’19 中山大障害観戦記

2019年12月21日

このレースの予想

 今年も例によって中山大障害を観に行った。これで25年連続暮れの大障害観戦である。2年前、オジュウチョウサンとアップトゥデイトの3着馬に大差を付けての一騎打ちは近年稀に見る名勝負だった。しばらくの間、この2頭が障害界を引っ張ってきたが、その集大成のようなレースだった。しかし、オジュウチョウサンは昨年は有馬記念に出走し、今年も中山グランドジャンプを制したもののそれ以降平地を使われてきたが不発で、有馬記念にも中山大障害にも出走しなかった。一方、アップトゥデイトは昨年の中山大障害で落馬競走中止し、それを最後に引退となった。障害界の中心にいたその2頭がおらず、新しい時代の幕開けを感じさせる雰囲気の混戦模様だった。

 私の予想はこの様な感じで、中山グランドジャンプ2着のシンキングダンサーと中山巧者のディライトフルに重い印を打ったが、もう1頭期待していた馬がいた。メイショウダッサイである。我が出資馬で牝馬ながらチャンピオンズカップを制したサンビスタと似たような血統の馬だ。単なる良血というだけではなく、グランド牧場ゆかりの血の結晶である。サンビスタの母父をミシルから同じミスプロ系のスキャターザゴールドに入れ替えた血統構成だ。サンビスタといえばグランド牧場ゆかりの血統を凝縮した血統の馬だが、スキャターザゴールドも一時期グランド牧場が付けまくっていた種牡馬である。従姉であるサンビスタと同様、グランド牧場ゆかりの血の結晶だ。サンビスタがいかにグランド牧場の血の結晶であるかは、2016年1月の週刊競馬ブックの特集でも述べられており、私も2016/1/12のブログ記事でそのことを話題にしている。なお、これを書いている時点でも競馬ブックネットSHOPにその記事が掲載されている週刊競馬ブック2016年1月12日発売号が残っているようなので、興味のある方は入手してみるのもいいだろう。とにかく、メイショウダッサイに期待していた。

メイショウダッサイ

 今年はスタンドでの観戦。4コーナーよりの、大竹柵の正面で観戦した。そこで見ると大竹柵を超えてくる馬が真正面で見れる。年に2度しか使われない、J・GI用ファンファーレが場内に響き渡り、いよいよレーススタートである。

 予想通り、ディライトフルがハナを切った。離れた2番手がシンキングダンサー。各馬障害を飛び越えながら、場内を4分の3周してくる。そしていよいよ大竹柵だ。私の真正面に横に伸びる大竹柵の向こうからシンキングダンサーが姿を現して飛び越える。続いて他の馬たちも大竹柵を飛び越えてくる。全馬無事に飛越した。場内に拍手が起こる。馬群は逆周りに進んでいき、さらに半周すると今度は大生垣だ。こちらも全馬無事に披閲して場内に拍手が沸き起こる。そこから順周りで回っていき、向正面に達するとディライトフルのリードはなくなり、ブライトクォーツがハナに躍り出る。そして2番手にはシングンマイケルが上がってきた。ディライトフルのリードはここまでだったか…。楽に逃げられたら結果は違ったと思うが、競りかけられると脆さを見せて後退していった。

 谷を降りて登って、最終障害を越えた頃にはブライトクォーツとシングンマイケルの一騎打ちのムードだった。シングンマイケルが先頭で4コーナーを周り、直線で引き離しにかかる。ブライトクオーツも必死に食らい付くが、差は縮まらず。最後はシングンマイケルの金子光希騎手がガッツポーズをしながらゴールを駆け抜けていった。重賞3連勝で中山大障害を制した。

