日本ダービーは１８頭立てとなって以来１番人気の馬が活躍するレースだった。関係者にとってもそうだが、競馬ファンにとっても思い入れのある特別なレースである。競馬ファン以外も馬券に参加する有馬記念はそうでもないのだが、馬券に参加する大部分が競馬ファンで、その競馬ファンがいつもよりも熱心に予想して結論を出して馬券を買うダービーは人気と実力が一致することが多いのだろう。

　ということをここ何年か日本ダービーの予想の冒頭で書いているのだが、ここ４年で１番人気が連対したのはオルフェーヴルだけ。傾向が変わってきている感がある。圧倒的に抜けて強い馬がいれば素直に信頼していいのだが、そうでない場合は必ずしも来るとは思わないほうが良いだろう。今年はキズナとロゴタイプが１，２番人気を争っていて最後までどちらが１番人気になるかが分からないが、結論から言うと本命はロゴタイプで、キズナは紐に押さえる程度の評価とする。

　というわけで本命は皐月賞馬ロゴタイプ。皐月賞では「ローエングリン産駒は1800mまでだと優秀な成績を残しているが、2000m以上だと14戦して３着すらない」と距離不安説を唱えて消しとしたが、それを嘲笑うように快勝した。ローエングリン産駒は1800mを勝ったのもロゴタイプだけで、本質的にはマイラータイプの種牡馬なのだが、ロゴタイプは例外と考えて良い。3000mならどうか分からないが、2400mならこなせるだろう。田中剛厩舎は重賞成績が半端無くいい厩舎なので、やはりここは狙って行こう。皐月賞ほど一本かぶりの人気になっていないのも好材料だ。ただ、不安があると言えば鞍上が弱冠20歳のクリスチャン・デムーロ騎手だということ。彼の技術は一流だが、ダービーは特別な雰囲気のあるレースである。若い騎手やダービー出走経験が無い騎手は人気でも苦戦することがほとんどだ。ここで勝てば田島良保の23歳7ヶ月という中央競馬最年少ダービー制覇の記録を更新することとなる（歴代ダービー騎手では前田長吉の20歳3ヶ月と言うのに7ヶ月ほど及ばないが、前田（クリフジ）の時は戦時中で一流騎手が軒並み徴兵されていて騎手が手薄だったという特殊事情がある）。騎手としての技術的は20歳とは思えないくらい一流だが、雰囲気に呑まれずいつもの騎乗ができるかというのが課題となる。

　対抗はコディーノ。２歳時は世代最強と思われていた馬だ。東スポ杯以来勝利は無いものの、その後もＧＩ、ＧIIのハイレベルなレースで２着、３着と好走しており、単なる早熟馬ではない。藤沢和厩舎は３頭出ししてきており、しかも関東の厩舎でありながら早めに東京競馬場入りさせて東京競馬場で追いきりを行っている。かつては関東でダントツの成績でリーディングだった名門厩舎が、本気でダービーを狙ってきている。もちろんダービーはどの陣営も本気で勝ちたいと思っているレースであり、俗に言う「ヤラズ」な馬は１頭もいないと思うが、藤沢厩舎の気合の入り方は半端ではない。安定味のある馬の割には人気の盲点になっているので最も馬券的妙味のある馬はこの馬だ。

　その他の馬では冒頭でも挙げたがダービー一本に絞ってきて京都新聞杯でも危なげない勝利を遂げたキズナと、ダービーと同じコースで行われたトライアル青葉賞の勝ち馬ヒラボクディープを押さえておこう。ただし、過去10年前走がＧＩ以外の馬は２着はあるものの勝っていないので、紐で押さえておく。

　人気の一角であるエピファネイアは今週ソエが出ていることが発覚したので消し。ソエ程度ならレースに出てきて勝つことも多いのだが、さすがにどの馬も勝ちに来るダービーではよっぽど抜けて強い馬じゃない限り難しいだろう。レースでの影響もそうだが、それで調教に若干の狂いが生じたのが痛い。人気がなければ買うのだが、人気になりすぎているので今回は消しとする。