2020年4月18日
今年で第22回を迎えた中山グランドジャンプである。私は創設以来ずっとこのレースを生観戦してきた。第1回はあのポレールが出ていた(残念ながらゴールしなかったが)。
しかし、今年は22回目にして初めて現地観戦が出来なかった。新型コロナウイルスの影響で無観客開催だったからである。中山の大障害コースのレースは生で観るからこそ価値があるものであり、しかもグランドジャンプは創設以来ずっと生で観てきたレースである。だから今年も生で観戦したかった。コロナウイルス憎しである。とは言うものの、競馬は中止にはならず無観客とはいえ開催されている。この中山グランドジャンプも無観客競馬として実施された。生で観れないのは残念だが、このような状況の中でも開催してくれることは JRA に感謝している。
生で観ていないので本稿を観戦記に入れるべきかどうか迷ったが、やはり、毎年書いているものであり、後になって「あの時の中山グランドジャンプってどんなレースだったっけ?」と思い返した時に、他の中山グランドジャンプと同じ所にあった方がわかりやすいので、ブログとかではなく、この観戦記のコーナーに載せることとする。
私の馬券はオジュウチョウサンとメイショウダッサイの馬連一点勝負だ。オジュウチョウサンは障害重賞を12勝しており、この中山グランドジャンプは4連勝中だ。ここで勝てば、前人未到(前馬未到と言ったほうがいいのかな?)の同一GI5連勝である。前走の阪神ジャンプステークスも難なく制しており、5連覇に期待がかかる。
予想のページでは◎オジュウチョウサン、○メイショウダッサイとしたが、心情的に応援しているのはメイショウダッサイの方だ。メイショウダッサイは私の元出資馬サンビスタのいとこであり、しかも母父がミスプロ系なのでサンビスタとよく似た血統構成の馬である。生産牧場はサンビスタと同じグランド牧場だ。これはグランド牧場ファンとしては応援しないわけにはいかないだろう。
この日の関東地方は豪雨に見舞われていた。中山競馬場でも大雨が降っていた。中山グランドジャンプの発走時刻になると、やや弱くなっていたが、それでも雨は降り続けている。馬場状態は不良だ。
さて、例年なら私はこのレースを現地で観ている。しかし、前述のように無観客開催となってしまったため自宅でテレビ観戦である。自宅でテレビで中山グランドジャンプを観るのは創設以来初めてである。ここからはグリーンチャンネルでレースを観た感想を書こう。
場内に観客もいなくても年に2度しか使われないあのファンファーレは流れた。オジュウチョウサンが好スタートを決めてハナを切るが、すぐさまメドウラークがハナを奪い、オジュウチョウサンは2番手を追走。メイショウダッサイは3番手あたりに付けた。障害を越えながら、馬群はコースを一周半して最初の難関・大竹柵へと向かう。各馬大竹柵を無事に越えた。落馬した馬は一頭もいない。通常の開催だとここで場内から拍手が沸き起こるはずだ。場内には届かないが、私はテレビの前で拍手を送った。
襷コースを終えると、馬群は順周りに進んでいく。水壕障害でもないのに水しぶきが上がるような不良馬場の中を馬たちは進んでいく。
さらにコースを一周半して、今度は大生垣である。メドウラークを先頭に続々と馬たちが大生垣を越えてゆく。しかし、映像はすべての馬が大生垣を越えるまで映してくれず、途中で先頭集団にカメラが切り替わった。ここは大生垣を最後まで映して欲しかったところだ。カメラが先頭の馬を映してる時に、実況が「セガールフォンテンが落馬」とアナウンスした。この落馬は大生垣を飛んだ時に起きたのだろうか?それとも飛びきってしばらくしてから落馬したのだろうか?テレビの映像ではそれが分からなかった。 2周目の向正面で、オジュウチョウサンが先頭に立った。あとはオジュウチョウサンのペース。 メドウラークは後退して2番手はブライトクォーツ、そして3番手がメイショウダッサイとという隊列となった。4コーナーではメイショウダッサイが2番手に並び、オジュウチョウサンを追いかけていく。そして、直線に置かれた最終障害。ここで、昨年暮れの中山大障害のガチャで今回も人気の一角であるシングンマイケルが、前のめりになりながら落馬した。メイショウダッサイは、オジュウチョウサンに迫っていき、この2頭の一騎打ちになると一瞬思った。ところが、オジュウチョウサンはさらに引き離し、3馬身差をつけてゴールした。 やはりオジュウチョウサンは強かった。前人未到の同一GI5連覇である。ただ強いだけではなくその強さを長年維持できるというのはすごい馬だ。もし、平地を使わずに障害一本に絞っていたらもっともっと偉大な記録を残していただろう。
