北海道放浪記’12


ショートカット
TOP
プロローグ
8/13 高崎経由で盛岡へ
8/14 盛岡競馬場から青森へ
8/15 日高本線の旅&襟裳岬
8/16 グランド牧場見学等馬産地巡り&門別競馬場
8/17 札幌から釧路へ
8/18 釧路から帯広へ
8/19 帯広から札幌へ




放浪記
ホームページ
プロローグ
 北海道に夜行列車が走っていた頃は、北海道フリーパスを買って1週間ほど北海道に滞在して、宿泊先の大部分が夜行列車という旅行をしていたものだが、北海道での夜行列車が軒並み廃止となってしまったので今はそれができない。北海道に長期滞在という機会も無くなってしまった。

 そこで、今回は行程の大部分を普通列車&快速列車で貧乏旅行をすることとした。北海道&東日本パスという切符を使っての旅である。JR東日本とJR北海道でしか使えず、連続した7日間有効な青春18きっぷみたいなものと言えばいいのだろうか。ただし、現在のJRにはほとんど無くなってしまった急行には乗れる(ただし急行料金は必要)。そこで、途中数少ない夜行急行「はまなす」に乗ることとして、東日本&北海道の遠征予定を立てた。というわけでタイトルは「北海道放浪記」だが、旅程には本州の東側も含まれている。

 なお、今回の旅のメインはグランド牧場の見学。一般の人の見学は不可の牧場であるが、ユニオンオーナーズクラブに入会したため見学可能となった。出資馬の3頭と出資募集中の2歳募集馬を見せていただく予定だ。私にとってグランド牧場といえば競走馬のネーミングセンスの素晴らしさでファンになったオーナーブリーダーであり、生産者というよりは馬主としてファンだったのだが、ユニオンに入会したのだから生産者としても応援して行こうと思う。もっとも、ユニオンに入会したのはグランド牧場の馬に出資したり牧場を見学に行ったりしたいからという理由が大きいのだが。

2012/8/13 高崎経由で盛岡へ
 この日の目的地は盛岡。ただし、最短距離で盛岡に行くのではなく、途中高崎に行って夏の臨時列車SLみなかみ号に乗って両毛線経由で遠回りして盛岡まで向かった。

 朝早く府中の自宅を出発して快速むさしの号で大宮まで向かう。大宮では盛岡の方向である東北本線には乗らずに高崎線で高崎へ。

SLみなかみ号  高崎駅に着くと、SLみなかみ号のホームには客車だけが待機していた。そして、先頭の客車の更に前の空いたスペースには人だかりができていた。しばらくすると蒸気機関車が入線してくる。先にホームに客車だけ入線させて、機関車は後から登場という演出らしいが、どうやって客車をホームに運んだんだろうか?結局二度手間な様な気もするな。

 蒸気機関車が煙を噴きながら後ろ向きに走って来て、客車に連結される。子供の頃公園に静態保存されている蒸気機関車を見たり中に入って遊んだりしたことはあるが、動いている蒸気機関車を見るのはこれが初めてだな。石炭が燃える煙の匂い。このノスタルジックな香りがたまらない。

 そして、客車へと乗り込む。SLを見にたくさんの人がホームにやってきていたが、みんながみんなその列車に乗るわけではなく、見物だけという人も結構いた。私はせっかくだから乗ってみようと思って乗ってみたのだが。今回乗ったのは高崎−新前橋間のわずか13分の間だけ。本当は水上まで乗りたかったのだがそうすると普通列車乗り継ぎではこの日のうちに盛岡には着かないので一区間だけの乗車とした。そのために指定席代を払ったのだが全席指定の列車のため仕方ない。

 SLが走り出すと客車の窓からも機関車が噴く煙が見える。民家の立ち並ぶ中、蒸気機関車が真っ黒な噴煙を吐きながら駆け抜けていくが、沿線の住民はどう思っているのだろう?しばらくして線路沿いが民家ではなく田んぼになったら何故か煙が出なくなった。むしろ至近距離に民家が無いところの方が思う存分煙を噴いてもいい様なものだが皮肉なものだ。

 そして新前橋駅でSLみなかみ号を降りる。しばらく停まっていたので携帯で撮った写真をレトロ調に加工してInstgramにアップしておいたのがこれ。新前橋駅では高崎駅ほどには人だかりはできていなかった。

 その後は両毛線に乗り換えて小山に向かい、その後東北本線で宇都宮、黒磯、郡山、福島、仙台、一ノ関と乗り継ぎ午後9時過ぎに盛岡に到着。郡山まではほとんど移動だけで乗り継ぎ時間が終わってしまうというタイトな乗り換えスケジュールだった。郡山でもそれほど時間はとれず、昼食は家から持ってきたカロリーメイト。仙台で若干時間があったので夕食に立ち食いそばを食べる。貧素な食事だ。

