’０８ 中山大障害観戦記

2008年12月27日

　暮れも押し迫り今年も中山大障害の季節がやってきた。今年の大障害はすでに実績のある豪華メンバーが勢揃いである。その中でも群を抜く実績があり、人気にもなっていたのが、今年の春に行なわれた中山グランドジャンプの覇者マルカラスカルである。昨年のこのレースは３着であり、一昨年は勝利を修めている。中山の大障害コースでは抜群の実績だ。たまに調整代わりに平地に出走して２桁着順に負けているが、障害では文句なしの成績を修めている。そのマルカラスカルは一昨年は瀬戸口厩舎所属馬としてこの中山大障害を勝った。しかし、昨年２月で当時の調教師である瀬戸口師は勇退。現在は増本厩舎の所属馬となっている。

　その増本厩舎であるが、今年は（というか今年も）厩舎生え抜きの馬キングジョイとの２頭出しで中山大障害に臨んでいる。昨年はキングジョイが先着しているし、昨年は平地を含めても０勝に終わったもののかつては年間重賞４勝するなど障害界の若手のホープと期待された高田騎手に復活のＧＩ制覇を遂げてほしい。高田ならそれができるはずだ。そういった意味で馬券的にはキングジョイの方を本命とした。詳しくは予想のページをご覧いただきたい。

　さてレースの方である。年に２回しか使われることのないＪ・ＧＩ用のファンファーレが鳴り響き、レースがスタートした。例によってマルカラスカルがハナを切る展開。マルカラスカルが馬群を導いてコースを約４分の３周し、２コーナーを馬達が通過すると中山特有の下って上るバンケットに差しかかる。馬群が視界から下のほうへ消えて、襷の入り口あたりで再び上がってくる。そのバンケットを過ぎて襷コースに入ると、いよいよ大障害の一つ大竹柵である。各馬大竹柵を越えていく中、ジュレップが躓いて落馬したらしい。しかし、そんなどよめきなんかに浸っている間も無く衝撃の出来事が起きた。大竹柵を終えて逆周りの４コーナーでハナを切っていた１番人気のマルカラスカルが大きく逸走。カーブを曲がりきれず外埒近くまで大きく膨れてしまった。幸い競走中止にはならずレースには継続して参加したが、この大きな距離ロスで５番手ぐらいに下がってしまった。

　しかし、マルカラスカルはまた盛り返して先頭に立つ。２回目の襷コース大生垣の頃には先頭に立っていた。そしてマルカラスカルを先頭にして各馬大生垣をジャンプ。レースは順周りとなりマルカラスカルは最後の４コーナーまでハナをキープし続けるが、４角過ぎで昨年の覇者メルシーエイタイムが並びかけてきた。最後の直線はしばらくこの２頭の競り合い。メルシーエイタイムがどうにか突き放し中山大障害２連覇か、と思った瞬間外の方から物凄い脚で伸びてくる馬が１頭。我が本命のキングジョイである。昨年と同じ１、２着の組み合わせだが、最終的に昨年２着の馬キングジョイが差し切って初ＧＩ制覇。昨年の雪辱、そしてアクシデントでレースを棒に振った（それでも５着だが）同厩舎のマルカラスカルの雪辱を果たした。

　キングジョイが勝ったおかげで私の馬券も的中だ。今年は馬券の調子がかなり悪かったのだが、それでも障害重賞だけはよく当たるな。そして馬券が当たったことよりも、もっと嬉しいことがずっと応援してきた高田騎手がついにＧＩジョッキーとなったことである。３年目の2001年に重賞を勝ちまくった時からずっと追いかけてきたのだが、ついにＧＩ制覇。昨年は平場・平地を入れても１勝もできなかったが、今年はついにＧＩ制覇。本当におめでとう！