’１９ 中山グランドジャンプ観戦記

2019年4月13日

　今年も中山グランドジャンプを観に中山競馬場に行った。第１回から毎回生観戦していて、今回で21回目である。

　近年の障害界の王者と言えばオジュウチョウサンとアップトゥデイトの２頭であり、オジュウチョウサンが台頭してからは二強時代だった。特に一昨年の中山大障害は２頭によるデッドヒードで歴史に残る名勝負だった。しかし、昨年の中山大障害にはオジュウチョウサンの姿はなかった。有馬記念に出走するためである。そのオジュウチョウサンは障害に復帰して阪神スプリングジャンプを難なく勝ってここにも出走たが、今度はアップトゥデイトがいない。昨年の中山大障害で落馬して怪我をした影響があり、ここには間に合わなかった。この２頭の対決を楽しみにしている障害ファンも多いと思うが、片方がいればもう片方がいないのが続くのは残念である。

　馬券の方は予想のページに書いた様にオジュウチョウサンを１着に固定で、２，３着をニホンピロバロンとタイセイドリームとして流した。堅いだろうがこれはしょうがないと思った。

　今年の観戦場所は正面の直線に置かれた置き障害の真正面である。障害コースを回ってきた馬が芝コースに出てきて、最後の直線で飛越する最終障害である。ここの前に陣取ると、ちょうど襷コース上にある大竹柵の真正面になる。大竹柵の飛越を真正面から見ることもでき、いい観戦ポイントである。

　年に２回しか使われないＪ・ＧＩファンファーレが厳かに鳴り響き、気持ちが高揚してくる。いよいよレースがスタートだ。

　今回はミヤジタイガが引っ張るペースで、オジュウチョウサンは２〜３番手あたりを追走していた。各馬コースを４分の３周してきて、１つ目の大障害大竹柵である。襷コースにある谷を下ると私が居る場所からは馬たちが見えなくなった。そして上り坂を上がってきて再び姿が見える。そして、最初の難関大竹柵を飛び越える。全馬無事に飛越。場内からは拍手が起こった。

　レースは逆周りで進んで、さらに４分の３周すると今度は大生垣である。ここも全馬無事に飛越し、拍手が沸き起こった。この障害後にオジュウチョウサンが先頭に立つのだが、再びニホンピロバロンがハナを奪い返す。障害飛越技術の差があるので、大障害後はオジュウチョウサンが前に行ってしまうのだろう。

　さらにレースは進み、２周目の３〜４コーナーでオジュウチョウサンが仕掛けて、４コーナーで先頭に立った。レースは最後の直線へと差し掛かるが、最後に１つ障害が待ち構えている。私の目の前にある直線の置き障害である。オジュウチョウサンを先頭に各馬飛越していくが、２頭ほど落馬してしまった。シゲルボスザルとトーアツキヒカリである。落馬した騎手がその場にうずくまっている。せっかく難関の大障害２つを超えてきて最後の直線までこぎつけたのにここで落馬して完走できないとは無念だろう。

　目の前の落馬に気を取られていたが、レースの方は続いていてオジュウチョウサンが無事に勝った様だ。その他の馬も続々とゴールしている。最後の馬がゴールした瞬間に拍手が沸き起こった。この「完走を讃える」拍手がＪ・ＧＩの醍醐味なのだが、今回は目の前に落馬してうずくまってる騎手がいた。それでも完走した馬は讃えなければいけない。そう思って私も（そして周りのお客さんも）拍手をした。最終障害で落馬した騎手はこの拍手をどんな気持ちで聞いていたのだろう？

　レースはオジュウチョウサンが勝って、中山グランドジャンプ４連覇を達成した。あのカラジを超える大記録である。２着はシンキングダンサー、３着はマイネルプロンプトが来て私の予想は外れたのだが、両頭とも昨年暮れの大障害ではそれぞれ４着、３着に好走した馬である。やはり日本一難しい障害コースなだけにコース実績のある馬が上位に来た。

　最終障害直前までは全頭完走が期待できたのだが、残念ながら最終障害で２頭の馬が落馬してしまった。完走したのは９頭である。今回は目の前で２頭の落馬が起き、すぐ後で残りの馬がゴールと慌ただしかったが、完走した９頭は讃えてやりたい。