香港&マカオ博打旅程2004


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前書き
プロローグ
12/13
出発
香港へ
12/13
沙田までの道のり
沙田馬場
フェリー乗り場
金太じゃないけどマカオに着く
カジノリスボア
カジノを後にして香港へ
12/14
銅鑼湾
帰国




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前書き
 約1年経ってから当時のメモを基にようやく書いています。もう既に2005年の香港国際シリーズも終わってるというのに。1年前のことを書くのは今更と思ったが、せっかくだから記録に残しておこうと思って書くことにしました。ちなみに2005年は遠征にはいけませんでした。

プロローグ

 今年も昨年に引き続き競馬の香港国際カップ(国際GI)を観戦するために香港へ遠征することとした。昨年の遠征時には競馬では負けたもののマカオのカジノで「損失補填」したので、今年もマカオに行こう。そう思って遠征決行。どちらかというとマカオに惹かれるものがあっての遠征だが、「本業」の競馬の方も魅力的だ。昨年の負けを取り戻さなければならないし、何より「沙田競馬場で払い戻しを受ける」という昨年できなかったことをしなければならない。というわけで今年も香港国際カップの時期に香港遠征に出発である。

12/13(土)

■出発

 昨年は特例として日本の競馬開催が1週間後ろにずれていた(ダービーを5月最終週にするという通常の開催割りなら有馬記念は12/22となるが盛り上げるために年間の開催を1週間後ろにずらした)ので朝日杯FCの日が香港の国際レースだった。しかし、通常の開催割に戻った今年もなぜか香港国際カップは朝日杯FSの日である。日本の競馬開催が1週間前にずれているので、普通に考えたたら香港国際カップは朝日杯の翌週の筈だが、何故か今年も朝日杯の日と一緒。というわけで香港国際カップは12/14である。香港の開催が1週ずれたのか?香港の開催日程を調べるのにちょっと時間がかかってしまったので、遠征日程を決めること自体が遅くなってしまったが、どうにか予約はとれた。

 予約を取ったのはJTBのパックのフリーコース。キャセイパシフィック航空利用のエクセルシオールホテルに宿泊するコースである。キャセイパシフィック航空(以下CX航空)といえば地元香港の航空会社なのだがなかなか評判がいい。エコノミークラスへの搭乗だがなかなかよかった。座席のモニターで映画を見たりゲームをやったりできるし、機内食もそれなりにうまい。乗った飛行機はアメリカン航空とのコードシェア便だったが、機体はCX航空だったので一安心。アメリカン航空だと機内食が日本人の口に合わないという噂を聞いているし。あくまで噂であって私が実際に食べたわけではないが。

■香港へ

 というわけで香港のチェクラコプ空港に到着。入国手続きを済ませ、到着口を出ようとすると出口の手前に両替所があった。昨年はここであわてて両替をしたのだが、JTBのパックツアーでは現地のJTB法人でもっといいレートで両替をしてくれるようなので両替はせずに到着口を出る。

 ロビーに出て現地係員を探す。昨年は私1人でマンツーマンで香港のことをいろいろ教えてもらいながらホテルに到着したが、今回は私以外に1組夫婦がいた。だから電車ではなくマイクロバスでの移動である。JTBの係員に両替を頼むと日本で発行されたばかりの新札を見て珍しがっていた。ちなみにこのJTBレートは100円で7香港ドルのレートである。1香港ドル約14.3円。当時の相場がどうだったか忘れたがそんなに極端に安いとは思えない。添乗員に「マカオに行くの」っていきなり聞かれたので「はい」と答えた。そうしたら「カジノに行くの、頑張ってね」と言われた。マカオに行くと言っただけでカジノ目当てだとバレる。私以外の客である夫婦は私が昨年宿泊したカオルーンホテル・・・の隣にあるホテルに泊まるらしい。

 というわけでバスは尖沙咀(チムシャツォイ)にある見覚えのある場所に停まった。「俺もここ宿泊でいいのにな」と思いながら外へ出てタバコをふかす。エクセルシオールホテルしか安目のところは空いていなかったのでエクセルシオールにしたのだが、尖沙咀という街が好きなので本当はカオルーンホテル近辺でよかったのに。私が宿泊する予定のエクセルシオールホテルは香港島の銅鑼湾(コーズウェイベイ)というところにある。係員が戻ってくるとバスはエクセルシオールホテルに向かって出発した。海を渡って香港島へ。といっても九龍から香港島へはトンネルを抜ければ行けるのであるが。というわけでエクセルシオールに着いた。

