’24 中山グランドジャンプ観戦記

2024年4月13日

このレースの予想

 無観客だった20年を除いて第1回から毎回観に行っている中山グランドジャンプ。いつもは4コーナーよりの大障害を正面から見れる場所か内馬場の大障害の真ん前で観ることが多いのだが、今年はゴールの正面に席を取れた。スマートシートの2階である。角度的に大竹柵はターフビジョンの陰になって見えないものの、大生垣は見やすく意外と観戦しやすいので、場所移動はせず席で見ることにした(意外と混んでいたし)。

 私の買い目は予想のページに書いた通り、目下5連勝中で昨年末の中山大障害も圧勝したマイネルグロン本命とした。雨なら昨年の覇者イロゴトシ、晴れなら一昨年の覇者ニシノデイジーを相手にと考えていたが、晴れたのでニシノデイジーを相手として、マイネルグロン―ニシノデイジーの馬連一点勝負とした。

 年に2回しか使われないJ・GIファンファーレが厳かに鳴り響き、気持ちが高揚してくる。いよいよレースがスタートだ。

 昨年と同様、ビレッジイーグルが逃げて、正面まで馬群が回ってきた。私が見ている場所から最も近い正面の1コーナー近くの障害飛越の際に、眼の前でタマモワカムシャが落馬した。前週の競馬で藤岡康太騎手が落馬して死亡するという痛ましい事故があったばかり(競馬場には半旗が掲げられていた)なので落馬を見ると不安になったが、タマモワカムシャに乗っていた中村騎手は一人で歩いて内馬場に去っていった。少なくとも大怪我はしなかったようなので一安心だ。

 その後もビレッジイーグルを先頭に、各馬コースを周り、1つ目の大障害大竹柵に差しかかる。大竹柵は私のいる場所からだとターフビジョンの陰になって見えないので、ターフビジョンでレースを追う。大竹柵をビレッジイーグルとニシノデイジーがほぼ同時に飛越し、その後はニシノデイジーが先頭に立った。その他の馬も無事に飛越し、場内に拍手が沸き起こった。

 その後はニシノデイジーを先頭に逆周りで進んで、さらに4分の3周すると、今度はもう1つの大障害である大生垣である。これは私の位置から生で見れる全馬無事に飛越し、拍手が沸き起こった。と思ったがポルタフォリオがかなり遅れて、先頭のニシノデイジーが1コーナーに差し掛かったあたりで1頭だけで大生垣を越えた。ここでも拍手が起こった。

 さらに半周ほどして向正面ではニシノデイジーをビレッジイーグルとイロゴトシが交わした。しかし、ニシノデイジーもバテて下がり続けるわけではなく、必死で食らいついて行く。正面の芝コースに置かれた置き障害ではニシノデイジーがビレッジイーグルを再び交わしたが、イロゴトシは後続をどんどん引き離していた。そして、イロゴトシがそのまま逃げ切ってゴールインして連覇を達成した。不良馬場が得意なのかと思ってたのだが、良馬場でも見事に勝利を掴んだ。

 2着には最後に良い脚で追い込んできたジューンベロシティが入り、ニシノデイジーは3着だった。

 我が本命で1番人気のマイネルグロンは6着でゴールしたが、ゴール後に騎手が下馬していた。怪我でもしたのだろうか?大事に至らなければ良いのだが…。

 その他の馬も続々とゴールインするが、ワンダークローバーが他馬からだいぶ離れて、10秒ぐらい経ってからゴールし、観客から拍手が起きた。ここで、4コーナー側の置き障害を見るとまだ1頭馬がいた。すでにレースが終わったと思っているお客さんも多いと思ったので、私は置き障害の方を指さしながら「まだ1頭いるぞ!」と叫んだ。その馬はポルタフォリオである。道中でだいぶ離されながらも最終障害まで回ってきていた。しかし、最終障害の飛越を拒否し、障害の横を通って歩いてきた。その後、歩くようにしてゴール板の前までやってきた。ゴール板の前を通過すると、ゴール近くにいた観客からは温かい拍手が贈られた。最終障害を飛ばなかった時点で競走中止で、記録の上では完走にならないのだが、それでも鞍上の小牧加矢太騎手はゴールインさせたかったのだろう。

 小牧加矢太は3年目の騎手であるが、馬術出身で新人時代から平地の免許を取得せずに障害専業でやっている異色の騎手である。障害に対する思い入れは他のどの騎手よりも大きいのだろう。「勝つことよりも完走することに意義のある」中山グランドジャンプ。道中だいぶ離されて勝ち目どころか賞金圏内も無理でも、最後まで走らせたかったのだろう。記録上は「競走中止」だが、最後まで騎手が乗ったままゴールを駆け抜けたポルタフォリオと小牧加矢太騎手の執念に胸を打たれた。今回は完走した馬だけではなく、競走中止となったが執念のゴールインをしたポルタフォリオも同時に讃えよう!


2024年 4月13日(土) 3回中山7日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第26回中山グランドジャンプ
障害4歳以上・オープン・J・G1(定量) (国際) 芝 4250m 12頭立
馬名性齢騎手斤量タイム着差通過順上3F単勝体重増減調教師賞金
68 イロゴトシ牡7黒岩悠 63 4.47.203-03-01-01  212.2468 -8(栗)牧田和弥6600
11 ジューンベロシティ牡6森一馬 63 4.47.7304-04-04-04  520.8466 0(栗)武英智2600
710ニシノデイジー牡8五十嵐雄 63 4.48.12 1/201-01-03-03  314.2504 -2(美)高木登1700
22 エコロデュエル牡5小野寺祐 63 4.48.8405-05-04-04  414.7474 -2(美)岩戸孝樹990
55 ビレッジイーグル牡7大江原圭 63 4.49.11 3/402-02-02-02  621.7512 -4(美)竹内正洋660
44マイネルグロン牡6石神深一 63 4.49.31 1/207-06-06-06  11.1514 -2(美)青木孝文 
812 ダイシンクローバーセ8高田潤 63 4.51.5大差06-06-07-07  7123.4490 +6(栗)高橋一哉 
79 ギガバッケンセ9伴啓太 63 4.55.2大差08-08-08-08  9285.4536 0(美)岩戸孝樹 
811 フロールシュタット牡5上野翔 63 4.56.4709-09-09-09 11315.6468 -8(美)戸田博文 
1033 ワンダークローバー牡6難波剛健 63 5.06.6大差10-09-10-10  8130.7474 +4(栗)森田直行 
67 ポルタフォリオ牡6小牧加矢 63 ------11-11-11-11 10303.2492 -4(栗)角田晃一 
56 タマモワカムシャセ5中村将之 63 ------ 12332.5474-10(栗)川村禎彦 

LAP  (データ無し)
通過 マイル:106.4  上り 52.9-40.4  平均 1F:13.52 / 3F:40.55
単勝  8 \1,220
複勝  8 \720 / 1 \870 / 10 \550
枠連  1-6 \8,120 (17)
馬連  01-08 \7,250 (15)
ワイド 01-08 \1,540 (17)/ 08-10 \760 (8)/ 01-10 \990 (10)
馬単  08-01 \17,170 (28)
3連複 01-08-10 \8,040 (20/220)
3連単 08-01-10 \101,750 (137/1320)

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