牧場見学へ行こう!といっても前もってプランなどは建てていない。競馬場とかで売っている「北海道牧場マップ」等を持っていればいいのだが、あいにくそのようなものは持ち合わせていない。というわけでどこにどんな馬が繋養されいるか、その牧場の見学可能時間はいつか、事前連絡は必要か、などを調べるために「競走馬のふるさと案内所」にいけばいいと思い、その案内所がある静内へ向かうこととする。静内は時刻表で調べたところ駅レンタカーもあるらしいので、気が向けばレンタカーを借りればいいだろう。天気がよかったらレンタサイクルで回るのも面白そうだ。苫小牧で電車を乗り換え日高本線のワンマンカーに乗る。左には山、右には海ののどかなローカル鉄道。終着駅はえりも町様似駅だが、途中にある静内駅で下車する。
静内で駅を降りたら駅の出口は観光案内所だった。駅に置いてあった観光パンフレットを読んでいると観光案内所のおばちゃんが観光周遊バス「しずないロマンロード号」を紹介してくれた。静内&新冠にあるスタリオン(種牡馬を繋養している牧場)を回る周遊バスだそうである(プラス地元の観光名所にも立ち寄る)。料金は1日3000円。静内駅を9:50発で帰りはJRの快速「優駿浪漫号」の時刻に合わせて駅に戻ってくるそうである。牧場によってはその時間にいっても(このバス以外は)入れてくれないところ等もあるそうで、そうでなくてもどの牧場がどの時間に見学させてもらえるのかがわからないので、このバスで行くこととする。
というわけでバスに乗り込む。観光案内所のおばちゃんが実はバスガイドだった。乗客は我々2人をいれて4人しかいない。最初の見学地はアロースタッド。あの日高の命運をかけて輸入された40億円馬ラムタラのいる牧場である。といっても私のお目当てはロイヤルタッチだったりする。ロイヤルタッチを見て写真を撮り、タマモクロスの写真を撮ろうとしたところ、デジカメの電池が切れた。予備電池は持っていない。どうしようかと思ったが、同行していたT氏が持っていた電池を借りた(後で新品をコンビニで買ってそれを返却した)。その他エアダブリン、メジロライアン、そしてライアンの父アンバーシャダイ等数々の種牡馬達がいた。
そして次の見学地は静内スタリオンステーション。牧場入り口の小屋の前でテレホンカードが売られていた。ここの目玉はサクラローレルらしく、入り口に入ってすぐのところで砂浴びをしていた。現2歳でデビューを待つ私の出資馬の父がこの馬なんだよな。その他サクラチトセオーやサクラチヨノオー等のサクラ系の種牡馬が勢揃い。今では種牡馬を引退したサクラユタカオーも昨年まではここに繋養されていたそうだ。奥のほうには我が最愛の馬ウイニングチケットがいた。チケットの柵まで近づいたが柵内の通路から遠い側にいて近づいてこようとしない。ウイニングチケットを初めて見たのは引退レースとなった秋の天皇賞。その時に東京競馬場で見て以来の対面である。近くまで行きたかったが近づいてこないので離れた場所から写真を撮るだけにする。静内スタリオンステーションは道路を挟んで反対側にも牧場地があるらしい。道路の反対側にいくとエルウェーウインなど通好みのする種牡馬が繋養されていた。
その後はバスに乗りウインズ静内の前を通った。このバスは基本的に土日のみ運行だがこの週だけは平日も運行している。土日ならウインズ静内に停車し馬券購入タイムが設けられているが、この日は平日で競馬開催がないので前を通るだけである。土日はちゃんと馬券を買う時間があるので、土日に牧場見学を考えてるみなさんもご安心を(笑)。ウインズの前を通り近くにある「競走馬のふるさと案内所」にバスが到着した。牧場見学をするにはここで見学可能牧場や見学時間を調べることになっているが、この日は観光バスに乗ることにしたのでその必要はない。適当に資料などを見る。今度静内に来るときはお世話になるかもしれない場所である。そして静内駅について午前の部終了である。
4人の乗客のうち1人は午前中のみの乗車だったので、午後からは乗客は3人となった。乗客が1日3.5人で3000円で商売になるのだろうか。この日の運賃は総額11,000円の筈である(午前中のみだと一人2000円)。運転手とガイドの人件費だけでこれを超えるであろう。たまたま平日なので客が少ないだけかも知れないが。ちなみにこのしずないロマンロード号は予約制となっているが当日の申し込みも受け付けている。混んでいる日だと予約をしないと乗れないこともあるのだろう。
午後は観光地巡り第1弾。シャクシャイン記念館にいった。江戸時代に和人(松前藩)を相手に反乱を起こしたアイヌの酋長シャクシャインを記念して彼が城としていた場所に建てられた記念館である。入り口には巨大なシャクシャイン像が。ここではアイヌの使っていた道具などのアイヌ民族を知るための史料が収められていた。そして10月からはここに併設して乗馬施設「ライディングヒルズ静内」がオープンするそうである。現在は訓練中とのこと。その乗馬センターにはポニーもいたが、アラブもサラブレッドもいる。昨年まで静内スタリオンステーションに繋養されていたサクラユタカオーもここにいた。サクラユタカオーの馬房だけは他の馬のものより豪華なネームプレートが付けられている。そこには性別欄もあり「セン」と書かれている。こないだまでは牡だったのだが種牡馬を引退したため去勢されてセン馬となったのであった。ちなみにサクラユタカオーは高齢のため乗馬としては使用されず、老後をここで過ごすだけだそうである。廃用となった種牡馬たちには「行き先不明」(おそらく人知れず食肉屋に売られた)となっている馬も多いだけに、地元の馬産に貢献した種牡馬の余生のために馬房を空けておき飼い葉も与えている乗馬施設があるのは心暖まることである。