 遠回りしたせいもありほとんど移動で丸一日終わってしまったが、乗り放題のきっぷを持っていたのでこういう乗りつぶしの旅もいいだろう。盛岡にいく途中にどこかに観光で寄ろうといろいろ検討した結果、せっかく乗り放題きっぷでいくのだからとSLに乗りに行くのを思いついたんだし。

 翌日の予定は盛岡競馬場でクラスターカップ観戦。夜は青森に移動して夜行の急行はまなすに乗り込み苫小牧まで行く予定。指定席を取れなかったのが痛いが自由席を確保できるだろうか?

2012/8/14 盛岡競馬場から青森へ
 この日は盛岡競馬場で交流重賞クラスターカップが行われる。というわけで今日は盛岡競馬場へ。

 盛岡のホテルで朝食後、駅前のバスターミナルの競馬場行きバスのりばに向かった。しかし、10:40発車だと思っていたバスが来ない。よくよく調べたら10:30発の様だ。そして次のバスは11:30発。他にも同様に勘違いしてその時刻に競馬場行きのバスのりばに来ていた人が何人かいたので、私の勘違いというよりは古い時刻表を見てしまったのだろう。というわけで11:30まで駅周辺をぶらつくこととする。おかげで駅ビルのおみやげ屋街で去年来た時に旨いと思った「ずんだシェイク」を今年も飲むことができた(笑)。

 というわけで11:30のバスで盛岡競馬場へ。競馬場行きのバスが市街地を通り抜けて人里離れた山の中に入っていく情景は盛岡競馬場ならではである。競馬場に着くと入口では指定席券が売られていた。1200円なのだが、ドリンク飲み放題無料と書かれている。盛岡競馬場の入場料は200円なので一般席との差額は1000円。これは1000円分飲み物を飲めば元を取れるかも知れない、ということで指定席券を買ってしまう。

 というわけで、屋台で売られていた牛タンで腹ごしらえした後は冷房の効いたガラス張りの指定席へ。着いた直後のレースは第3レースだった。パドックを見ながら予想をしていて、馬券を買おうと思ったらのんびり構えすぎたせいか締め切られていた。そうしたらそのレースは馬連1点で買おうと思っていた通りのワンツーで決まってしまう。10倍以上の配当が付いたようだ。まだ朝も早いし100円しか買うつもりは無かったのだが悔しいな。

 その後はクラスターカップの1つ前のレースまで全く当たらず。パドック見て当初の予想から買い目を変えたら、変える前の当初の勝負予定の通りに決まったりとチグハグな内容。去年来たときは全部ダートのレースだったので、2年ぶりに地方の芝コースでのレースを見れたのは良かったかな。

 メインレースであるクラスターカップのパドックの時に一般席エリアに降りる。大して混んでなかったのでメインぐらいは間近で観たほうがいいだろう。まずは、盛岡競馬場名物ジャンボ焼き鳥を食べた。店のオススメのガーリックソルトにレモン汁を垂らして食べたらメチャメチャ旨い。っていつもの様に競馬の旅打ち文を書くと食い物の話になってしまう(笑)。

 クラスターカップはタイセイレジェンドを頭でセレスハントとヒカルジョディーを紐に三連単で色々流す。本命視されていたセレスハントは岩田騎手が騎乗する予定だったが、関西方面で発生した大雨洪水の影響で移動が間に合わず、田中勝春騎手に乗り替わりだった。前売り等で岩田が騎乗する前提で買った人も多いだろうから人気過剰になると思って、セレスハントは馬券的には評価を下げて勝負。まあ、最終的にはタイセイレジェンドが1番人気になっていたのであるが。

 1頭放馬した馬がいてその馬が除外となったのだが、その際に埒にぶつかって埒が壊れてしまい、修復のために少し遅れての発走となった。結果は我が本命で最終的に1番人気となったタイセイレジェンドが圧倒的強さで勝利を収めた。2着はセレスハント。そして3着には私が流していた1頭であるアイルラヴァゲインがやってきた。三連単的中である。私が応援している元岩手馬トウホクビジンは5着。これが99戦目だそうである。今回はミスターピンクこと内田利雄騎手が騎乗ということでトウホクビジンにも流していたのだが、そのトウホクビジンが3着に来てくれれば儲かったのに。三連単は20倍ちょっとの配当で、この日の負け分を取り戻すか取り戻さないかという程度の払い戻しがあった。