 このエクセルシオールホテルだが、地図で見るとハッピーバレー競馬場が近くにある。もちろんこの時期の競馬は沙田(シャティン)競馬場での開催なのでハッピーバレーでの競馬開催は無い。沙田のレースを見に遠征しに来ているのに、何が悲しくてハッピーバレーの近くに泊まらなければならないのだろう。開催されていないハッピーバレー競馬場がすぐ近くにあってもあまり意味がない。

 ホテルの部屋に荷物を置き、メシでも食おうと思って外へ。銅鑼湾をぶらぶらして、雑誌に載ったことのあるらしい大衆食堂っぽいところに入る。「雑誌に載ったことのあるらしい」というのはその店の入り口に雑誌の切り抜きが貼ってあるからだ。席に着くと店員が広東語でしきりに話しかけてくる。おすすめのメニューを紹介して「これいかがですか」と話しているらしいのだが、広東語で話しかけられても何を言ってるのかはわからない。店員が指さしているメニューを見ると9:30以降は38ドルと書いてあるので、「38ドルでいいの?」って英語で話しかけたら「International?」という答えが返ってきた。現地人だと思われていたらしいが、やっと外人であることに気づいてもらえた。そんなに現地人と区別付かないものなのかな?羊という字が書いてあったので羊の肉を使った料理らしい。羊の鍋物の定食だったが、一緒に出てきた茹でた青梗菜が結構ボリュームがあった。

 銅鑼湾界隈を散歩していると、「たこ焼きを焼く機械のようなもので作ったホットケーキらしきもの」(正式名称不明)が露店で売られているのをよく見かける。香港名物なのだろうか?日本では見たことも食べたこともない。とりあえずココナッツ味を買う。味は、やはりホットケーキのような味だ。ちなみにたこ焼きと違って1つ1つの玉がバラバラなのではなく、1つのプレートで作った玉が何個も縦横につながっている。

 露店の本屋で競馬新聞を買う。昨年も買った「太陽馬経」という新聞だ。この新聞は昨年も買ったのだが昨年の観戦記には「産経太陽」と書いていた(書くときに間違えたのではなく本当にそういう名前だと思いこんでいた)。前後が逆な上に字も1文字違っていることに、この時初めて気づいた。一番肝心の「馬」の字を間違えるなんて、私としたことが・・・。産経が香港に進出していたわけではないわけね。納得。

 ホテルに戻り、たこ焼きの形をしたホットケーキを食べながら、持って来たノートPCをインターネットに繋ごうと、LANポートを探す。LANケーブルがあればインターネット接続できるようだが、別途カネがかかるらしい。

12/14(日)

■沙田までの道のり

 この日は香港国際カップ。沙田競馬場に行く日だ。このためにわざわざ香港まで来たのだ。近くにハッピーバレー競馬場があるが、行くのは沙田競馬場。フェリーで九龍半島に行って北上する必要がある。まずはIPAT(インターネット経由で投票する馬券購入システム)で日本の競馬の馬券を買う。インターネットさえあれば世界のどこからでも日本の馬券を買えるとは便利な世の中になったものだ。これが昔のPATのようにセンターにパソコン通信形式で電話を繋いで・・・だと、電話代がかかりすぎるので繋ぐ気にならないし。競馬予想に必要なデータも、JRA-VANからインターネット経由でノートPCに取り込むことが出来る。まさに「世界のどこからでも競馬が楽しめる」時代となったのだな。って俺って「日本の競馬」ではなく「香港の競馬」を楽しみに来てるんじゃなかったっけ?

