’14 中山大障害観戦記

2014年12月20日

このレースの予想

 ここ20年間、毎年このレースを現地で見続けている。気がついたら20年連続となっていた。暮れの風物詩、そして生で観ることが非常に価値のあるレース、中山大障害を見に今年も中山競馬場にやって来た。

 中山大障害は昨年まで最終週の有馬記念の前日に行われていたのだが、今年から有馬記念の前週に戻った。せっかく1週前倒しにしたのに日本列島には寒波が訪れてきていて、例年以上に寒い中での大障害だった。ただし、昨年は12/21に開催で今年は12/20と一日しか違わない。前年と1日しか違わない開催日となるタイミングで、99年以前に行われていた週に戻したのだろうか?

 大障害の観戦場所は昨年と同じ4コーナー近くのシルバー席の前、大竹柵の真正面である。スタンドで観戦するのであれば襷コースにある中山大障害名物の大生垣か大竹柵の正面辺りが絶好のポイントだ。内馬場に行くことも考えたが、小雨がぱらついていたので断念した。

 予想に書いた通り、私の馬券は昨年の覇者アポロマーベリックと障害界の新星で中山実績もあるレッドキングダムの馬連1点勝負。

 さて、場内に年に2回しか使われることのないJ・GI用ファンファーレが鳴り響き、年に2回しか使われない大障害コースでのレースのスタートだ。スタート後ドリームセイリングが快調に逃げる展開。他馬を引き離して逃げを打った。コースを半周ほどして、下って上る谷型のバンケットを越えて襷コースに入るといよいよ大竹柵だ。バンケットを登ってきた馬達がスタンドに居る私の視界に飛び込んでくる。そしてドリームセイリングが難関大竹柵を飛び越え、その後他の馬も続々と飛越。全馬が無事に大竹柵を飛越したところでスタンドからは拍手が沸き起こる。

 大竹柵を終えるとスタートとは反対向きにコースを回っていく。コースを半周ほどして先ほどとは反対側から馬群が襷コースに入って来る。そしてバンケットの谷を下って上り大生垣へと向かう。各馬が続々と飛越。ここでも全馬無事に飛越し、思わず拍手をしてしまう。この時点で競走中止した馬は一頭もいない。

 しかし、順周りに戻って1コーナーから2コーナーへかけての中間の障害を飛越した後で、クリノテンペスタの騎手が着地の衝撃でバランスを崩し落馬した。騎手がバランスを崩しての落馬であり、人馬ともに無事だったので良かったが、最近の中山大障害は難関の大障害は全馬無事に越えるのにそれ以外での落馬が多い気がする。見せ場の2つの障害以外もレベルが高く、日本最高峰の障害レースなのだから侮れない。

 さらにレースは進み2周目3コーナーから4コーナーにかけて私の本命アポロマーベリックが上がってくる。で昨年のこのレースと今年の春の中山グランドジャンプの覇者が堂々の進出だ。4コーナーでは既にセーフティリードに思えた。

 問題は2着争いだ。「北沢〜!」と叫ぶと、早めに仕掛けたレッドキングダムが2番手に上がってきた。このまま決まれば私の馬券は的中だ。「そのまま!!」と大声で叫んだ。

 しかし、そのままは決まらなかった。最終障害を飛び越えるとレッドキングダムはスパートを始め、3番手以下の馬を突き離しにかかる。これで馬連一点的中だ。と思いきやレッドキングダムは2着をキープするだけではなく、先頭を行くアポロマーベリックをも捉え、並ぶ間もなく抜き去っていった。終わってみればレッドキングダムが3馬身差の快勝。4100mの長丁場、しかも難易度の高い障害を続々と越えてきたにもかかわらず、彼の脚色は衰えることはなく一頭だけ次元の違う末脚で見事な差しきり勝ちを収めた。馬券は1,2着が入れ替わっても的中だったが、レッドキングダムの強さには恐れいった。