 時間の都合上、メインレース終了後に駅に戻る必要がある。そこで無料送迎バスに乗ろうとバスのりばに向かうが、バスはちょっと前に出たばかりだった。メインレース発走後20分後の発車予定ではあるが、メインレースの発走が遅れたのに定刻通りにバスが出てしまうなんて…。しかたがないからタクシーで駅へと向かう。盛岡競馬場は駅から結構遠いのでこれは痛い出費だ。3000円ほどかかった。

 盛岡駅からは三セクの鉄道を乗り継いで青森へ向かう。IGRいわて銀河鉄道にいわて沼宮内行きというのがあったので乗ってみたが、終点のいわて沼宮内駅は新幹線の駅がある場所とは思えないぐらい何もないところだった。しかもお盆だからか数少ない売店も6時で閉めてしまっている。シャッターの降りかけた食堂兼売店でサンドイッチを1つ買った。この日の夕食はこれだけ。と思ったが盛岡駅で買ってきた南部せんべいいろいろ9枚セットがあったので電車の中で南部せんべいも食べたか。

 途中三戸で電車を乗り換えて青い森駅鉄道で青森へ。急行はまなすの指定席が取れなかったので、出発には1時間ほど時間はあるが青森駅でははなますの自由席を確保すべく急行はまなすのホームへと向かう。既に並んでいる人はいたが、席は確保できそうな込み具合だ。

 はまなすの発車ホームである3番線から向かい側にある1,2番線ホームを眺めてたが、そのホームは青い森鉄道用になったので半分ぐらいで柵をしてあった。JRだった時の名残でホームは長いが、特急等は止まることがないので実際に使われている部分は短い。柵の向こうの立入禁止エリアにまで蛍光灯が点いていたが必要あるんだろうか?もうちょっと節電というこのを考えたほうがいいのではないだろうか>青い森鉄道さん。

 というわけで無事にはまなすの席を確保できたので、夜行列車の中で寝ることができる。北海道&東日本パスは青春18きっぷとは違い、急行料金だけ払えば急行には乗れるので数少ない急行であるはまなすは重宝する。なお、翌朝は終点札幌までは行かずに苫小牧で降りる。

2012/8/15 日高本線の旅&襟裳岬
 急行はまなすに乗って朝5時に苫小牧駅に着いた。朝食の場所を求めて「海の駅 ぷらっとみなと市場」に向かおうとバスターミナルに向かったが、この時間はまだバスが出ていなかった。ホームページで調べると苫小牧駅からは車で10分と書いてあるが、歩いて行くこととする。50分くらい歩いてぷらっとみなと市場に到着。

 苫小牧の漁業といえばホッキ貝で有名だ。そこで、ラーメン茶湖というところでホッキラーメンを食べることにする。とれたてのホッキは美味かった。その後市場をぶらつく。魅力的な商品が多いものの生鮮食料品(主に魚介類)がメインの市場で旅の最初の方で買い物してもそれをカバンに詰めて持ち帰るわけにもいかないんだよな。帰りはちょうど日に数本しか無いバスが出ていたのでバスで駅まで帰るが乗客は私一人しかおらず、その後も駅までの間にもう一人乗ってきただけだった。

 その後は日高本線で終点の様似まで行く。一両編成なので列車と呼んでいいかどうかもわからないワンマンカーの汽車に乗り込む。「本線」を名乗っているものの完全なローカル線だ。朝8時頃苫小牧を出発して、終点の様似には11時20分頃様似に着く。東には海、西には馬のいる牧場という素晴らしい景色の中を走り抜けて進んで行く。

 様似が近づくと貨車を改造して駅舎にしただけの簡素な無人駅が目に付いた。

鵜苫駅駅舎
(鵜苫駅駅舎)

 上の写真の鵜苫駅以外にもこんな感じの駅が何個もあるんだよ、日高本線は。

 終点様似駅へと着く。様似駅で襟裳岬までのバスの往復切符を買って更に奥にある襟裳岬へ。意外に時間がかかった。1時間以上かけてえりも岬停留場へ到着。ここで昼食。食堂ではエゾシカの肉を使ったモミジ丼というのに惹かれたが、結局無難にツブ丼を食べる。せっかくだから海産物を食べたい気がしたし、そっちの方が無難だろう。

襟裳岬  食事をした後は襟裳岬へと歩いて向かった。襟裳岬といえば風が強いことで有名な場所だが、この日はほとんど風が吹いていなかった。やはり形式美としては襟裳岬は風が吹いていたほうが気分が出る。摩周湖に行ったら霧がかかっていなければならないのと同じ様な感覚だ。しかし、天気はよく、底が見えるのではと思うくらいに透き通った海や頭だけが仕方なさそうに海面上に出している小さな島々を快晴の中で眺めることができて良かった。

