ニューロマンサー


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 サイバースペース-----電脳空間。

 この言葉が初めて使われたのは1984年、ウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」 であるといわれる。

 その「ニューロマンサー」の主な舞台となっている都市がチバ・シティというところである。 チバ・シティとはハイテクと汚濁の都、未来の千葉市のことである。また、この小説の第一章 のタイトルは「千葉市憂愁(チバ・シティ・ブルース)」というものである。

 この小説の作者は日本人ではない。主な登場人物も外人ばかりである。しかるに、何故舞台 が千葉なのだろうか?別にニューヨークでもシカゴでもホンコンでもトーキョーでもよさそうである。

 外国人(英語圏の人)は "Chiba" のことを「チャイバ」と発音するらしい。つまり、外人に とって "Chiba" と "Cyber" は響きが似ているのである。それでギブスンは未来の「サイバーな都」 のイメージを千葉に当てはめたのかもしれない。

 千葉が未来において「サイバーシティ」になるのかどうかはわからないが、この響きが似ている というおかげで千葉が世界的に(一部のSFファンの間だけという噂も)有名な都市になってしまったのか。イメージが先行してしまった感じだが 本当にそうなるかどうかはこれからの日本人の努力にかかっているのかもしれない。

 WWWやチャットももしかしたらサイバースペースの一種なのかも知れない(チャットという言葉も 既にニューロマンサーの中に登場している)。あるいはその原形となっているのか。ただしインターネ ットには「中心」となる場所は存在しないが。

 私がニューロマンサーを初めて読んだのはインターネットにはまり始める前。ある本で80年代最大のSFと紹介されていたので、なんとなく読んでみた。そのときは大したことないなと思っていた。しかし、インターネットにはまり初めてから読み返してみると印象が以前読んだときと全然ちがう。その「未来世界」の描写が実に素晴らしい。インターネットにはまってしまったという人間なら読んでみて損はないと思う。


ニューロマンサー
ウィリアム・ギブスン著。ハヤカワ文庫SFから邦訳が文庫で出ている。 "neuromancer" とは "neuro" (神経)と "necromancer" (魔術師)の合成語で著者の造語だろう。
 ※これの続編ともいうべきカウント・ゼロもお勧めです。


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