 シングンマイケルの父は同馬主のシングンオペラである。地方から中央入りし、アルゼンチン共和国杯3着という実績はあるものの、それは49kgの軽ハンデが活きたものであり、最終的に500万条件で終わった馬だ。それでも馬主の愛着があったのか種牡馬入りをした。数少ない産駒の中からオペラハウスの持つスタミナを活かして、J・GI馬が誕生した。シングンの馬主さんにとっては単に持ち馬が大舞台を勝っただけではなく、種牡馬入りさせたシングンオペラの血が花開いた最高の瞬間だったであろう。

 2着は早めに仕掛けたブライトクオーツ。勝ち馬をマークしていたのだろうか?勝ち馬には及ばなかったものの、持ち前のスタミナでしぶとく粘って2着を確保。

 馬券は完敗だったが、注目していたメイショウダッサイが大障害コース初挑戦で3着に来たのは嬉しい。血統に注目している馬なので、今後もJ・GIで頑張って欲しいものだ。

 その他の馬も全馬完走し、最後の馬がゴールした瞬間、場内から暖かい拍手が沸き起こった。最下位の馬がゴールするまでほとんどの観客が注目して、着順に関係なく完走したということを讃えられる。これがあるからこそ中山大障害は素晴らしいレースだ。


2019年12月21日(土) 5回中山7日 天候 : 曇  馬場状態 : 良
【10R】 第142回中山大障害
障害3歳以上・オープン・J・G1(定量) (国際) 芝 4100m 15頭立
馬名性齢騎手斤量タイム着差通過順上3F単勝体重増減調教師賞金
47 シングンマイケルセ5金子光希 63 4.38.903-05-02-01  24.4458 0(美)高市圭二6600
35 ブライトクォーツ牡5熊沢重文 63 4.39.2203-02-01-02  621.0478 +2(栗)荒川義之2600
712メイショウダッサイ牡6森一馬 63 4.39.62 1/206-05-06-05  46.2508 +8(栗)飯田祐史1700
815シンキングダンサー牡6石神深一 63 4.39.6ハナ02-03-03-03  12.4474 +2(美)武市康男990
610 ルペールノエル牡9高田潤 63 4.39.81 1/207-07-07-06  831.0520 -6(栗)藤原英昭660
713 メドウラーク牡8北沢伸也 63 4.40.7503-03-04-03  721.1500 +2(栗)橋田満 
22 ヨカグラセ6西谷誠 63 4.42.7大差12-12-12-12  513.3474 -4(栗)中竹和也 
46 シゲルロウニンアジ牡6植野貴也 63 4.43.2308-08-08-08 12208.9500 0(栗)湯窪幸雄 
11 トーヨーピース牡5草野太郎 63 4.43.3 1/213-13-10-10 11161.5474 +2(美)土田稔 
1059ディライトフルセ8白浜雄造 63 4.43.4 3/401-01-05-07  34.7488 +4(栗)大久保龍 
11814 セガールフォンテン牡9江田勇亮 63 4.43.5クビ09-09-10-10 14302.4508 +2(美)石毛善彦 
1258 トラキアンコードセ7五十嵐雄 63 4.43.71 1/410-10-09-09  962.7506 +4(美)武市康男 
1323 サウスオブボーダー牡6平沢健治 63 4.46.0大差11-11-12-13 13248.5454 0(栗)五十嵐忠 
14611 シュンクルーズ牡7大江原圭 63 4.49.5大差14-14-14-14 15380.3456 0(美)柄崎孝 
1534 スリーコーズライン牡3伊藤工真 61 4.49.92 1/215-15-15-15 10159.6462 -2(美)柄崎孝 

LAP  (データ無し)
通過 マイル:107.2  上り 51.8-39.0  平均 1F:13.60 / 3F:40.81
単勝  7 \440
複勝  7 \170 / 5 \390 / 12 \200
枠連  3-4 \4,980 (15)
馬連  05-07 \5,690 (16)
ワイド 05-07 \1,320 (14)/ 07-12 \470 (5)/ 05-12 \1,720 (19)
馬単  07-05 \8,900 (29)
3連複 05-07-12 \8,530 (27/455)
3連単 07-05-12 \55,020 (156/2730)

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