 バスで駅に戻り、再び日高本線に乗り込む。この日は翌日の牧場見学に備えて静内に泊まる。ユニオンオーナーズクラブの会員割引で泊まれる静内ウエリントンホテルに宿泊。ホテルに向かう途中にウイニングチケット像があった。11年前にしずないロマンロード号という観光バスに乗った時は何者かによって破壊されたと言っていたが、復活していたようで何よりである。ホテルではロビーにメリーナイス像が飾られていた。ホテルの部屋にはうまレター(競馬場等で配られている無料の馬産地情報誌)が置いてあった。さすが馬産地日高の中心地である。

 この静内ウェリントンホテル、静内を訪れる馬産地ファンには評判の良いホテルなのだが、何と翌年3月に廃業した。自己破産だそうである。わずか半年後にそのホテルが廃業となっているとは、この時は夢にも思わなかった…。

 さて、この日は佐賀競馬場で交流重賞サマーチャンピオンが行われていた。静内駅でiPadから楽天競馬経由で馬券を購入してホテルの部屋でパソコンをつないでネット観戦。明日見学に行く事になっているグランド牧場の生産馬ラブミーチャンから中央勢3頭に流す。結果は中央馬の中の1頭テイクアベットが逃げ切り勝ちを納め、我が本命ラブミーチャンは番手に付けて2着。いったいったで決まった。馬連的中だが、ラブミーチャンに勝って欲しかったな。大して付かなかったが、ラブミーチャンの勝利に期待して馬券を買っていたで、もし馬単で買っているとハズレなのが何とも。馬複にしたのでどうにか的中させた。

 翌日初めて門別競馬場に行く予定があるため「予習」のために夜は門別のナイターで勝負。もちろん本場にいたわけではなくネット投票&ネット観戦。安いのを一つ当てただけでちょい負け程度だった。

2012/8/16 グランド牧場見学等馬産地巡り&門別競馬場

 この日はこの旅行のメインイベントでもあるグランド牧場の見学。ユニオンの会員となったことで、この牧場を見学できることとなった。「放浪記」と名乗っていながら、グランド牧場というのは最初からはっきりとした目的地だった。

 静内でレンタカーを借りて真歌まで車を走らせ、グランド牧場を目指す。グランド牧場と書いた門が見つかったので中に入った。ユニオンに取り次いでもらった時にまずは事務所に行って下さいと言われたのでそれらしき建物の横に車を止めようとすると、その建物の中から女性の方が出てきた。時間が予定よりちょっと早かったので入れてもらえなかったら車の中で待機していようかと思っていたのだが、その人が案内の方のようで話しかけてきた。

 その案内の女性が「いつもホームページ等でうちの牧場のことを取り上げてくださってありがとうございます」と話しかけてきた。ホームページの存在がバレてたのか(爆笑)。それから、フェイスブックをやっていることも分かっていたらしい。それから、数年前まで社長さんの親戚の方と飲み屋でいつも飲んでいた(*1)という話をしたら、「もしかして」といって事務所に戻り「先生」と呼ばれている人物を連れてきた。関東に住んでいて数年前まで府中の飲み屋を出入りしていたしたまにグランド牧場の所有馬の口取りにも出ていた方なので、まさかこんな所にいるわけないと思っていたのだが、やはり別人だった。ただし私が知っているTさんの甥にあたる方らしく苗字も生家の牧場も一緒だった。

スマートボーイ  それからアロースタッドにいるものだと思っていた種牡馬スマートボーイがグランド牧場に戻ってきていて、競走馬と同じ厩舎に繋養されていた。種付けシーズン以外はグランド牧場に戻って来ているそうだ(サウスヴィグラスやスズカマンボはアローのままだった)。事前の申し込みはしていなかったが、出資馬であり同じ建物に繋養されているレイキッシュボーイを見せてもらった後で、お父さんも見せて頂いた。(なお、右の写真はスマートボーイ。)

 牧場では出資馬全てとユニオンの1歳募集馬を見せてもらった。グランド牧場は広くて目的の馬もあちこちの建物にいるので車で移動である。案内の人が牧場の車の運転席に乗ったので、その車に乗っていくのかた思ったら、自分の車でついてくるように言われた。まるで馬しかいないサファリパークの様だ(笑)。まあ、もちろん馬が放し飼いされている中を走るわけではなく、自由なコースを走っていいわけではないのでサファリパークとは違うか。馬の見学は厩舎の中にいるのを見せてもらうという形ではなく、見学予定の馬を厩務員さんが厩舎の外まで引っ張って外で見せていただくというものだった。ひと通り見た後は歩いているところを見せてもらえる(一口馬主をやっている人なら募集馬のDVDの様なイメージと言えばわかりやすいだろうか)。

