先行抜け出しを図るキセキにアリストテレスが迫ってきて、この２頭の一騎打ち。そう思われたのだが、ゴール寸前で強襲してきた馬がいた。８歳馬マカヒキである。16年のダービー馬が、その年のニエル賞以来の勝利を挙げた。ダービー馬が８歳まで現役を続けることも珍しいが、８歳のダービー馬が重賞を勝ったなんて記憶にない。「厩舎２頭出しは人気のない方を狙え」という格言は予想の時点で頭にあったのだが、まさか８歳の近走不振馬が来るとは思わなかったので、これはノーマークだった。私は東京競馬場で見ていたのだが、開催場所でない府中でもマカヒキのゴールの瞬間、拍手が沸き起こっていた。

　キセキが見せ場を作り、アリストテレスがそれに迫り、この２頭で決まるような体勢だったので「獲った」と思ったが、最後の最後で思わぬ伏兵に脚元を掬われた。２頭の一騎打ちに競り勝ったアリストテレスの鞍上のデムーロ騎手もおそらく同じ気持ちだっただろう。マカヒキは４歳以降勝てていないものの一昨年までは今のキセキのように善戦は続けていた。しかし、昨年はその勢いもなくなっていた。それが、８歳になった今、復活である。

外れ