プロは馬券でメシを食う?

バックナンバー(5/21-6/4)

6/4

東京     安田記念 (G I)     芝1600m
4歳上定量

 日本に馬を送りこんだらただじゃ帰らせない。それがUAEのモハメド殿下である。ハートレイクも日本初出走の京王杯SCは5着に敗れたが、安田記念を制した。2年目は逆だったが。そのモハメド殿下が、今年はディクタットという馬を送りこんできた。ステップレースの京王杯SCは6着。しかし、脚慣らしのG2などはどうでもよく、G1では万全の状態に仕上げてくるかもしれない。何せ実績ではこのレースの出走メンバー中No1である。まともに走ったら怖い存在だ。ましては前回の代打騎乗ホランド騎手から主戦騎手のデットーリに鞍上は戻る。1400m以下しか経験のないのが気がかりだが、ヨーロッパの直線だけの競馬での実績から、スタートしてからの直線距離が長く厳しい流れとなる東京マイルコースには向いているだろう。というわけでディクタットが本命である。

 ・・・と週始めに(公開はしなかったが)上記のような原稿を書いたら、デットーリ騎手が飛行機事故で骨折。不幸中の幸いで命には別状はないようだが、ディクタットへの騎乗はできず、枠順発表の時は騎手未定の状態で発表された。陣営はモハメド軍団の欧州でのデットーリに次ぐ主戦であるオドノヒュー騎手に騎乗を依頼しているらしいが、出国手続きが間に合うかどうかは微妙(日本時間6/2午前中現在)であり、日本人騎手が乗るかもしれない。騎手がデットーリではなくなるのは痛い。デットーリがだめでもわざわざ急遽外国から騎手を呼んで(しかも自国での騎乗をキャンセルさせて)乗せようとすることは意気込みの現れだと思うが、いくら昨年来日経験がある騎手とはいえ、急に言い渡されて着いたらいきなり乗ってくれでは時差ボケに対応できるかどうかが怪しい。普通のサラリーマンでも急に(時差がある程度以上ある国に)海外出張を命じられて、しかも現地に着いたらいきなり仕事では気が滅入ってしまうところだろうが、体調管理が重要な騎手という職業の場合はなおさらだろう。かといって日本人の代打騎乗でもディクタットの持ち味をフルにいかすような騎乗はできないと思う。だから、一応押さえはするが、本命は変更。

 G1級の馬が多く豪華メンバーなレースであり、混戦なので馬券的にも面白いが、騎手の乗り代りが目立つ。前述のディクタットや先週怪我をした柴田善臣が乗っていたキングヘイローはしょうがないにしても、ウメノファイバーは後藤ではなく蛯名だったら本命にしていたところだし、スティンガーにも武豊or岡部が乗って欲しかった。有力どころに主戦以外の騎手が乗っている馬が多い。

 本命は主戦の藤田に戻ったレッドチリペッパー。府中芝コースでは勝率5割・連対率7割5分・複勝率10割と得意にしているコースである。唯一連を外したのが今回と同じ1600mのNHKマイルカップだが、もともと1600mという距離自体複勝率10割と得意としているので大丈夫だろう。この馬は鞍上が主戦の藤田騎手に戻った。藤田は人気馬よりもこの馬のように△を中途半端に背負った馬のほうが得意なので魅力である。

 混戦なので相手は手広く。前述のディクタットの他にスティンガーブラックホークキングヘイローウメノファイバーシンボリインディイーグルカフェマイネルマックスといったG1馬に(マイネルマックスは3歳G1だが)加え、何故か武豊がスティンガーに乗らずにこちらを選んだアドマイヤカイザーあたりが相手。あとそれからこのところ2着に来て穴をあけることの多い香港馬ということでフェアリーキングプローンも押さえておこう。







レッドチリペッパー ディクタット200pts
スティンガー
ブラックホーク
キングヘイロー
ウメノファイバー
シンボリインディ
イーグルカフェ
マイネルマックス
アドマイヤカイザー
フェアリーキングプローン

1着フェアリーキングプローン1:33.9
2着ディクタット1.1/4
3着キングヘイロークビ
4着スティンガー3/4
5着トロットスタークビ
単勝123,990馬連10−1214,700
複勝12830ワイド10−123,780
103209−124,270
3709−101,790
枠連5−66,850




 どうも、3週連続で木曜日の時点では予想が当たっていたのたにです。オークスの時は雨が降ったのでチアズグレイスを軸から押さえに変更したら2着に来るし、今回はデットーリが事故で負傷してディクタットの騎手が変わったので軸から押さえに変えたら2着にくるし。一番大金をつぎ込んでいたダービーだけは初心貫徹で買って当たったからまだいいのか。

