１年の締めくくりの大一番・有馬記念である。有馬記念といえば国民的行事であり、普段競馬をやらない人も馬券に参加してくるレースである。そういう競馬をよく知らない層の人には、誕生日等のラッキーナンバーや語呂合わせ等、馬の実力やレース展開等と全く関係のない馬券を買う人も多く、それは確率的には全ての目に均等にバラ撒かれる。したがって、人気サイドの馬を狙った方が美味しい配当にありつけることが多い。

　ただし、ここで注意が必要なのは「素人受けしそうな馬は過剰に売れる」ということである。今回の１番人気のキタサンブラックはその部類に入るだろう。馬主が有名人の北島三郎さんであり、鞍上が競馬を知らない人がほぼ唯一知ってる騎手である武豊騎手である。いかにも素人受けしそうな組み合わせだ。他には大魔神佐々木主浩氏の持ち馬シュヴァルグランなんかが（キタサンほど極端ではないが）それにあたる。

　というわけで、素人には受けなさそうな有力馬を本命にしよう。本命は菊花賞を勝った３歳馬のサトノダイヤモンド。前走菊花賞を勝った馬は有馬記念で好走することが多く、過去10年でも[2,0,1,1]という好成績だ（ちなみに３着は昨年のキタサンブラックで着外は競走中止したスリーロールス）。今回は池江厩舎が３頭出しをしてきて勝負を賭けてきている。もちろん主力はルメール騎手を乗せるサトノダイヤモンドだろう。他の２頭はアシスト役に回る可能性もある。皐月賞では接触の振りがありながら３着、ダービーは落鉄していながらマカヒキにハナ差まで詰め寄り、菊花賞で見事にクラシックホースとなった。まだ底を見せておらず、菊花賞から直行という余裕のあるローテーションで、厩舎３頭出しでガチで勝負に来ているのだからここも期待できそうだ。

　対抗は昨年のこのレースの覇者であるゴールドアクターとする。今年は日経賞、オールカマーと中山の重賞を２戦２勝であり、まさに中山巧者である。ロベルト→グラスワンダー→スクリーンヒーローと代々引き継がれてきた大舞台での強さがあるので、連覇も期待できそうだ。抜群のコース＆レース適性に期待しよう。

　相手２番手としてキタサンブラックも押さえておく。昨年は３着だったが、古馬になって更に力を付けており、春の天皇賞とジャパンカップを制している。特にＪＣは府中の長い直線を他の先行馬に道中で脚を使わせつつも自分のペースで走るという絶妙な逃げを見せて、強い勝ち方で勝ちきった。馬も強いが鞍上とも息が合っている。また、有馬記念では有利な最内枠を引いたのもプラスだ。しかし、今回はマルターズアポジーという極端な逃げ馬がいる上に、多頭出ししている厩舎もあり、楽には行かせてもらえないリスクがある。また、その年のＪＣ勝ち馬は激走の疲れが残っているせいか有馬記念では不振というデータもある。冒頭で書いた通り過剰人気になりやすい馬でもあり、積極的には狙えない。しかし、能力上位な上に有利な枠を引いたとなれば押さえてはおこう。

　もう１頭面白そうなのがサウンズオブアース。やはりＧＩといえばデムーロ騎手である。馬自身は「主な勝鞍・はなみずき賞」なのだが、ＧＩで３度の２着で重賞だと２着が７回あるという実績馬である。勝ちきれない馬であるが、２着に突っ込んでくる可能性は高い。馬単の紐として押さえておいて損はないだろう。