もう「第７０回」なのか。私の競馬人生の中で最も感動的だったレースであるウイニングチケットのダービーが「第６０回」（府中のスタンド「メモリアル６０」の名前の由来ともなっている）なので、あれからもう１０年もたってしまったのか。１０年たってレース体系の変更等も行われてきたが、ダービーの重みというものは１０年前と変わっていないだろう。そう信じたい。

　ダービーは馬主や調教師、生産者等競馬関係者にとって特別なレースである。馬にとっても一生に一度の特別なレースである。ジャパンカップのほうが賞金が高くなったとはいえ、やはり格や重みはダービーが一番である。馬券師としてもやはりダービーは他のレースよりも的中したときの充実感が大きい。競馬場にもダービーデーは独特の雰囲気が漂い、気持ちも高ぶってくる。ぜひとも的中させたいところだ。

　ダービーと言えば１番人気が好走するレースである。必ずといっていいほど連に絡んでくる。ダービーで一番人気に支持されるということはそれだけ実力が認められていて、しかもその実力が大舞台で発揮できる馬が多いということなのだろう。同じ大レースでも競馬を良く知らない人まで馬券を買う有馬記念では人気がぶれていることが多いが（有馬ではミーハー受けしそうな馬を外して買えば確実に期待値は上がる）、ダービーの場合はコアな競馬ファンが気合いを入れて買うといったタイプの大レースなので、むしろ馬券を買う大部分の人が実力を分析して買うのでこのような傾向になるのだろう。

　というわけで一番人気の馬は外せないだろう。一番人気はネオユニバースだ。重賞３連勝で皐月賞まで征したわけだし、重馬場も苦にしない。皐月賞でも強い勝ち方で勝ったわけなのでダービーでもその力を信じてよいだろう。わざわざこのレースのために帰国中のデムーロを呼び寄せたということに陣営のやる気も感じられる。当日は雨になりそうだが、重馬場実績もあるので馬場が重くてもＯＫである。３強のうちで最も信頼のできる馬でもあるので、軸はネオユニバースに決まりである。

　対抗はシンボリルドルフ→トウカイテイオーに続き親子３代ダービー制覇を狙うマイネルソロモン。キャリアは少ないがここまで無敗で来ており、新装東京競馬場でも実績がある。（今年の場合東京初出走が多いので東京実績のある馬を探すのは難しいが。）ダービーはダービーを勝ったことの無いジョッキーでそれなりのキャリアがあり、実力もある騎手が勝つことが多い。今年の出場騎手だとそれに該当するのは柴田善臣騎手が筆頭だが、関西の有力ジョッキーであるマイネルソロモンの鞍上の四位洋文騎手もそろそろ順番が回ってきても良さそうである。当日は雨になりそうだが、母父ロドリゴデトリアーノなので血統的に重馬場のほうが良さそうなのが強み。

　▲は「順番が回ってきそうな騎手の筆頭」と書いた柴田善臣騎手騎乗のリンカーン。母はダービー馬フサイチコンコルドの半妹であるグレースアドマイヤという良血馬である。母の父はトニービンなので府中向きの脚があるだろう。大レースに強いサンデーサイレンスが父、府中に強いトニービンが母父、母母も良血馬という血統的には最もダービーに近いところにいると言っても良い。連勝の勢いに乗ってダービーもこのまま制覇といきたいところだ。

　その他の注目馬はタカラシャーディ。青葉賞はゼンノロブロイの２着(0.2秒差）だったが、ゼンノロブロイは権利取りのために一杯に仕上げて来たのに対し、タカラシャーディはすでに重賞を勝っていて賞金的には余裕の仕上げでの出走と思われるので上積みという意味ではタカラシャーディに分がある。両者の人気差を考えるとタカラを狙った方がよさそうだ。もう１頭はダービーに強いといわれる弥生賞勝ち馬のエイシンチャンプを押さえることとする。