 勝ったのは香港馬フェアリーキングプローン。調教は良くなかったがそれでも勝ってしまう。おそるべし香港馬。香港の馬が日本にやってくる時は勝負がかりのことが多く、好走するので注意が必要だ。実際に私が買った馬券はここに書いたものの他にフェアリーキングプローンの複勝を300円ほど買っていたので安田記念はどうにか元割れにならない程度の払い戻しは受けたのだが、勝つんだったら単勝を買っておけば良かったかな。「勝つのは無理でも2着か3着ならあるだろう」と思ったので複勝にしておいたのだが。香港馬は日本のG1を初制覇である。

 2着はこれも外国馬ディクタット。デットーリ騎手の直前のリタイヤで急遽オドノヒュー騎手が代役で日本に呼ばれたが、急な乗り変わりであったことを考えると、好走といっていいだろう。デットーリが予定通り乗っていたら勝っていたかもしれないが。結局2頭しか出走していない外国馬のワンツーで決まってしまう。日本馬は地の利は生かせなかった。

 3着、つまり日本馬最先着はキングヘイロー。この馬が現時点での日本マイル路線で一番強い馬であることになった。スプリントG1を勝ったものの、この馬の本質はマイラーだと思うので、マイルG1を一度は勝ってほしいものだ。

 我が本命のレッドチリペッパーはいいところがなかった。追いこみ馬は不発に終わると見せ場すら作らずに終わってしまうが、まさに見せ場すらなかった。


5/28

東京 東京優駿(日本ダービー) (G I) 芝2400m
4歳牡牝定量

 馬主や調教師、生産者等競馬関係者にとって特別なレース。馬にとっても一生に一度の特別なレースである。ジャパンカップのほうが賞金が高くなったとはいえ、やはり格とか重みはダービーが一番である。競馬場にもダービーデーは独特の雰囲気が漂い、気持ちも高ぶってくる。もちろん、騎手にとっても特別なレースである。

 私が今までに見たダービーの中で(というより競馬の中で)一番感動したのが7年前の第60回日本ダービー。ウイニングチケットが勝ったレースである。場内の実況がゴール前で「ウイニングチケット、柴田政人、ウイニングチケット、柴田政人」を連発していた。そしてゴール後はあふれんばかりのマサトコール。実況の台詞の「勝ったのはウイニングチケット、柴田政人」というのが印象深い。勝ったのはウイニングチケットでもなければ柴田政人でもなくあくまで「ウイニングチケットと柴田政人」なのである。ダービーを勝つ器をもった馬が名手を乗せて人馬一体となっての必至の勝利である。ダービーは柴田政人ほどの名手でもなかなか手にできなかったタイトルであり、ダービーを勝てるほどの馬がまわってきて結果的に最後のダービーとなった第60回ダービーでやっとその栄冠を手にしたのである。

 ダービーとは冒頭で述べたように独特の雰囲気のあるレースであり、ものにするには場慣れが必要であるので、ベテラン騎手に有利なレースである。勝てばこの上ない名誉であるが、なかなか勝つのが難しい。その難しいはずのダービーを2年連続で勝っているのが武豊である。今年はエアシャカールで前人未踏の3連覇を狙う。しかし、3連覇なんてそう簡単にできるものではない。3年連続連対なら93年から95年にかけて岡部騎手が3年連続2着なのであるが。

 3連覇のかかるエアシャカールはおそらくかなりの人気になるだろう。なんといったって武豊騎乗だし。しかし、3年連続ダービーを勝つほどの困難さを考えると勝てないということも考えられる。単勝を買うにはリスクはあるがリターンは少ない。皐月賞だってダイタクリーヴァにやっと勝っただけだし。2着にはくるだろうから馬連で買うとしたら押さえなければいけないが。人気をかぶるだろうから他の馬の単勝を買うのが面白いだろう。

 本命はアグネスフライト。この馬の単勝勝負である。鞍上はベテラン河内洋。これほどの名手がまだダービーを制していないのである。馬も長くいい脚を使える府中向きの馬であるし、そろそろ河内にもダービージョッキーの順番がまわってくるはずである。関東遠征が始めてというのが気がかりだが、実力的にエアシャカールやダイタクリーヴァと比べても遜色はない。名手河内のジョッキーとしての意地に期待しよう。





アグネスフライト5000pts

1着アグネスフライト2:26.2
2着エアシャカールハナ
3着アタラクシア3.1/2
4着トーホウシデン1.1/2
5着リワードフォコンクビ
単勝510馬連2−4600
複勝210ワイド2−4350
1204−132,230
135402−131,120
枠連1−2540
[的中] 500 x 5.1 = 25000pts




