今年からついにダービーが○外に頭数制限付きで解放。父内国産種牡馬選定レースに外国産馬が出てくるのもいかがかと思うが、ＪＲＡも「外圧」には勝てないようだ。海外から一流種牡馬を買いあさりまくったツケが回ってきたのかもしれない。

　「外圧」といえば鎖国時代の幕末日本にやって来た驚異「黒船」である。そして今年のダービーにはＮＨＫマイルを勝った期待の外国産馬クロフネが出走する。オーナーも狙ってつけた名前らしい。○外解放元年ということで○外クロフネが人気になりそうである。アグネスタキオン／ゴールドやメジロベイリー、タガノテイオーなど有力どころが軒並み怪我でリタイアしたせいで、今年のダービーはクロフネ、ジャングルポケット、ダンツフレームのほぼ３頭で決まりそうである。

　ダービーは１番人気馬がとにかく強い。過去１０年で９回連対。例外は３着だったメジロブライトのみ。今年は１番人気がクロフネの可能性が高いが、○外参戦という過去にはない条件のもとなので内国産で最も人気のあるジャングルポケットを本命としたほうがいいのか。

　クロフネはＮＨＫマイルの時は距離不足と言われていた。2000mばかり使われて、しかも結果を残しているのだからそう思われていたのだろう。しかし、父フレンチデピュティはマイル種牡馬である。ＮＨＫマイルもフレンチデピュティ産駒のワンツーで決まったものだ。また、中２週で距離が極端に違うＧ１に出走というローテーションにも疑問がある。○外であること、武豊騎乗ということで人気が過剰気味である。他にももっと簡単に出走権を得られそうなトライアルがあるにもかかわらずＮＨＫマイルを使った厩舎サイドの意図は「どうしてもＧ１を勝ちたかったから」なのかもしれず、ＮＨＫマイルを中心に仕上げているのかもしれない。人気の割には確実性に欠けているような気がするのでここでは消す。

　本命はジャングルポケット。皐月賞は間がちょっと開いたため３着止まりだったが、叩いた今回は狙い目。父トニービンは先週も産駒のレディパステルがオークスを勝ったように府中の2400mに向いている。距離適性がベストな上に、いい脚が長持ちして坂路にも強いので東京コース向きの種牡馬である。トニービンは初年度産駒（９３年クラシック）からいきなりオークス（ベガ）、ダービー（ウイニングチケット）と連勝した（ただし、その時はサンデーサイレンス産駒がデビューしていなかったが）府中巧者であり2400m巧者である。鞍上の角田というのも魅力である。クロフネの武豊はすでにダービーを２勝、ダンツフレームの河内は昨年勝っており、「実力があるがダービー未勝利のジョッキー」が勝つことの多いダービーでは、そろそろ順番がまわって来るだろう。

　対抗はダンツフレーム。といっても本命−対抗の馬連１点で勝負予定のためどっちが本命でどっちが対抗でも一緒かもしれないが。アグネスタキオンが戦線離脱したのでダービー出走馬ではこのダンツフレームが皐月賞最先着であり、デビュー以来連を外していない安定したレースぶりも魅力である。また、ブライアンズタイム産駒だけに距離延長はプラスに作用するだろう。アグネスゴールド、アグネスタキオンと超一流の乗り馬が怪我で離脱した河内であるが、それでも有力馬がまわってきた。両アグネスの無念さをこの馬で晴らして欲しい。