その後新冠町内に入り道の駅に設けられている新冠レ・コード館にいった。レコードといってもレースタイムの記録のことではなく、音楽を記録しておくためのレコードである。数々の懐かしいレコードが置いてある。まさに図書館のようなところだ。ジャケットを見ているだけで楽しかったりする。売り物なのかどうかはわからないが、ここで買っても聞く手段は私にはないのだが(いや、実家にはプレイヤーがあったような気が…)。ここ新冠はレコードの名産地だったのだろうか。現在はCDの時代となってしまい、レコード工場は上がったりだろう。ここにはハイセイコー像がある。ハイセイコー像は大井競馬場にもあるが、新冠のもののほうが一回り大きい。それから展望台がありそこから新冠町の景色が展望できた。
新冠町にはサラブレッド銀座という通りがある。文字通りサラブレッドの牧場が連なる通りだ。このバスで立ち寄るところは(牧場は)種牡馬を繋養しているスタリオンばかりだが、サラブレッド銀座の駐車公園で小休止したため繁殖牝馬がいて仔馬がいるような生産牧場の風景もゆっくり見ることができた。往年の名馬が種牡馬として活躍しているスタリオンもよいが、母馬が仔馬と戯れるのどかな牧場風景もよい。右の写真がサラブレッド銀座の牧場風景である。馬が小さくてわかりづらいかも知れないが。
そして優駿スタリオンへ。ここの入り口の駐車場には車が多く、人も大勢いた。おみやげ屋らしきものもできていた。オグリキャップが繋養されている牧場であるからだ。これだけの人が訪れるとはさすがオグリキャップ効果である。繋養されている種牡馬はわずか3頭であり、頭数的には今まで訪れた場所の中では最も小規模だが、最も見学者が多いような気がする。オグリキャップは種牡馬としての成績は初年度に重賞馬オグリワンを出した以外はさっぱりだが、競走馬としては成績も優秀で人気もある馬であり、私が書くまでもなく競馬を知らない人でもオグリキャップの名前は知っているような馬である。集客効果という点で種牡馬入りした今でもこの牧場にとって非常に価値のある馬だ。繋養されている種牡馬はオグリキャップ、マヤノトップガン、キングヘイローの3頭。このうちキングヘイローはこの日は牧場に出て来ていなかった。ここは雨の日は馬を出さないそうである。この日は朝から晴れていたのだが、この牧場で小雨がぱらついて来た。
その後はこの日の最後の見学地CBスタッドである。土砂降りというほどではないが雨が降ってきた。ここは98年に2世代の仔を残して急逝したナリタブライアンが繋養されていた場所である。ナリタブライアン記念館というものもあるが入場料500円を払って入るほどのものか疑問なので入らなかった(私だけではなく乗客全員が)。見学時間が3時からということなのでそれまでの間グッズショップを覗く。ここも訪れる人が多いらしくグッズショップが併設されているのだ。ロマンロードご一行(といっても3人だけだが)以外にも3時の見学時間を待つ見学者がたくさんいた。府中でさくらコマースが経営する旅行会社「モランボンツーリスト」の「牧場見学ツアー」の観光バスも停まっていた。私もさくらコマースのお膝元府中から来たんだよ。
CBスタッドではブライアンズタイム、サニーブライアン、マーベラスサンデー、シルクジャスティスなど私が会員である一口馬主クラブ・シルクホースクラブの募集馬の父となっていることの多い種牡馬が繋養されていた。グッズショップではシルクのグッズも売っていたのでタオルを買ってしまう。そうこうしているうちに時間となり牧場見学である。といってもこの牧場では午後は馬房から馬を出さないそうなので馬房を見学である。馬房を囲む柵の外から人混みの中で馬を見ている。動物園に来たようだ。ちなみにナリタブライアンのいた馬房は今でも空けてあり、ファンの方から届いたお花などの供物が置かれている。
CBスタッドにて唯一写真が撮れた馬 馬の名前は忘れました(^^; 他の馬は馬房から顔を出してくれませんでした。 |
そしてバスはJR静内駅へと戻る。帰りのバスの中では静内で行われている北海道市場の8月分のパンフレットが無料で配られた。馬主ではないので馬を買うことはできないが、今年からグリーンチャンネルでセールの模様が中継されることとなったので参考にしてみよう。静内駅へと着き「しずないロマンロード号」での旅はこれで終了である。これだけのコースをまわり3000円は安いので牧場見学を考えているが特に(コースに無いところで)行きたい場所が無い人は是非利用してみることをおすすめする。ただ、静内駅にはコインロッカーが無いので(観光案内所のおばちゃんがそういってた)荷物が多い場合は苫小牧あたりで預けて来るのがおすすめ。私の場合はたまたまバスがすいていたので後ろの空いている席に置かせてもらったが(なにしろ大きなスポーツバッグの中に寝袋とか着替えとか大量の荷物を入れてたので)。
駅についてから電車の時間までちょっと時間があったので銀行にいくと、帰る途中にシルクホースクラブの本社を発見した。いや、今これを書きながらシルクの書類を見てみたら「東京本社」「北海道事務所」と書いているので本社は東京で静内にあるのは単なる事務所かも知れないが、出資の申し込みなどは静内のほうとやりとりをしているぞ。そのシルクの事務所を外からのぞき込むとレイなどが飾ってあった。そして日高本線を走る快速「優駿浪漫」号に乗り札幌へと向かう。