 CX航空からもらったパンフレットにはいろいろ割引券が付いていた。結局あまり使わなかったが、香港島から九龍までのフェリーのタダ券が付いていたのでこれは使うことにした。2香港ドル程度の運賃ではあるが、幸いホテルのある銅鑼湾からフェリーが出ているらしいのでそれを利用することとした。ホテルから船着き場に向かう途中のコンビニで新聞を買う。広東語版と英語版が売られていた。どちらもかなりの厚み。香港の新聞はどれもそうだが、一般紙とスポーツ紙と経済紙を合わせたようなボリュームがある。広東語の新聞は6ドル、英字新聞は8ドルだが、ちょっと高い英字新聞を買ってみる。競馬新聞が広東語なので、普通の新聞は英語で書かれたものを買うことにしたのだ。

 さてフェリー乗り場に付く。フェリー置き場の売店でパンとコーヒーを買う。香港のコーヒーはそういうのが標準的と聞いてはいたが、コーヒーにはミルクと砂糖がたっぷり入っていてやたら甘い。ブラックコーヒーという概念は香港には存在しないのだろうか?

 さて、フェリーの中で英字新聞を読んでいたら「アラン元調教師の予想」(というかレースの見解)が掲載されていた。アラン元調教師といえば現役時代である00年に持ち馬フェアリーキングプローンを安田記念に出走させ勝利と活躍しているが、この時の馬連的中馬券を大量に買っているという噂のある調教師である。この年(2004年)調教師を引退したが、その後予想家として活躍しているようである。しかもよく当たるという噂がある。そのアラン元調教師が香港マイルで日本馬であるデュランダルを絶賛していた。これは買うしかないだろう。かくして九龍行きのフェリーの中で、既に香港マイルの私の本命が決まったのであった。

 しばらくして船は九龍側の港へと着く。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の港についた。昨年までならここで地下鉄に乗って内陸部分に向かい九龍塘駅で九廣鉄道に乗り換えるというのが馬場駅(沙田競馬場の最寄り駅)への行き方だったが、九廣鉄道が半島先端側に延長され尖東(英語名: East Tsim Sha Tsui)という駅が出来た。例によって香港らしく英語名は発音通りではなく意訳である。ちなみに沙田競馬場の最寄り駅である馬場駅は英語名 "Race Course" である。日本だと「府中競馬正門前」は"Fuchu Keiba Seimon Mae"なのに、香港では固有名詞でどうにもならないもの以外は英語表記は英語風の名前になる。文化の違いなのだろう。地図を見て尖東駅の大体の場所はわかったが、(この時点では)駅周辺に工事中通行止めの場所が多く、駅にたどり着くまでに結構迷った。

 そして尖東駅で九廣鉄道に乗り、いざ競馬場へ。電車で乗り換え無しの一本で馬場駅へと着く。そこから競馬場に向かったが、会員席の場所が分からない。外国人はパスポートを見せると入場料50香港ドルで会員席に入れる筈である。要はVIPルームのようなものである。ただし座席は指定ではなく自由席だがそれほど混雑しない。その会員席の入り口がわからず、通常の門でパスポートを見せると、係の女性がやたら早口の英語でまくし立てて話しかけてくる。何を言ってるのかわからない。別の係員がやってきて会員席の入り口はちょっと離れたところにあることが分かった。その係員は片言の日本語なら分かるようだ。日本からの遠征客が多いからであろうか?ようやくと入り口を見つけて入場しようとすると150香港ドルの請求があった。昨年は50香港ドルだったが一気に3倍の値段に値上げされている。日本の中央競馬の競馬場だとA指定席かB指定席並の値段。値上げしたから座席も用意されているかというと、されておらずほとんど昨年と変わってないし・・・。

■沙田馬場

 昨年もここには遠征してきているが、昨年と大きく変わったところというとパドック。やたら大きなモニター(オーロラビジョン)が付いた。ターフビジョン並の巨大な画面でレースのPRやら宣伝やらを流している。画面もデカいが音もデカい。こんな大音量を鳴らしているそばで馬がパドックを回っていて大丈夫なのだろうかというぐらいデカい音量である。

 さて、レーシングプログラムをもらったらそこには「キャセイパシフィック航空香港国際カップ」とか書いてある。レース名の前に「キャセイパシフィック航空」が付くのだ。昨年まではこの冠名というかスポンサー名は付いていなかった。期せずして日本から乗ってきた飛行機の航空会社がスポンサーとなっていたのか。レープロの表紙の色も昨年は(沙田競馬場もしくは香港ジョッキーズクラブのイメージカラー?)だったが、今年はCX航空のイメージカラーである深緑。ちなみに中国語版をもらおうとしたら「売り切れ」のせいか置いてなかったので仕方なく英語版をもらった。

