’００ 中山大障害観戦記

2000年12月22日

　昨年まではこのレースは有馬記念の前の週に行われていた。その週は土曜日に大障害があり、日曜日はスプリンターズステークスという平地のＧ１があった。しかし、今年はスプリント体系の見直しでスプリンターズＳが時期変更となった。それなら大障害を旧スプリンターズＳ開催日の日曜日に持ってくればいいと思うのだが、何故か中山大障害までもが有馬記念の前の日に時期変更となった。秋の大障害といえば「暮れの風物詩」として親しまれているので、ますます年末に近いところに持ってきたのかもしれないが、やはり、スプリンターズＳの抜けた穴を埋めるような日程にして欲しかった。Ｇ１シリーズにぽっかり穴が開くのもなんだし。有馬記念の前の週の中山競馬場は有馬記念の入場券の販売が行われるので、黙ってでも客が入るからなのだろうか？泣いても笑っても今世紀最後の大障害。今世紀最後の障害重賞である。暮れの風物詩というよりは国民的行事である有馬記念の前の日に、暮れの風物詩中山大障害である。

　さて、有馬記念ムードで盛り上がる中、私は武蔵野線に揺られながら、昼頃中山競馬場に到着。有馬記念の馬券の前売りが行われているせいか、人も結構入っていた。しかし、スタンドに１つだけ席が余っているのを発見したのでそこに陣取る。大竹柵を真正面に見られる場所だ。

　この日の狙いは昨年２着で春の中山グランドジャンプを制したゴーカイ。ゴーカイから中山で実績のある馬に流す（予想に書いた通り）。さらにＷＷＷ上の予想では書かなかったが、昨年の中山グランドジャンプで３着に来た一発屋ヨイドレテンシの複勝を押さえておいた。

　そして第10Ｒ。第123回中山大障害のスタートである。年に２度しか使われることがないＪ・Ｇ１のファンファーレが鳴り響き、スタートが切られた。そして最初の障害。各馬一斉にジャンプ・・・と思いきやヨイドレテンシが落馬。一発がありそうなので馬券を押さえておいた馬が始まってすぐに競走中止だ。人気の一角を背負っていたヤスノテイオーも同じ場所で落馬した。

　ファンドリロバリーが引っ張るペースでレースは流れる。襷コースを２回通る名物コース。１度目の襷にある大竹柵障害を各馬飛び越え、正面に向かってくると、スタンドからは拍手がおきる。２度目の襷にある障害の大生垣の時も。

　我らのヨイドレテンシは始まってすぐに騎手を落としてしまったが、レースには空馬のまま、ついていっていた。襷を２回も通り、周りも順→逆→順と変わる複雑な形態のコースでありながら、舵を取る騎手がいないのに、他の馬と一緒にコースを走り、障害を飛び越えていった。最後の３コーナーから４コーナーにかけては先頭に立とうとしたが、さすがに直線は鞭を入れる騎手も無く、マイペースで垂れていったのだが。まあ、「上位入線」したところで馬券にも公式順位にも関係はないのだけどね。

　最後の直線ではやはりゴーカイかと思われたが、好位から抜け出したランドパワーが粘ってしまう。最後にゴーカイが追うがランドパワーが突き放して中山大障害を制した。金折騎手はＧ１初制覇である。ゴーカイは２着。それより後ろは大分離された。

　ランドパワーは障害入り後は関西でしか走っていない関西馬。今回が初遠征。当然中山の障害コースも初めてである。しかし、初挑戦で見事に伝統の１戦を制した。コース適正に疑問を感じたので馬券的には消したが、強い内容で大障害を制した。２１世紀に向けて障害界にニューヒーロー誕生か？