 レイキッシュボーイを見せてもらった後は、同じ建物にいるとのことでお父さんであるスマートボーイを見せてもらった。予約をしていなかったが急遽こちらのリクエストに応えていただいてありがたい(まあ、当日朝までスマートボーイがグランド牧場に戻ってきているということを知らなかったので当然予約していないのだが)。

 ユニオンで募集している1歳馬は5頭全てみせていただいたが、DVDを見た時点で既に出資を決めているダンスカーニバル11以外ではダッシングハニー11(ラブミーチャンの下)が、よく見えた。思ったより大きな馬格だった。

 今回の訪問は出資馬とユニオン募集馬を見るということでそれらの馬がいる場所を回ったのであり全ての施設を見て歩いたわけではないが、グランド牧場は施設面でも日高ではトップクラスに入るのではないかと感じられた。実際2001年あたりに生産牧場の賞金ランキングで社台系3牧場に次ぐ4位だったこともある名門牧場だし。また、一般の見学は不可の牧場ということで、お固くて見学者のことも良く思っていない牧場というイメージがあったのだが、そんなことは全然なくて丁寧に対応していただいた。これでこそユニオンに入会した甲斐があるというものだ。

 なお、グランド牧場見学の様子は別途競馬のページで「グランド牧場見学記'12」としてまとめてあるので、興味のある方はそちらもご覧いただきたい。



 グランド牧場訪問後は東静内の方に向かい、あさり浜というドライブインで昼食。某氏にそこの海老天丼がオススメとTwitterで言われていたので海老天丼を食べる。かなりボリュームがあるし美味い。ただし値段は1050円と高いけど(笑)。あさり浜はガラス張りの窓から見えるオーシャンビューが綺麗なところだった。

 その後は静内に戻り新冠に抜けてサラブレッド銀座等その辺をドライブ。その後静内でアロースタッドに向かった。3時から4時までは見学できる筈だし表の看板にもそう書いてあるのだが、車で中に入って「事務所」と書いた標識が指し示す方角に向かっていると、すれ違った軽トラックの運転手が話しかけてきて「ここは入れないよ」と言われた。3時から4時までは見学可の筈なのに何故?と思ったら「車じゃ入れない」という意味だった。入口の向かいにある空き地に車を停めて歩いて入場する。ユニオンの会員特典で「アロースタッド見学優遇」と書いてあったので会員証を持ってきたのだが、事務所らしい建物には職員がおらず、見学時間帯は自由に出入りして良いみたいだった。いつもこんな感じなのかは不明。時間の都合上10分ほどしか見学できなかったが、この日のこの時間は馬が放牧されておらず厩舎の中に居たので、あまり長居する気もなかったが。

 その後、静内でレンタカーを返却し、電車で富川へと向かう。目的地は門別競馬場。富川駅を降りるとほとんど誰もおらず、駅前にタクシーが待機しているわけでもなかった。一日一便だけある競馬場送迎バスの時間は既に終わっている。一応、開催中の競馬場の最寄り駅なんだから客待ちタクシーぐらい居てもよさそうなものだが、そもそもその「客」らしき人が私一人しかいないんだもんな。駅で見かけた看板にあった富川ハイヤーという所に電話し、車に来てもらう。タクシーとハイヤーの違いはよくわからないが(ハイヤーというと半日とか一日とか貸切で固定料金のイメージがある)、普通のタクシーだった。

monbetsu.jpg(87598 byte)  そして門別競馬場に到着。駐車場の壁の一部が人間一人が通れる程度開けられた部分があって、そこが入口らしい。入場券販売所もなければチケットをもぎる人もいなければ機械もなく、そもそも形が競馬場入口っぽくなく、「本当にここが入口なのか?」と思ってしまった。しかも、そこを入るとテント屋台の食べ物屋や子供の遊び場、ジンギスカン屋等が並んであり普通の公園みたいな雰囲気だ。「ここは本当に競馬場なのか?」一瞬そんなことが頭をよぎった。ちょっと進んでいくとレースを行なっており、馬券を売ったり観客席があったりする建物があったのでようやくここは競馬場なんだという確信を持てた。ちょっとしたカルチャーショックだ。

 この日はブリーダーズゴールドカップが行われるということと、夏休みの最後でお盆の時期であることなのかも知れないが、家族連れが多かった。いかにもといった感じの灰色のオヤジっぽい人はあまり目につかない。こういう意味でも競馬場という感じのしないところだった。Twitterでは普段は灰色のオヤジも結構いるという返信を頂いたが北海道の短い夏休みの最後ということもあってか子供を連れた家族連れがやたら多い。入場人員はそこそこでも馬券を買わない(買えない)年齢層の客が相当数いるというのは営業的にはどうかと思うが。