 馬券の方は朝の1レースから買う。朝といっても午後1時開始なので朝ではないか。昨年印象深かった馬券を買うと"Good luck!"と言ってくれる女性馬券売りがまたいた。この馬券売りは結構お気に入りである。国際レース第1弾は香港ヴァーズ。どの馬を買ったのかは覚えていないが、外れたということだけは覚えている。

 そして、国際レース第2弾の香港スプリント。ここには地元香港のヒーロー・サイレントウィットネス(精英大師)が出走していた。この時点でデビュー以来12連勝中である。そしてこの馬の勝利はほぼ間違い無いと思われる。日本からはカルストンライトオが出走していた。「他の馬には陰も踏ませない」と関係者がコメントしていたこともあってか2番人気に押されていた。しかし、私は敢えてカルストンは馬券の狙い目からは外した。人気になりすぎていたからだ。サイレントウィットネスを頭にしたquinela(日本流に言うと馬連)で、この年の日本のスプリンターズSで3着だったがあまり人気になっていない香港馬ケープオブグッドホープを相手に買っておいた。慣れない日本であれだけ走れるなら地元でも走るだろうと思って。

 そしてレースはサイレントウィットネスが難なく征する。ここは「会員席」なので外国人が多いが地元香港の客も多い。香港のヒーローが13連勝したということで、主に地元の客がかなり盛り上がっていた。ちなみに2番人気カルストンライトオはビリ。最後の直線では「他の馬に陰も踏ませなかった」。ずっと最後方を歩いていただけだし。2着にケープオブグッドホープが来たため私の馬券は的中。14.75倍の馬券が50香港ドル分的中。これが香港での初的中だ!遠征2回目にして初の的中。ようやく香港の競馬場の払い戻しに並ぶことができる。とはいうものの、沙田競馬場は払い戻しも馬券発売も同じ窓口だったよな。何はともあれようやくの的中だ。

 1レース置いて国際レース第3弾香港マイルである。前述の通りアラン調教師が日本馬デュランダルを大推奨していた。日本馬だということもあるが、アラン調教師の予想に乗ることにして、デュランダルを軸にして勝負。単勝1.8倍の大人気だ。香港スプリントで日本馬カルストンライトオが1番人気になっているように、日本人客が大量に買っているからとも考えられるが、アラン効果というのが大きいだろう。ところで、香港の馬券では2レース連続して当てるDubbleという馬券がある。これは1レース目の指名馬が1着に来て、2レース目の指名馬が1着か2着に来たら的中するというものである。ちょうど1年前の遠征時に2着→2着で不的中となり痛い思いをした馬券だ。このDoubleをデュランダルを1レース目の指名馬として購入。

 そしてレースがスタート。池添騎手騎乗のデュランダルは日本にいるときと同じ様な後方からの競馬だ。道中は後方待機で最後の直線で追い込む戦法。差しが比較的決まりにくい沙田の馬場でこの戦法は通用するのか?私の心配通りデュランダルはあまり伸びてこない。結局デュランダルは5着に入るのが精一杯だった。私が買ったDobbleの馬券は次のレースを待たずして紙屑となった。池添はもう少し馬場状態を考慮して乗った方が良かったのではという気がする。アラン調教師が推しているぐらいだから馬自体はいい馬なのだろうし。それとも馬自体がそういう直線だけの競馬しか出来ないのかな。ちなみに会員席の喫煙所で、おそらく日本の記者と思われる2人組が話していたが、やはり似たようなことを言っていた。日本語なので何を言っているかはよく分かる(笑)。ちなみに日本からはテレグノシスも出走していたが、こちらはビリ。

 この香港マイルを勝った馬はファイヤーブレークという馬。そして、その勝利騎手はL.デットーリ。私が世界一の騎乗技術を持った騎手だと思っている騎手である。アラン元調教師に惑わされずに、素直にデットーリを買っていれば当たったのか・・・。というわけで次の国際レースではデットーリを本命とすることにする。

