この予想を書き始めて１０年以上の月日が経った。１０周年記念名場面集を書いていてあらためて思ったのだが、以前(2000年まで)は毎週の予想は兎も角として、有馬記念はかなり気合いの入った予想をしていた。今年は初心に返って気合いの入った予想を復活しよう。と思ったが、レースの週の月曜日から書き続けるということはできなかった。しかし、当日予想だけでも気合いを入れてスペシャルバージョンで行こう！

★３冠馬

　今年12年ぶりに３冠馬が誕生した。しかも21年ぶりの無敗の３冠馬だ。シンボリルドルフにしてもナリタブライアンにしても、３冠を達成した現３歳の有馬記念は難なく勝っている（ミスターシービーは不出走）。今年の３冠馬は前述の２頭とは異なり有馬の時点でもなお無敗。ルドルフの場合ＪＣに出走し２着だったが、ディープインパクトはＪＣをパスして有馬一本に絞る余裕のローテーション。ルドルフの時と違って菊花賞とＪＣの間が４週空いているのにである（ルドルフ・ブライアンの時は中２週）。
　有馬記念はもともと３歳が有利なレース。３歳馬は４歳馬よりも2kg斤量が軽減されるが、有馬の季節にもなると、古馬と３歳馬の実力差はほとんど無くなっている。３歳といえどもあと１〜２週間で４歳なのだから。それでいながら2kgのハンデをもらえるのだから３歳馬にとっては有利な条件だ。あとは今年の３歳馬のレベルだが、今年は古馬相手に３歳馬が芝重賞を制覇したという例が無い（前日の中山大障害は勝ったが）。毎年何頭か３歳馬が勝つのにである。しかし、シックスセンスが香港ヴァーズで差のない２着をしているのだから、ディープインパクト、シックスセンス、インティライミの３頭に限ればレベルは高いと思う。少なくともそれほど低くは無い。
　ＪＲＡは近年スターホース不在による馬券売り上げ減に悩んでいる。そこに登場したスターホースがディープインパクトである。このスターホースはオグリキャップやハイセイコー、最近ならコスモバルクの様な地方競馬出身という雑草が活躍するといったドラマ性に満ちあふれているわけではない。ただ勝つこと、そして強さを見せつけることによって、そのスター性を維持できる存在だ。ＪＲＡはその馬をやすやすと負けさせたりはできない。極端な話八百長を使ってでも勝たせるだろう。露骨に八百長ではなくても、他の馬の陣営の心の中に「ディープインパクトに活躍してもらわないと困る」という思いがあり、それ故に遠慮がちになることも考えられる。ディープインパクトの勝利はほぼ確実と思われる。

★ＪＣ激走馬は消し

　普通中３週だとゆとりのあるローテーションだといわれる。しかし、ＪＣに限って言えばそれは当てはまらない。
　それだけ激しいレースなので疲れがなかなか抜けないからであろう。過去の例を見ても、ファビラスラフイン以下、ヒシアマゾン、レガシーワールド、トウカイテイオーなどＪＣで連にからむほどの強豪が人気を背負いながらことごとく散っている（テイオーは有馬を勝ったが、それはＪＣに出ていない年であり、ＪＣを勝った年は惨敗している）。と何年か前に書いた瞬間テイエムオペラオーやゼンノロブロイのような３連勝する馬が現れた。スペシャルウイークもそれに準ずるような成績だった。
　しかし、今年のＪＣは近年に無く激戦だった。アルカセットとハーツクライがあのホーリックス・オグリキャップのレコードをも破るタイムでの叩き合い。この激戦の疲れが影響し、ハーツクライとゼンノロブロイは有馬では力を出せないと思われる。つまり久々にレベルの高いＪＣが行われたため「いつもの」有馬記念に戻るということだ。

★その他の馬は

　ではその他の狙い馬はというと、筆頭格がデルタブルース。ステイヤーズＳで見事な復活劇。鞍上のペリエもこの馬をものにしたと言っていい。ペリエはここ３年有馬記念を勝っている有馬とは相性のいい騎手である。しかも今年は昨年のパートナーであるゼンノロブロイが出走しているにもかかわらずデルタブルースを選んだ。デルタブルースがディープ以外で最も有力であると考えて良い。
　その他ではディープの動きを気にせずレースを進められる前に行く馬を押さえる。３連単の相手として。