考えて買い目を絞ったり資金配分を考えたりしている。皐月賞のラガーレグルスのようなスタート直後の事故まで認めているとオッズが狂う、つまり「せっかく当たったのに期待した配当が得られない」ケースが増えてくる筈である。「儲けるように馬券を買ったが元割れ」ってこともあるし。レグルスの場合はゲートから出なかったわけだが、競艇ルールで考えればある程度以上の出遅れも買い戻し対象にしなければいけなくなるわけだし、それだと「期待した配当が得られない」というリスクがかなり多くなる。もちろんスターターがスタートの合図をした時点で勝つ可能性が0の馬は買い戻すべきだが、買い戻し回数があまりに多くなると馬券戦略が立てづらくなるわけだし、人ではなく馬が走るという競馬という競技の特殊性を考えたら、皐月賞のレグルスは買い戻しの必要はないだろう。

 もちろん以前にあった「斤量を積み間違えた馬が失格になった」件ではその馬はスタートする前から馬券対象にならないことが確定していたわけだからその馬の馬券は買い戻すべきだが。でも、実際は買い戻しがなかったんだよな。この点についてはルールを変えるべきだ。


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