馬三郎の特長は、「その日に開催されている中央競馬の全レースの馬柱が掲載されている」ということだ。例えば、東京・京都・小倉各競馬場で12レース開催されている日は、合計36レースの馬柱が手に入る。しかも、京都なら京都だけ抜きとることができるという紙面構成。それで400円という値段だからお得である。
馬三郎は99年3月に創刊された。99年3月といえばPATの会員が急増した時である。私もその時にやっとPATが当たった。通常関東地区の競馬場やWINSでは関西のレースは特別戦(日や場所によってはメインレース)だけしか買えないが、PATなら全レース買うことができる。
また、夏のローカル開催時には競馬場やWINSにいって、例えば新潟と札幌両方の馬券が買える時でも、新聞は新潟版・函館版に分かれていて、その競馬場ないしWINSで馬券購入可能なレースをすべて検討したいのなら新聞が2つ必要である。私も新聞は新潟しか買わず、新潟のレースで勝負していて、新潟のレースが終わった直後に鳴り出した北海道のファンファーレを聴いて疼くものがあった。私の場合特に北海道のファンファーレが好きなだけに血が騒いでくる。そういう時でも馬三郎を買っていれば、新潟も札幌も馬券を買うことができる。馬券を買わずにただレースを見るだけでも、競馬新聞の馬柱があったほうがそのレースがどういう条件のレースで、出てくる馬がどういう馬なのかがわかりやすくていい。
去年のオークスの日、私は朝から競馬場入りし、指定席で観戦していたが、ノートPCからPATで中京のレースを買い、万馬券を的中させることができた。また、先日、自宅で裏開催の馬券をPATで買って東京競馬場に出陣して小倉の勝負レースを馬三郎を見ながら短波ラジオで聴いていたら、見知らぬオッサンに「小倉は何が勝ったの?」と聞かれた。結果を答えた後でオッサンに「買ったんですか?」と問いかけたら「買えないんじゃなかったっけ?」という反応が返って来た。(オッサンはPATというものを知らないらしかったが、説明するのが面倒なので電話投票みたいなもので買ったといっておいた。電話回線を通じて投票したので間違いではないだろう。) こういうとき、そこで馬券を売っていない筈のレースで勝負できるというささやかな優越感みたいなものが感じられる。
もちろん、馬三郎は一般の新聞と比べて欠点もある。まず、紙質。普通の競馬新聞のような上質紙は使っておらず、一般紙のような紙を使っているので、ペンで印を付ける時に裏写りしたりする(もちろん使用に耐えられないほどではない)。あと、成績欄で1(2)着馬との差がタイム差で書いてあったり馬身差で書いてあったりと統一がとれていない。1馬身差以内なら馬身差でそれ以上ならタイム差が書かれているようにも見えるが、やはり統一がとれていないのはちょっと見づらい。これはデイリースポーツの特徴なのか?私は阪神ファンでは無いのでデイリースポーツはほとんど読んだことがなく、よくわからないが。
この馬三郎、現在は首都圏限定のようである(東京23区内だと宅配もやっている)。しかし、せっかくPAT向け新聞なのだから全国発売しても良さそうなものだ。PATを利用する人は競馬場やWINSの無い地方に多いと思うし、そういう地方では他の競馬新聞すら売られていない可能性がある。そういうところこそ売れるだろう。まあ、首都圏だけ限定販売なのはどれだけ売れるかわからないので、まず首都圏で試験的に販売しているだけで、売れたら全国展開するのかもしれないが。売れるかどうかわからない新聞を全国に流通ルートや販売チャネルを確立するにはかなりの手間とカネがかかるだろうが、関東だけなら、もし売れなくて事業撤退という時もリスクが最小限ですむし。
去年の天皇賞(春)の時に、私は淀に遠征に行っていたのだが、私の近くの席に馬三郎が置かれていた。関西では売っていない筈なので、関東から遠征に来たか、前日関東に遠征していた人なんだな、ということがすぐにわかった。残念ながらその馬三郎を置いている席には誰も現れなかったが(座りもしない席を確保しておくなんてマナー違反だぞ!)。例えば遠征に行くときも馬三郎は便利だろう。前日から馬券検討ができるし、もしくは朝早く馬三郎を買って、新幹線で関東から関西に向かう新幹線の中で読むこともできる。
やはり、競馬新聞は全開催場揃っているのが便利である。馬三郎がもっと売れて全国展開してくれることを大いに期待しよう。あるいは、馬三郎以外の同様の新聞が出てくるというのも可(笑)。