 門別競馬場を訪れたことで、日本の競馬場で未踏破の競馬場は水沢、金沢、園田、佐賀だけとなった。全国制覇も夢ではなくなった。全て離れたところにあるのが難しいところだが。今まで訪れた競馬場の中では(平地の競馬場の中では)門別競馬場の雰囲気が最も異彩を放っていたとも思う。

 馬券の方はというと全く当たらず。メインのブリーダーズゴールドカップは1番人気のシビルウォーが6馬身差の圧勝。人気を分け合ったテスタマッタは今回は逃げるが勝ち馬に交わされて2着。そのテスタマッタとゴール前で接戦を演じていたメイショウタメトモが3着という結果だった。ガチガチに堅い結果。私の勝負馬券は三連単一点買いだったが、見事に1着3着2着だった。最後の2着を巡る攻防では熱くなったものの、惜しくもハズレ。なお、最終レースも外れてノーホーラだった。

 門別競馬場に旅打ちするに当たっての注意点として気づいたこととして、手荷物預かり所がわかりにくいということが挙げられる。入り口から見て一番奥の(ゴールに近い)建物にあるのだが、売店の横にあるそのカウンターではオッサンが普通にそばとか食ってるし、係の人もいなかった。客観的に見ると休業中の売店か食堂にしか見えない。隣の売店のオバちゃんに声をかけたら裏からそっちの方に回ってきた。しかも8時までしか預かってくれないとのこと。おかげでメインと最終はバカでかい荷物と共に観戦することとなった。

 帰りは札幌までの無料送迎バスに乗って札幌まで。門別→札幌と高速で1時間半ぐらいかかるのに無料とはかなりお得である。こうやって都会から客を集めないとやっていけないのかも知れないが。なお、この無料バスは予約が必要なので、利用してみたいと思う方はホッカイドウ競馬のホームページ等で確認して下さい。

2012/8/17 札幌から釧路へ

 この日は札幌から釧路への移動日。全て北海道&東日本パスで行く予定。つまり快速・普通列車のみ(ただし新夕張−新得間の特急しか走っていない特例区間のみ特急)で釧路まで行く予定だった。そのつもりで札幌駅で列車に乗り込むが、発車前に携帯電話とポケットWi-Fiが無いことに気づいた。どうやらホテルに忘れたらしい。慌てて列車を降りてホテルに取りに帰る。無事ホテルで忘れ物が発見されたが、予定していた電車には間に合わず、北海道&東日本パスだけでこの日じゅうに釧路に着くのは不可能となった。

 とりあえず予定していたより30分後に発車の快速エアポートに乗り込み、今後の予定を考える。目的地を帯広にするということも考えたが、早割で予約していた釧路のホテルは当日キャンセルのキャンセル料が高く、また帯広での宿も普通に予約すると当日予約だと高い(ネットカフェという手もあるけど)ため、一部区間乗車券&特急券を払って特急に乗ったほうが安上がりだし翌日の行程も当初の予定通りになるという結論に達した。

 とりあえず南千歳で降りたが、南千歳は周辺に何もないことと、次の普通列車の千歳発であることがわかったので一駅前の千歳まで戻る。ここで2時間以上待機。当初の予定では長時間の待機は新夕張の予定であり、その時間を利用して石勝線の支線(?)で夕張まで行って戻ってこようと思ったがそれは中止。

 千歳駅前のイオンにあるマクドナルドで飲み物を飲みながら前日付けの日記を買いたりしていて、新夕張まで出発。列車は夕張行きだったが、新夕張で降りた。

 そこで時刻表を調べてみると夕張まで行って新夕張に戻ってきてもギリギリ次の汽車に間に合うことが判明。紙の時刻表を持っておらず、ネット上の時刻表で調べながら旅をしているのだが、石勝線の新夕張に近い区間はトンネルばかりでポケットWi-Fiどころか携帯の電波もなかなか繋がらず、汽車の中で調べることができなかった。こういう時、紙の時刻表を持っていた方が便利だな。荷物になるので買わなかったのが失敗だった。それ以前に千歳で十分時間があったんだから調べておけば良かった。夕張まで行っても時間的にギリギリで行って帰ってくるだけしかできないが、乗りつぶしという意味ではめったに乗る機会の無い夕張支線にも乗っておきたかった。

新夕張旧駅標  夕張市の中心部は夕張駅周辺(とそこから更に奥)であり、新夕張は単なる田舎の駅なのだが、駅の近くに道の駅兼スーパーがあり、そこで夕張メロンソフトを食べたりしてしばらく過ごす。なかなか落ち着いて雰囲気のいいところだった。夕張駅まで行けなかったのは残念だが、こういうのんびりした雰囲気のところで過ごすのもいいだろう。なお、現在の新夕張駅は旧名を「紅葉山」駅といい、その当時の駅標が駅を出た向かい側に飾られていた(写真)。そっちの方が風情のある名前だと思う。