 エアシャカールは道中後ろから3番手につける。そしてアグネスフライトはそれを見るように最後方から。4コーナー手前で馬群が一団となり、長い府中の直線での追い比べが始まる。

 長い府中の直線は長くいい脚の使えるアグネスフライトに有利に働いた。ゴール前では先頭を行くエアシャカールと追いこむアグネスフライトの叩き合い。

 17回目のダービー挑戦で初制覇にかける河内洋。そうはさせるかと武豊。エアシャカールは最後外に大きくよれて審議の対象に。アグネスフライトに体当たりをせんかという勢い。武豊もデビュー当事にさんざんいい馬をまわしてもらったんだから、ここではダービー未勝利の大先輩の兄弟子に華を持たせようとしてくれよ!それにひるむことなくアグネスフライトは鼻差先着。執念の勝利だった。当然審議になったが被害馬が最先着なので着順は到達順位通り確定。おめでとう、河内!!!

 結果的にアグネスフライトが先着したからよかったが、もし、加害馬エアシャカールが先着して降着になり、繰り上がりの1位がアグネスフライトになったら、せっかくの河内のダービー初制覇がしらけてしまっただろうな。プレクラスニーが勝った秋天と違って勝ち馬が直接被害を受けたのだから「タナボタのG1馬」とは言われずにすむだろうが。そういう意味では7cmでもアグネスフライトが先着しておいてよかっただろう。

5/21

東京    優駿牝馬(オークス) (G I)    芝2400m
4歳定量

 断然の人気を背負った桜花賞で4着に敗れたサイコーキララは石山騎手が続投である。鞍上が不安だといわれているが、桜花賞ならともかくオークスでは鞍上云々以前の問題として距離がもつかどうかかなり不安である。鞍上が石山ではなく武豊やアンカツでも消すことができる。武豊やアンカツのほうが人気をかぶってくれるので喜んで消すのだが。

 有力馬が何頭もいる混戦模様。馬場が良ければチューリップ賞の惨敗さえなければ当然桜花賞でもここでも人気になる筈なのに何故か人気のないチアズグレイスを本命にするところだが、チューリップ賞の敗因は不良馬場と考えられるので、雨で馬場が悪くなりそうな今回はあくまで押さえ。

 本命はマヤノメイビー。桜花賞は鉄砲だったが2着。叩いて良くなるはずだし、鞍上も四位と強化されているの。まだデビュー以来4着以下がなしと底を見せていないところが魅力である。

 その他の馬では桜花賞上位人気馬で唯一人気通りの競馬をしたシルクプリマドンナが狙えると思うのだが、今回は1番人気になる模様。1番人気の藤田はいまいち信頼がおけないので連の相手にとどめておく。藤田が乗るのが房雄−田原ラインのフサイチユーキャンなら、人気薄の一発が怖いのでフサイチユーキャンを押さえておくのだが。

 その他では牝馬の河内騎乗でこのレースで桜花賞直行以外で良積を残しているローテーションである忘れな草賞の勝ち馬グランパドドゥ。長くいい脚が使える府中向きのタイプの馬フューチャサンデー。武豊に鞍上が強化されたトライアル勝ち馬マニックサンデー。それから馬場が重くなりそうということもあるのでダートで実績のあるバイラリーナも一応押さえておく。





マヤノメイビーシルクプリマドンナ1000pts
チアズグレイス500pts
グランパドドゥ
マニックサンデー
フューチャサンデー300pts
バイラリーナ200pts

1着シルクプリマドンナ2:30.2
2着チアズグレイスクビ
3着オリーブクラウン1.1/2
4着レディミューズ1/2
5着グランパドドゥクビ
単勝370馬連5−121,630
複勝150ワイド5−12680
122605−167,600
162,43012−1617,390
枠連3−61,260




 結局騎手が藤田でなければ軸にしたシルクプリマドンナと雨さえ降らなければ軸にする予定だったチアズグレイスで決まってしまう。縦目も1点だけ押さえておくべきだったか。繰り上がりで軸にしたマヤノメイビーは12着。スギノフォルモーザにすら先着できずにどうするんだ。

 藤田騎手の1番人気でのG1制覇は初めてではないだろうか?タケノベルベット、フサイチコンコルド、シルクジャスティス等穴馬にのると強いイメージはあるけど。

 2着も勝ち馬と同じ山内厩舎のチアズグレイス。3頭出しのうちの2頭が連対である。オークスの時間帯は雨があがり馬場状態はやや重。不良馬場なら全然ダメだがやや重程度の馬場だったら十分いけるのか。

 3着に人気薄のオリーブクラウンが来たのでワイドは大荒れ。


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