この店の揚げはんぺんがお気に入りだったが、メニューから消えてしまった。
煙草をくわえながらオケラ街道を歩く。そして西門の奥から2番目の店「みやこ」の店先のテーブルに腰を落ち着ける。テーブルには灰皿が置いていなかった。
厨房から店員のおばちゃんが「いらっしゃ〜い。何にしましょうか?」と威勢のいい声をかけてくる。
私はそのおばちゃんに負けないような(?)威勢のある声で「灰皿」と答える。
(一応この店には何度も来てて、店員さんとは顔見知りだからこんな冗談が言えるのである。初めてのお客さんは真似をしないほうが賢明だろう。念のため。)
店員さんが灰皿を持ってきたので「とりあえずビール」と注文する。「キリンですね」と店員。この店にはキリンとアサヒの瓶ビールと中ジョッキがあるのだが、「ビール」といっただけでこちらの注文がわかるらしい。何度も来た店だからな。
この店はプリエミネンスの写真が飾ってあったりしてオーナーブリーダーであるグランド牧場と結びつきが強いらしい。グランド牧場はそのネーミングセンスや渋い血統から好きな馬主の一つである。この日は、以前来た時はなかった「ホンモノ」という馬のゼッケンが店先に看板代わりに吊されていた。主戦騎手梶晃啓のサイン入りである。ちゃんと「みやこさんへ」とも書かれれている。梶騎手本人がこの店に来たのかどうかは不明でるが。ちなみにホンモノという馬はグランド牧場の所有する競走馬であり、ジェニュインとは別の馬である。(ちなみに私は最初この馬の名前を見た時はニセジェニュインと呼んでいた。)
ビールだけ頼んで食べ物を頼んでいなかったのでおでんや持つ煮を注文すると、店員さんが「メンチはどうですか?おすすめですよ」と声をかけてくる。だから「揚げはんぺんは無いのですか?」と聞いてみた。揚げはんぺんとは珍メニューのコーナーでも取り上げたが、私の西門の最大のおすすめメニューである。チーズの入ったはんぺんを揚げたものである。しかし、しばらく前に残念ながらメニューから消えてしまった。おばちゃんが「揚げはんぺんはもっと寒くならないとやらないのよ。チーズが持たないから。もうちょっと寒くなったらやるからね。」と答えた。結局揚げ物が食べたかったのでメンチも注文してしまう。
季節は晩秋。最終レースが終わってから西門に行くと外は暗くなり、肌寒くなり始める季節である。もうちょっと経つと西門のメニューで最も大好きな揚げはんぺんが復活するのか。この店には冷蔵庫は有るはずなのだが。現にメンチは冷蔵庫から出したものを揚げていた。冬季限定の西門名物揚げはんぺん。とりあえず永久に復活しないのではという不安は消えた。これが出てくるのが待ち遠しい限りである。