 その後は新得まで特急で行く。特急といっても新夕張−新得間のみ乗車する場合は特例として特急券は必要なく、北海道&東日本パスや青春18きっぷも使える。この区間は特急しか走っていないからである。ちなみに新夕張と隣の占冠の間は駅間距離が日本一長いところらしい。山の中で何も無いところだからな。

 その後新得で降りて、池田行きの普通列車に乗る。通常、普通列車は帯広までの列車が多いのだがその時間はたまたま池田まで行くのがあった。池田からは白糠まで乗車券・特急券を買って特急に乗る。鉄用語では北東パスや18きっぷで旅行中に途中有料特急を挟むことを「ワープ」と言うらしい。

 そのワープした先の白糠でアクシデントが発生した。駅の改札を出てノートPCを広げていろいろやっていたら、乗る予定だった普通列車がいつの間にか出発してしまっていた。出発時刻を10分勘違いしていたせいである。白糠駅は特急停車駅とは思えないくらいの田舎駅であり、夜は無人となっていた。そのため、電車が来るという案内がなかったので電車を逃してしまった。料金を浮かすために白糠で降りたのだが、こんなことなら釧路まで特急で行けば良かったよ。ここで1時間以上待機。暇だし夕食がまだだったので駅前のコンビニで弁当を買ってきて夕食。幸い列車はまだ残っていたので釧路までは行けたが到着がかなり遅くなってしまった。

2012/8/18 釧路から帯広へ

 泊まったホテルは和商市場の近く。釧路といえば和商市場だ。新鮮な魚介類を中心とした市場である。最初にご飯だけを買って、それから色々な刺身をバラで注文してご飯に乗せて食べる「勝手丼」というのが有名である。私も釧路に行くたびに(といってもこれが3回目だが)食べている。ただし、今回は市場をぶらついていたらカニを食べたくなったので花咲ガニを一尾買って食べた。カニを食べるためのハサミ等は店側で貸してくれた。花咲ガニは毛ガニと比べると脚の身はボリュームがあるが、本体のミソが少ない。私はカニのミソが好きなので毛ガニにしようかとも思ったが、この辺の名物といえば花咲ガニなので(花咲とは根室の方の地名のはず)花咲ガニにした。そして、カニを食べた後で勝手丼を食べる。いつもなら勝手丼に2000円以上かけるのだが、今回はカニを食べた直後ということで1000円ぐらい(ご飯代を除く)しかかけなかった。

 和商で腹ごしらえをした後はノロッコ号に乗って釧路湿原へ。臨時駅釧路湿原駅で降りて山を登って展望台へ。ノロッコ号は景色の良い所はスピードを落として走る臨時列車であり、車窓からの景色も素晴らしいのであるが、やはり原始の姿を残す日本最大の湿原・釧路湿原を眺めるには展望台からの方が眺めが良い。

 その後、駅までの途中にあったビジターセンターで休憩。そこにあるカフェのメニューに「モカソフト」というものがあった。モカソフトといえば私が東京競馬場(たまに中山の場合もあり)にある耕一路という喫茶店でいつも食べている大好物であり、特に府中競馬場店の店員さんは顔を見ただけでモカソフトの準備を始めるほどである。ここはモカソフト好きとしては頼まないとな。というわけでモカソフトを注文する。耕一路のモカソフトよりもこちらの方が美味かった(笑)。使ってる材料(特に牛乳)も違うだろうが、カップに盛ったソフトクリームに振りかけられたコーヒーの粉末が絶妙な味を醸し出している。カップに入っていてスプーンで食べるので融けても大丈夫だし。ただ私がソフトクリームが好きなのは歩きながら食べられるって事も理由の一つなのでそういう意味ではコーンに入ったやつの方が良かったかな。

 帰りもノロッコ号で釧路まで戻る。そして釧路からは帯広に向かう。鈍行なのでかなり時間がかかるのだが、帯広の2つ手前の幕別で何故か分からないが発車が大幅に遅れて、最終的に予定よりも22分遅れて帯広に到着。釧路を出発して約4時間後に帯広に着いた。



 帯広についてホテルに荷物を預けた後、駅前に行ったらちょうど競馬場行きのバスが発車した直後だった。しょうがないから歩いて競馬場に行く事にする。まずは腹ごしらえにと直接競馬場には向かわず、インデアンカレーまちなか店でハンバーグカレーを食べた。インデアンはここ最近は帯広に行く度に寄っているオススメのカレー屋さんである。地元でも有名な店らしい。何せ「帯広の家庭から自炊カレーを消した」と報道されるぐらいだ。そしてカレーを食べた後は歩いて競馬場へ。

