吉祥寺といえば全国的に知られた地名であるが、その吉祥寺がある武蔵野市といえば東京都民ですら知らない人もいる。別に競馬場所在地でもないのだしそういう有名とは言えない都市名をわざわざレース名にしなくてもと思っている人もいるかも知れないが、実は武蔵野とは現在の多摩中東部一体を占める広域地名なのであり東京競馬場もその中に含まれる。府中の大國魂神社の前あたりに「武蔵野の･･･」という万葉集の歌の石碑があるので、万葉集の時代から現在の府中がそう呼ばれていたのは間違いない。

　今年の武蔵野Ｓではダート初挑戦のフサイチリシャールが人気になっている。父クロフネもダート初挑戦でこのレースに出てきて圧勝した馬であるし、リシャール自体が芝での走りを見る限りではマイル辺りが最も適性がありそうに思える。しかし、ダート実績が全くない割には人気になりすぎである。先週の菊花賞では「未知の魅力」と言って推した実質初芝の馬がビリだったので、今回も未知の魅力を信じるのは危険なのではという気がする。そもそも不安定要素のある馬は人気薄なら買いで、人気なら敬遠するのが儲けるための予想をする期待値重視派の鉄則である。今回はクロフネと像がかぶるという理由で人気先行しているため、評価を下げる。そもそも芝での実績がそこそこあるもののクロフネと比べると見劣りしているし。

　同じ新興勢力３歳馬を狙うならダートですでに実績を残しているヤマタケゴールデンを本命とする。ダービーグランプリ４着とそこそこ強いだけといった感じの馬に見えるが、この馬のダート実績は府中に偏っている。特にこの1600mのコースは重賞ユニコーンＳ２着とベストといえる。鞍上が相変わらず池田鉄平というのが不安だが、大して人気にもなっておらず府中でこその馬なのでここは積極的に狙っていきたい。父は府中ダート1600mのGIで初ダートながら１番人気のなった馬だし･･･といってもリシャールの父と違って好走したわけではないので関係ないか。まあ、リシャールと決定的に違うのは父とダブった像をイメージする人が少なく人気過剰にならないといった強みがあることか。

　相手は府中適性を考え、トーセンブライト、チョウカイロイヤルといったところ。その他比較的堅めの傾向があるということでフサイチリシャールを含めた比較的人気の馬に流しておく。