’１４ 中山グランドジャンプ観戦記

2014年4月19日

　今年の中山グランドジャンプは１０頭立ての少頭数であり、外国馬の参戦も無かった。障害界の世代交代が進む中、ちょっと寂しいメンバー構成となった。それでも年に２回しか使われることのない大障害コースで、日本一のレベルの障害レースが行われるのは喜ばしいことであることには変わりない。障害にグレード制が適用になる直前あたりはもっと少頭数だったわけだし。

　今回私が本命は前年の中山大障害の覇者アポロマーベリックである。前哨戦のペガサスジャンプステークスも制しており今回のメンバーで最も注目されている馬で断然の１番人気だったが、この馬は外せなかった。そのアポロマーベリックからオースミムーン、メイショウブシドウを紐にして三連単で流した。

　今年もスタンドの大竹柵の真正面あたりで観戦した。目の前には芝コースの直線に最終障害となる置き障害が置かれていた。そして年に２回しか使われることのないＪ・ＧＩ専用ファンファーレが厳かに鳴り響き、レースのスタートである。

　昨年暮れの中山大障害と同様に、アポロマーベリックが逃げる。他馬を数馬身突き離した軽快な逃げを打っていた。コースを半周ほどして襷コース入り口の谷に入り馬群が吸い込まれるようにして私の視界から消え、そして再び姿を現した。そして最初の難関大竹柵だ。アポロマーベリックを先頭に各馬続々と飛越。全馬無事飛越だ。最後の馬が着地した瞬間、場内に一斉に拍手が沸き起こる。

　大竹柵が終わると先ほどとは逆回りに、障害を次々に越えながら馬群は回っていく。

　そして逆回りに半周してきて最大の難関大生垣。依然としてアポロマーベリックが先頭。後続との差は詰まってきたものの先頭は安泰だ。全馬無事に飛越すると、場内からはまたしても拍手。これがＪ・ＧＩの醍醐味だ。この時点で落馬した馬は１頭もいない。

　さらに１周半ほどして最後の直線に差し掛かってもアポロマーベリックのリードは揺るがない。芝コースの直線に置かれた最終の置き障害を超えて、アポローマーベリックはさらに突き離し、堂々の先頭でゴールイン。完勝だった。

　その裏で２，３着争いが熱かった。メイショウブシドウが２番手を進んでいて、私の目の前も２番手で通過したのだが、コスモソユーズがゴール前で襲いかかる。私が観ていた角度からはメイショウブシドウが２位入線したようにも見えたが、コスモソユーズの脚色もよく微妙だった。ゴール真正面から撮ったＶＴＲを見返すと顔の半分ぐらいコスモソユーズが先着している。２，３着が逆だったら的中なのだが、惜しいところで的中を逃した。

　４着以下の馬も全馬無事にゴール。最後の馬がゴールした瞬間、場内からは拍手が沸き起こる。順位とか馬券の結果とかとは別な次元で最後の馬がゴールするまでほとんどの観客が注目しているのが中山グランドジャンプ（＆中山大障害）。頭数こそ少なめだったが、この日本一難しい中山の大障害コースを全馬無事に完走した、良いレースだった。