’１５ 中山グランドジャンプ観戦記

2015年4月18日

　今年も昨年に引き続き外国馬の参戦は無かったが、１５頭立ての豪華メンバーによる中山グランドジャンプとなった。年に２回しか使われることのない大障害コースで行われる日本一のレベルの障害レースである。

　今回私が本命は前年の中山大障害の覇者レッドキングダムである。中山では３戦無敗の中山巧者であり、この馬の有利は揺るがないものと思われた。そのレッドキングダムからアポロマーベリック、ソンブレロ、リキアイクロフネに流して馬連の馬券を買っておいた。昨年の中山大障害はレッドキングダムとアポロマーベリックの馬連一点で的中したが、今回は紐荒れもありそうな気配だったので穴っぽいところも少々押さえておいたのだ。

　今年もスタンドの大竹柵の真正面あたりで観戦した。目の前には芝コースの直線に最終障害となる置き障害が置かれていた。年に２回しか使われることのないＪ・ＧＩ専用ファンファーレが厳かに鳴り響き、レースのスタートである。

　まずはアポロマーベリックがハナに行こうとするが、しばらくするとショウナンカミングがハナを奪いに行く。それでもアポロマーベリックが盛り返していつものように先頭に立ってペースを作っていく。そんな感じでコースを回っていった。コースを半周ほどして襷コース入り口の谷に入り馬群が吸い込まれるようにして私の視界から消え、そして再び姿を現した。最初の難関大竹柵だ。アポロマーベリックを先頭に各馬続々と飛越。全馬無事飛越である。最後の馬が着地した瞬間、場内に一斉に拍手が沸き起こる。

　大竹柵が終わると先ほどとは逆回りに、障害を次々に越えながら馬群は回っていく。

　そして逆回りに半周してきて最大の難関大生垣。依然としてアポロマーベリックが先頭で飛越。後続の馬も続々と飛越するがレッドキングダムが躓いたようだ。そしてその直後にテンジンキヨモリが落馬して場内はどよめきに変わる。

　最大の難関大竹柵が終わった時点で落馬した馬はテンジンキヨモリだけだったが、そこからコースを回っている間にさらに４頭落馬。せっかくの大障害をこなしたのにもったいない。今回は落馬が多く、テンジンキヨモリを含めて５頭が落馬した。２周目４コーナーを回ってくると、芝コースの直線に置かれた最終の置き障害で１番人気のレッドキングラムが派手に躓いた。私の直ぐ目の前でだ。落馬寸前だったがどうにか立てなおして無事ゴールしたが、昨年の中山大障害の覇者も今回は完走するのがやっとだった。どうやらレース中に故障を発生していた様だ。

　勝ったのはアップトゥデイト。４コーナーを先頭で回ってきて、最終の置き障害も先頭で越えると、あとは突き離す一方の強い競馬だった。大差のレコード勝ち。48歳の林騎手は騎手生活30年で初めてのGI勝利だ。

　大きく離されて２着以下の馬もゴール。２着は私が穴として狙っていたソンブレロだった。さすがは障害の名手高田である。勝ち馬には大きく離されたものの２着は確保。

　９着馬ミヤコデラックスがゴールすると、スタンドから拍手が沸き起こった。しかし、その時私の目の前にある起き障害を飛び越えていく馬がいた。サンマルボスだ。ターフビジョンに彼の姿は映っていないし、ゴール側で見ていた人たちの視界には彼の姿は無かっただろう。しかし、その馬はまだ競走を中止しておらず、騎手を乗せて走り続けている。そのサンマルボスが大きく離されてゴールした瞬間にはパラパラとした拍手しか起きなかった。今回のグランドジャンプは何故か大障害以外の場所での落馬の多かった波乱のレースだったが、完走した馬は大差のビリでも讃えてあげようよ。そう思って、ミヤコデラックスのゴールの瞬間は敢えて拍手をしなかった私は、サンマルボスがゴールした瞬間、ささやかながら拍手を送った。