 競馬場に着いて、入口のところにあるとかち村でトウモロコシを買う。そしてその店でもらった招待券を使って競馬場に入場。入場して最初のレースは馬券は買わずに、入口の近くにあるビアガーデンの椅子に腰掛けてトウモロコシを食べながら観戦。馬券で勝負したのは後半4レースだけ。

 しかし、なかなか馬券が当たらない。メインレースは山鳩賞4歳オープンだったが、メンバーを見るとこの遠征の出発の前の日のメインレース稲妻賞で1,2着だったオイドンとフジダイビクトリーで決まりそうに思える。そう思って馬券を買ったのだが、勝ったのは7枠7番のクリテンホウだった。1番人気のオイドンは2着。この日は7枠の馬が良く来るようだ。

 ばんえい競馬はセパレートコースで行われるため、その日の馬場状態によって特定の馬番号の馬が良く来ることがある。この日はメインを勝ったのも7番の馬だったがそれ以外のレースでも7の連対が多かった。また、最終レースでは「最終の村上」という異名を持つ村上騎手の騎乗馬が7番だ。村上は私にとってはシルクタローに乗ると必ず負けるという印象が強く、馬券的には敬遠している騎手なのであるが、最終は別。この日の好枠7番に入った村上騎乗の馬を軸に馬複で総流しの勝負。

 その村上騎乗の7枠7番マルゼンチカラは第二障害を登るのに手こずっていたが、障害を越えるとそこからすごい脚を使って前を行く馬をグングン越して行った。最後は勝ちきれなかったものの2着にはやってきた。馬単ではなく馬複で勝負していたので私の馬券も的中。ノーホーラかと思ったが、最終レースで起死回生の約70倍の馬券が的中だった。ただし、PATで買った中央競馬で負けているのでこの日のトータル収支はマイナス。

2012/8/19 帯広から札幌へ

 朝早く帯広のホテルを出発して6:53帯広発の滝川行き普通列車に乗り込む。この列車じゃないと札幌競馬場に着くのがメインレース直前辺りになるため朝早い出発である。

 帯広駅で豚丼弁当を買って列車に乗り込む。普通列車だが滝川まで一本で行けるので便利だ。汽車の中でノートPCを広げながらホームページに札幌記念と北九州記念の予想を書き、競馬場到着までの間に行われるその他のレースの投票もした。

 滝川から後は岩見沢駅で乗り換えるが、岩見沢駅のホームには木彫りの輓馬の像が飾られていた。競馬場が廃止されてから岩見沢を訪れたのは初めてであるが、競馬場が廃止されてもこの輓馬の像は未だに存在する。それだけ馬とともに歩んできた街なのだろうが、競馬場無き今では歴史的建造物となってしまっている。そんな街からばんえい競馬が姿を消してしまったなんて…。



 そのまま桑園駅へと向かい札幌競馬場へ。桑園駅にはコインロッカーが見当たらなかったので旅行用の大きな荷物を抱えたまま競馬場へと向かう。送迎バスが混んでいたので歩いて競馬場へ。桑園から歩いて行くのは10年以上ぶりである。道も覚えてなかったが、それらしいオッサンを尾行して行ったら競馬場に着いた。

 札幌競馬場では9レース以降のレースを観戦。しかし、馬券はちっとも当たらず。この日のメインは札幌記念。この年の札幌記念のファンファーレの演奏は生演奏ではなかった。北海道の重賞ファンファーレは好きだが、この曲は演奏が難しい曲であり生演奏だと音程を外すことが多いので生演奏ではない方が良い。その札幌記念はフミノイマージンが勝った。私の馬券はダークシャドウ−ヒルノダムールの馬連1点なのだが、見事に2着3着だった。フミノイマージンは朝オッズを見た時は人気過剰だと思って買わなかったのだが、最終的には妥当と思われる4番人気となっていた。

 その他のレースも全て外れ、ノーホーラ。失意のまま札幌競馬場を後にした。



 ラーメンが食べたくなったので、桑園から札幌駅に戻り駅前のビルにある札幌らーめん共和国というところに行く。昭和な雰囲気を再現した場所だ。そこの「らぁめん銀波露」というラーメン屋で味噌とんこつラーメンを注文。粉チーズを入れて食べるラーメンだったが、美味かった。チャーシューも柔らかくて口当たりが良かったし。

 北海道&東日本パスを利用した貧乏旅行だったが、帰りは日程の都合上飛行機で帰京。新千歳空港まで移動して羽田行き飛行機に乗り込む。羽田についた後は京急で川崎まで行き、そこから自宅まではJR。ここでも北海道&東日本パスが活きた。



もどる
ホームページへ