 そして迎えた香港カップ。これが本日のメインレース。我が本命は前述のようにデットーリの馬。いや、ちゃんと馬の名前を書こう。エインシャントワールドだ。とにかくデットーリ。ジャパンカップダートでイーグルカフェを持ってくる男。この大舞台には彼がふさわしいだろう。出走馬の力関係がよく分からなかったので騎手で買ったといえばそれまでだが。

 この香港国際カップの発走前に珍事が発生。発走直前に馬のぬいぐるみを来た人間が馬場にいきなり乱入してきた。日本でも甲子園球場に蜘蛛男とかがグランドに乱入することがあるが、香港では競馬場でもこういうことがあるんだね。帰国後にグリーンチャンネルの中継を見たのだが、その時キャスターの鈴木淑子さんが「場内ではこういうようなイベントが行われています」と言っていた(その後別のキャスターに「あれはイベントではないですよ」と突っ込まれた)。その馬のぬいぐるみを来た男は係員に取り押さえられた。

 そしてレーススタート。スタンド前からの発走である。馬群が最初のコーナーである1コーナーに差し掛かると、日本から遠征しているダンスインザムードがかかり気味に上がっていった。ついには2番手に立つ。そして最終的に先頭で最終コーナーを回ってきたが、力尽きていいところ無しの13着。遠征による環境の違いなのか普段の力を出せずに終わった。我が本命エインシャントワールドは5着。私の本命は5着になる運命にあるのか。世界のデットーリをもってしても5着。結局このレースはアイルランドのアレクサンダーゴールドランが優勝、2着が地元香港のバリッシュラックで、1番人気のラクティは7着に負けた。

 この後、最終レースはやらずに競馬場を後にした。なぜなら香港カップ終了後は心は既にマカオの方を向いていたからだ。昨年は帰りの電車の中でも行こうかどうか迷っていたが、今年は迷わずマカオ行きを決めていた。これがノーホーラだった昨年と、収支マイナスだったものの馬券的中があった今年の違いか。いや、昨年マカオのカジノで一時は大勝した(最終的には大の付かない勝利)ので味をしめたのが正しいか。

■フェリー乗り場
 最終レースを前に競馬場を後にし、九廣鉄道に乗り込む。昨年は香港島の中環(セントラル)からマカオに向かうフェリーに乗り込んだが、調べてみると尖沙咀からも香港行きのフェリーが出ているようである。せっかく尖沙咀まで(正確に言うと東尖沙咀)直通の電車が出来たので、尖沙咀からフェリーに乗ることにする。

 尖東に着いた頃には日が暮れかけていた。尖沙咀のフェリー乗り場は朝来たときに香港島からのフェリーが着いた場所だろうと思い、その方向に向かう。香港の本格的な夜景は見たことがないのだが、九龍半島側から海を挟んで香港島が見える場所を歩くとかなりきれいな景色である(下の写真)。ただし100万ドルの価値があるかどうかは不明。そうこうしているうちに、朝到着した港に付いたが、マカオ行き乗り場らしきものは見あたらない。よくよく調べたらマカオ行きフェリー乗り場はもうちょっと北に行った中港というところらしい。ショッピングセンターを抜けて北へ向かう。しかし中港フェリー乗り場がどこにあるのかがわからない。いつのまにか前を通り過ぎて九龍公園の当たりまで行っていたし。道がわかりにくいというよりは気づきにくい。どこかのホテルのようなところのにフェリー乗り場があった。1時間以上彷徨い続けたあげくようやくと中港を見つけた。こんなことなら香港島のセントラルまで行ってそこからフェリーに乗った方がよっぽど良かった。

九龍から香港島を臨む

 中港からマカオに向かうフェリーは1時間に1本しか出ていないらしい。しかも、乗船券を買いに行ったらフェリーが出た直後だった。時間が結構あったのでフェリー乗り場に併設されていたジャンクフード売場(笑)で夕食を済ますことにする。昨年はメシも食わずにカジノで打っていたが、今回は待ち時間があったのでちゃんと夕食を取った。ジャンクフード屋で魚団子ラーメン(正式名称は忘れた)を食べる。そして、出国手続きを済ませようやくとマカオに向けて出発である。香港とマカオの間を行き来するだけでパスポートを見せて出国手続きが必要なんだよな。同じ「中華人民共和国」の領土なのに。

