’２３ 中山グランドジャンプ観戦記

2023年4月15日

　今年の中山グランドジャンプは雨の中の重馬場で行われた。晴れていると内馬場の大障害の近くで観ても良かったのだが、内馬場だと雨に濡れるのでスタンドで観戦した。座席は大障害の真正面に陣取った。内馬場を見ると、内馬場のたすきコース沿いにも観戦している人が結構いた。

　私の買い目は予想のページに書いた通り、前年の中山大障害の覇者ニシノデイジーを本命とした。数年ぶりでオジュウチョウサンが中山グランドジャンプに出ておらず混戦模様と思われたが、日本一難易度の高い障害コースで行われるレースなので、コース実績がある馬が有利と思ってのことだ。

　降りしきる雨の中、年に２度しか使われないファンファーレが響き渡る。そして、レーススタートである。

　ゲートが開いてスタートが切られた。我が本命ニシノデイジーが首を上げながら痛恨の出遅れ。4250mという距離を考えると大したことはないのかもしれないが、先行タイプの馬なのでこれは痛い。

　ビレッジイーグルを先頭に、各馬コースを４分の３周してきて、１つ目の大障害大竹柵に差しかかる。バンケットの谷に隠れて見えなくなった馬たちが、再び視界に現れて、大竹柵を向こうから越えてくる。前場無事に飛越し、スタンドからは拍手が沸き起こる。ここでニシノデイジーは後ろから３頭目あたりまで上がっていた。

　レースは逆周りで進んで、さらに４分の３周すると、今度はもう１つの大障害である大生垣だ。ここも全馬無事に飛越し、拍手が沸き起こった。ニシノデイジーは５番手辺りまで上がってきている。

　そして最終障害もイロゴトシが先頭で越えた。仕掛けが早かったので最後まで脚が持つのかと思ったが、バテるどころかむしろ後続を引き離しての独走だった。そして、大差で勝利を物にした。これは強い。障害２勝目がＪ・ＧＩとはお見事である！

　ニシノデイジーは一旦は３番手まで上がったものの、再び後退し、９着に敗れた。障害の飛越も上手くなく、特に最後の直線の置き障害では着地時に躓いてバランスを崩していた。出遅れだけが敗因ではないと思う。中山大障害の勝利が嘘のような負けっぷりだった。

　とはいうものの、出走した10頭が全馬無事に完走。勝ち馬が強さを見せつけたので、勝ち馬のゴール時に大きな拍手が起きたが、私は大差で最下位のクリノオウジャがゴールした時に、より大きな拍手をした。中山グランドジャンプと中山大障害は、勝った馬や入着した馬だけではなく、どれだけ離されたビリでも完走した馬は讃えられるべきレースだからである。そして、今年は全馬無事に完走した。完走した出走馬すべてが讃えられるべきだろう。

　ところでイロゴトシの母は同じ馬主でイロジカケという馬だ。色仕掛けの仔の色事師がＧＩ馬となるとはね。その馬主の内田玄祥さんは面白い馬名を付ける馬主さんだ。他にはイロゴノミという馬もいる。こういう色物系（笑）の馬名だけではなく、コロモホステフとかアハデコノヨヲの様な風流な馬名も多い。その内田玄祥さんの馬がＧＩ初勝利だ（調べたらＧＩ出走自体初めてらしい）。