メイショウダッサイもよく頑張った。オジュウチョウサンは強かったが、後続の3着馬には大差を付けた。相手が悪かったとしか言いようがない。血統的に晩成と思われるため7歳ではあるが、まだまだ成長するだろう。 暮れの中山大障害では今回の3馬身差が縮まる、いや、逆転もあるかも知れない。
というわけで、馬券は馬連一点勝負で的中した。予想は◎が1着、○が2着だったのでドンピシャの的中と言えるが、心情的には○メイショウダッサイに勝って欲しかった。しかし大差をつけられたような2着ではなく、最後の直線で一瞬でも迫ることができたのだから、良い結果だった。
落馬したシングンマイケルであるが、レース後の診断は頸椎関節脱臼ということで残念ながら予後不良となってしまった。日本一長い距離のレースで日本一長い度の高い障害があり、しかも今回はパワーの必要な不良馬場だった。このハードな条件が応えたのかも知れない。もし観客がいれば、最後の馬のゴールした瞬間に場内から暖かい拍手が沸き起こるはずのレースである。しかし、今回は最後の直線で有力馬のショッキングな落馬事故があったので、たとえ観客がいたとしても拍手どころではなかったかもしれない。ただ、例年以上にタフさが求められるこのレースで完走した全ての馬は讃えられるべきである。シングンマイケル号のご冥福を祈るとともに、完走した8頭の馬には拍手を送りたい。
着 | 枠 | 馬 | 印 | 馬名 | 性齢 | 騎手 | 斤量 | タイム | 着差 | 通過順 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | 増減 | 調教師 | 賞金 |
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1 | 6 | 6 | ◎ | オジュウチョウサン | 牡9 | 石神深一 | 63 | 5.02.9 | 02-02-01-01 | 1 | 1.1 | 510 | 0 | (美)和田正一 | 6600 | ||
2 | 8 | 11 | ○ | メイショウダッサイ | 牡7 | 森一馬 | 63 | 5.03.4 | 3 | 03-03-03-03 | 3 | 10.2 | 506 | -6 | (栗)飯田祐史 | 2600 | |
3 | 5 | 5 | ブライトクォーツ | 牡6 | 西谷誠 | 63 | 5.05.8 | 大差 | 05-05-02-02 | 4 | 20.4 | 490 | -10 | (栗)荒川義之 | 1700 | ||
4 | 6 | 7 | シンキングダンサー | 牡7 | 五十嵐雄 | 63 | 5.09.5 | 大差 | 06-06-05-05 | 5 | 28.9 | 474 | -2 | (美)武市康男 | 990 | ||
5 | 8 | 10 | アズマタックン | 牡7 | 小坂忠士 | 63 | 5.10.8 | 8 | 10-10-09-07 | 10 | 193.1 | 508 | -4 | (栗)加用正 | 660 | ||
6 | 2 | 2 | ヒロシゲセブン | 牡5 | 高田潤 | 63 | 5.12.1 | 8 | 07-08-06-06 | 8 | 121.4 | 512 | -4 | (栗)北出成人 | |||
7 | 3 | 3 | コスモロブロイ | 牡5 | 草野太郎 | 63 | 5.16.0 | 大差 | 07-06-08-08 | 7 | 84.9 | 528 | -4 | (美)伊藤伸一 | |||
8 | 4 | 4 | ユイノシンドバッド | 牡5 | 大江原圭 | 63 | 5.18.1 | 大差 | 09-09-10-09 | 9 | 177.5 | 500 | -6 | (美)竹内正洋 | |||
止 | 7 | 9 | セガールフォンテン | 牡10 | 上野翔 | 63 | ------ | 11 | 267.3 | 498 | -10 | (美)石毛善彦 | |||||
止 | 7 | 8 | メドウラーク | 牡9 | 北沢伸也 | 63 | ------ | 01-01-07-10 | 6 | 33.5 | 512 | 0 | (栗)橋田満 | ||||
止 | 1 | 1 | シングンマイケル | セ6 | 金子光希 | 63 | ------ | 04-04-04-04 | 2 | 6.1 | 462 | +6 | (美)大江原哲 |