 そのフェリーはまるで水上バスに毛の生えた程度のものだった。庶民的な雰囲気が漂っているが、これでも「国境を越える」船なのである。出航後、場内アナウンスが流れる。まず最初に、現地の広東語でのアナウンスが流れた後、中国の共通語である北京語、香港の旧宗主国の言葉である英語、マカオの旧宗主国の言葉であるポルトガル語と合計4言語のアナウンスが流れるのが国際船であることを物語っている(実際は「中国」領内を移動しているだけなのだが)。最後のポルトガル語は「セニョール・エン・セニョリータ」で始まったのでポルトガル語だということが判別できただけで、それが無かったらどこの言葉なのかすらわからなかったな。ちなみにこの段落の文章は、昨年の遠征記に書いたそのままの文章である。乗り場こそ違うものの、似たような雰囲気だったし。

■金太じゃないけどマカオに着く

 マカオといえば、日本ではつぼいノリオの名曲金太の大冒険で必要以上に有名な都市である。「♪金太マカオに着く、金太マカオに着く」というフレーズでおなじみの場所だ。まあ、日本人の中にはマカオといえばこれしか思いつかない人もいるかもしれないが。何はともあれマカオ政府観光局はつぼいノリオに感謝状を贈るべきだ。1時間ぐらい船に揺られた後、マカオに着いた。金太じゃないけどマカオに着いた。ここも昨年の遠征記の使い回しだな。というかマカオというとこのネタしか思いつかないのかよ>俺。とにかく日本人にとってマカオといって最も思いつくのは、「金太の大冒険」である(のか?)。

 今年はマカオ最大のカジノといわれているリスボアに向かうことにする。リスボアはホテルに併設されたホテルカジノだ。漢字で書くと葡京。ポルトガルの首都(英語ではリスボンだが葡語ではリスボアという)という意味でそういう漢字を当てているのだろう。港を出てすぐのところにあるタクシー乗り場でタクシーに乗り込みリスボアに行ってくれと告げた。

 マカオの街中を見るのはこれが初めてだ。昨年は港から遊歩道を通ってヤオハンの前を通過しハイアライのカジノ&近くの食堂に入っただけだし。マカオの街はホテルとカジノばかりが目についたといった感じ。また、夜でもにぎやかだ。そうこうしているうちにリスボアホテル前に到着。料金メーターは16と表示されていた。タクシーの運転手に香港ドルで料金を払うと、マカオパタカで釣り銭が返ってきた。マカオにはパタカという通貨があるが、これは香港ドルとほぼ等価である。「ほぼ」というのは1パタカは1香港ドルよりちょっとだけ価値が低いのである。マカオでは香港ドルもパタカと同様普通に使えるが、香港ではマカオパタカは使えない。しかも、香港の両替屋ではパタカは円に両替できない(と思う)。つまり、香港ドルの方が便利なのだ。そもそもカジノでは香港ドルでチップを売っているし。この夜のうちに香港に帰るのに、パタカを何に使えっていうんだよ・・・。正式通貨だから受け取り拒否もできない。タクシーが着いたのはホテルの入り口前だったが、カジノの入り口は正反対の位置にあるらしい。そこで、裏手に回ってカジノに入場する。

■カジノリスボア

 カジノに入場したのはいいが、荷物をクロークに預けないと入場できないらしい。ところが、肝心のクロークが見あたらない。しばらく探し回った後にようやく見つける。セリエA等の「トトカルチョ」場があったが、これってその競技の主催者の承諾を取っているのだろうか(おそらく取っていない)。例によって入場の際にパスポートを見せろと言われる。

 リスボアのカジノの中の様子はというと、ひたすらバカラばかりある。7〜8割ぐらいバカラの台なのではないだろうか?バカラ専用の部屋も多い。しかし、私にはバカラは敷居が高い。ルールをよく分かっていないし、レートも高い。マカオ最大というからにはもっと種目がバラエティに富んでいてもいいように思うが、バカラに偏っている。バカラ好きにはぜひお薦めしたいカジノだ。

