障害オープン | 1998年5月9日 東京5R | 東京ダ3300m |
他の馬などお構いなしに逃げまくる。道中後続に付けた差は20馬身。4コーナーでもまだ10馬身近い差を付けている。しかし、直線ではさがって行く。そして結果はブービー。このように聞いてどのような馬を思い浮かべるだろうか?ツインターボか、それともサイレンススズカか。
このような馬が障害にもいたのである。オープン平場のレースを見にいったときに見かけた。その名はノーザンテリトリー。地方競馬からやってきた青毛の8歳馬である。父はノーリュート。母はコロナハート。母父スティールハート。
障害レースでのターフビジョンの中継は、障害を飛び越えるシーンを中心に映し出される。しかし大部分の馬がある障害を飛越しているとき、ノーザンテリトリーは次の障害にいたりする。めまぐるしく変わるカメラのアングル。ノーザンテリトリーにとって他の馬を全く気にせずに済むことが、障害の飛越を楽にしていたことだろう。
このレースは一番人気が去年の菊花賞にも出走したニケスピリット。がちがちの本命である。そして2番人気はドリブルラッシュ。この2頭で堅いと思われた。だから私は枠連でその2頭の1点買いをしておいた。
2番人気のドリブルラッシュだが、この馬は前走障害ではなく平地オープンのエイプリルSに出走している。結果は8着だった。エイプリルSでもサイレントハンターという個性的な逃げ馬が出てきて道中ぶっちぎり、そのまま勝ってしまった。前走逃げ馬にあんな勝ち方をされて、今回は馬鹿逃げをするノーザンテリトリーをどのように思いながら見ていたのだろう?たぶん、ノーザンテリトリーはドリブルラッシュの視界にはいらないぐらい前にいただろうが。
4コーナーではノーザンテリトリーはまだ後続にかなり差をつけている。このまま残ってしまうのではないだろうか。そんな心配が私の頭の中を駆け抜けてゆく。かなりハラハラさせられたが、結局ニケスピリットがやってきて2着にもドリブルラッシュがやってくる。直線ではノーザンテリトリーは歩いていた。
かなりはらはらさせられたレースだったが、ノーザンテリトリーの見事な逃げが見られ、直線でもスリルを味わい、なおかつ馬券が的中した、というような私にとって非常に面白いレースであった。だから、ノーザンテリトリーの名を留めておくためにも単なるオープン平場のこのレースをこの観戦記に記しておく。