 その後残りの馬もゴールし始め、ブービーの馬に大差を付けられてダントツ最下位のメジロサンノウがゴールすると、場内から自然発生的に拍手が沸き起こった。たとえブービー馬に大差を付けられたゴールでも、このレースは完走することに意義がある。そこが中山大障害の魅力だ。

 馬券的には馬連一点勝負が的中だったが、レッドキングダムがここまで強いとは予想外だった。アポロマーベリックの頭は鉄板だと思っていて、相手をどうしようか悩んだ末にレッドキングダムを選んだわけだ。レッドキングダムは前走のイルミネーションジャンプステークスから中一週のローテーションだが、そこでのパフォーマンスを見てアポロマーベリックの相手に選んだのである。予想に違わぬ、いや、予想以上に強い馬であり中山巧者でもある。

 ところで、今年から中山大障害が3週目になったのだが、レッドキングダムが前哨戦として使ったイルミネーションジャンプSは昨年までと同じく1週目に行われている。つまり昨年までの中2週が中1週となったのである。今年はたまたまレッドキングダムがイルミネーション→大障害と連覇したが、中1週のローテーションは厳しい物がある。現にそのレースを使って中山大障害に出走してきた馬はレッドキングダムただ1頭しかいない。せっかくの中山コースでのステップレースがステップレースとして機能しないのはいかがなものかと思う。かといってイルミネーションジャンプSはこれ以上前倒しすると中山で開催できない。そういう意味でも中山大障害は4週目、つまり有馬記念の週にやるべきだ。障害のレース体系があまり整備できていなかった前世紀とは違うのだから。


2014年12月20日(土) 4回中山5日 天候 : 小雨 馬場状態 : 良
【11R】 第137回中山大障害
障害3歳以上・オープン・J・G1(定量) (国際) 芝 4100m 13頭立
馬名性齢騎手斤量タイム着差通過順上3F単勝体重増減調教師賞金
56レッドキングダム牡5北沢伸也 63 4.41.006-05-03-03  49.6466 -4(栗)松永幹夫6500
68アポロマーベリック牡5五十嵐雄 63 4.41.5303-02-01-01  11.7530 0(美)堀井雅広2600
33 サンレイデューク牡6難波剛健 63 4.42.3508-08-07-07  39.6462 +8(栗)高橋義忠1600
69 シャイニーブラックセ7浜野谷憲 63 4.42.5106-07-05-05 1047.0468 +4(美)伊藤伸一980
710 オースミムーン牡5中村将之 63 4.42.5クビ05-05-05-05  26.2468-10(栗)小野幸治650
812 ドリームセーリング牡7石神深一 63 4.42.92 1/201-01-02-02  934.9486+16(美)田島俊明 
44 ケイアイドウソジン牡8山本康志 63 4.43.53 1/208-09-10-11  511.1500 0(美)田村康仁 
45 メイショウヨウドウセ6西谷誠 63 4.43.6 1/202-02-03-04  828.0486 -2(栗)池添兼雄 
11 セイエイ牡6高野和馬 63 4.43.6クビ10-09-10-08 12117.0532 +6(美)小桧山悟 
10711 バアゼルリバー牡8熊沢重文 63 4.43.7 1/203-04-08-10  611.3506 -2(栗)松田博資 
1122 リキアイクロフネ牡7横山義行 63 4.44.5510-11-08-08  727.5474 +2(美)田中剛 
12813 メジロサンノウ牡6原田和真 63 4.46.9大差13-12-12-12 11113.3474 +6(美)大久保洋 
57 クリノテンペスタ牡7植野貴也 63 ------12 13232.3492 +8(美)高橋義博 

LAP  (データ無し)
通過 マイル:105.7  上り 51.0-38.5  平均 1F:13.71 / 3F:41.12
単勝  6 \960
複勝  6 \220 / 8 \120 / 3 \210
枠連  5-6 \1,120 (4)
馬連  06-08 \1,020 (4)
ワイド 06-08 \430 (4)/ 03-06 \860 (10)/ 03-08 \410 (3)
馬単  06-08 \3,030 (10)
3連複 03-06-08 \2,200 (5/286)
3連単 06-08-03 \15,590 (46/1716)

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