 私はバカラはよく分からないので、大小を中心に打つ。大小とは3つのサイコロを振り、合計の目が10以下なら小、11以上なら大というのが基本ルールだ(3つのゾロ目はディーラーの総取り)。その他にも合計値に賭けたりと賭け方がある。マカオといえば大小というぐらいマカオでは有名な種目なのでリスボアにも当然置いてある(しかしバカラの比では無かった)。昨年ハイアライのカジノに行ったときに大勝した私と相性がいい種目だ。

 しかし、昨年の大勝が嘘のように全然勝てない。負けてばかり。息抜きにスロットマシーンをやるが、こちらも勝てない。そもそもスロットは勝てる気自体がしなかったのでお遊び程度にしかやらなかった。スロットのいいところは少額のカネでも一応遊べるというところかな。息抜きをして別の台に移動して流れを変えようとするが、それでも勝てない。

 資金尽きオケラになったので、リスボアの中を見学しようと廊下をお散歩。お姉ちゃんが声をかけてくる。しかも1人ならまだしも何人も。広東語で何かを話しかけてきたが、こちらが外人だと気づくと"Come to my room"と英語で話しかけてくる。体をすり寄せながら。これこそリスボア名物の売春婦だ。某所には「買う買わないは別にして一見の価値あり」と書かれている。500香港ドルが相場らしい。しかし、カジノでオケラになったのでカネがない。もともと買うつもりなど無く、見て楽しむためにお散歩していただけだけど。飽きてきたので"No money"とかいいながら財布を開けて見せると、あっさりとお引き取りいただけた。これで諦めてもらえたというのが何とも悲しい。ちなみに帰りの交通費や小遣いは財布とは別なポケットに隠しておいていた(財布に入れておくと使い込んじゃいそうだったし)。ちなみに、こに売春婦達はスロットを打っていても体をすり寄せて誘ってくるということを聞いたことがあるが、この夜はそんなことはなかった。ホテルにクレームがあったのだろうか?やはり、打つ時は打つことに集中したいもんな。

 資金は尽きたものの、クレジットカードでチップを買える場所を発見した。カジノの中には日本語の掲示はほとんどないのだが、そのチップ売場の看板の「クレジットカードでチップが買えます」だけは、ご丁寧に日本語でも書かれていた。日本人はいいお客さんなのだろうか?誘いに乗るようにクレジットカードで1000香港ドル分のチップを買う。バクチを打つカネはどこからか捻出できるとよく言うが、それは本当だった。日本ならそこまでして打つかよという自制心が働くのだが(といういかクレジットが使える賭場自体知らないが)、ここではせっかくリスボアまで来たのだからと誘いに乗ってしまう。これが吉と出るか凶と出るか?

 クレジットカードでチップを引き出して勝負は続く。やはり勝負種目は大小。先ほどの負けが嘘のように快勝。一時期はこの日の負けを取り戻すまで稼ぐ。しかし、それは長くは続かなかった。結局、クレジットカードで引き出した以上にプラスだったものの、この日の負けを全て取り戻すには至らず。痛恨の大惨敗は逃れたものの、プラスには持っていけなかった。クレジットカード分以上には儲けているので、カードを使った甲斐はあった。

■カジノを後にして香港へ

 気が付いたら時刻は現地時間で3:00だった。ここで夜を明かそうかとも思ったが、せっかく香港にホテルを取ったのだしそろそろ引き上げ時と思い、リスボアを後にする。リスボアからタクシーに乗り、港まで向かう。途中、警官にいきなり呼び止められた。スピード違反か?しかし、警官は私に向かってパスポートを出せという。パスポートを見せるとそのまま「釈放」された。一体何なのだろう?私に似た指名手配の犯人でも居るのか?運転手は「何でもないよ。気にするな。」と言っていたが(広東語だったので何だかわからなかったがおそらくそう言っていた模様)、釈然としない。

 港に付いたら、香港行きのフェリーの出発までだいぶ時間がある。ポケットの中には行きのタクシーの釣り銭としてもらった30数パタカ。これは香港では使えないし日本円への両替もできない。ここで使い切る必要がある。売店で5香港ドルと表示されている缶コーヒーを買おうとして、パタカ札を出したら7パタカに「値上げ」された。確か1.03パタカ=1香港ドルの固定相場の筈なのだが理不尽な値上げだ。香港行きのフェリーの出る港ではパタカを使い切ろうとする人が多いので足下を見られているのだろうか?ネスカフェの缶コーヒーだったが、日本のものと比べるとやたら甘ったるい。私はコーヒーと言えばブラックか微糖なので、明らかに口に合わない。港周辺を適当にぶらつくと、ハイアライに向かう遊歩道が。そこを進むと昨年行ったカジノ・ハイアライがある。更に勝負をしたい気に駆られたが、それはやめることにした。何となく傷口を深めるような気がしたからだ。港からは海上カジノの灯りも見えた。

 そうこうしているうちに出航時刻。改札では日本人らしき人が香港国際カップデーの沙田競馬場のレーシングプログラムを小脇に抱えていた。この日マカオに来るような日本人は行動パターンが同じなのだろうか。私のように昼は香港競馬、夜はマカオのカジノで大勝負と。ちなみに船のチケットを買う時は余っていたパタカ札がそのまま香港ドルと等価で使用できた。始めからフェリー代に充てればよかったのか。

 そういえば、マカオはこれで2回目だが、夜しか来ていないな。昼のマカオは見たことがない。今度は昼も来てみようかな。ドッグレースでも見に(笑)。  とにかく歩き回って疲れている体を押して深夜まで打ち続けたせいか眠い。船の中で爆睡しているしている間に香港に着いていた。始発電車がそろそろ運行する時間なのだが、タクシーで銅鑼湾のホテルに帰る。香港のタクシーは安いのでつい利用してしまう。安いといってもマカオほど安くない。ホテルに着いたら5:00だった。さっそくインターネットに繋いで日本の競馬の結果を確認する。昨年に引き続き朝日杯FSが的中していた。香港にいれば日本の競馬が当たるのか。香港の競馬では勝てないくせに。

12/15(月)
■銅鑼湾

 ホテルで仮眠を取った後、シャワーを浴びて朝食に。朝食はホテルの近くの食堂で粥を食べる。香港といえばお粥なのだが、香港のお粥は初めて食べた。香港の食堂では、お勘定の時にある馬の名前を叫ぶのが流儀ということを昨年学んだので使ってみる。その馬の名は「マイターン(美浦:高橋義博厩舎)」。ちなみにカッコ内は言う必要は無い(当たり前か)。正確には「マイタン」なのだが、これでも通じる。漢字で書くと「埋單」である。ちゃんとお勘定してもらえた。広東語が通じたぞ。この程度の簡単な言葉ぐらいで偉そうにいうことも無いが。

 飯を食った後は銅鑼湾近辺をお散歩。両替すると手数料がもったいないと思い香港ドルを使い切ろうと買い物へ。結局リュックサック一つで香港に来ていて帰りの鞄には若干の余裕すら無いので、鞄を買うこととした。どこかの軍隊で使っているような丈夫そうなものを買う。・・・というか入った店がそういう製品しか扱って無かった。約700香港ドルぐらい使ったかな。

 香港といえば偽ブランド時計売りだが、銅鑼湾には香港名物偽ブランド時計売りは居ないようだ。ちょっと残念。九龍までいかないと居ないのだろうか?銅鑼湾は香港一の繁華街だそうだが、私は九龍側の尖沙咀の方が好きだ。活気がある割には何となく落ち着いているし、偽時計売りがいたりする適度な怪しさがよい。銅鑼湾は蟹屋があちこちにあることを除けば普通の都会って感じだし。

■帰国

 ホテルにバスが迎えに来たのでマイクロバスでチェクラコプ空港へ。空港では昨年日本円売り切れ事件が発生したので、早めに両替屋で両替をすることとした。日本で両替するとレートが高いし、両替は香港で済ましておきたい。今年は大丈夫だった。ちゃんと日本円があった。香港ドルは両替してしまったので免税品はクレジットカードで買う。例によってタバコを買えるだけ買った。ちなみに日本に持ち込めるのは国産1カートン、外国産1カートンまで。昨年はこれを知らずにうろたえてたら、たまたま香港遠征歴の長い日本人の知り合いと出くわしたが、今年はあらかじめ持ち込み上限は知っている。

 帰りも香港国際シリーズのスポンサーであるキャセイパシフィック航空の飛行機で成田へと向かった。そういえばCX航空は香港国際シリーズのスポンサーなのに競馬の宣伝はしていなかったな。


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